【10月9日朝】原油103ドルと金利5.36%がBTCを8万1千ドルへ、清算11億ドル

【10月9日朝】原油103ドルと金利5.36%がBTCを8万1千ドルへ、清算11億ドル マーケット速報

おはようございます。あきFPです。昨夜の米国市場は、原油高と金利高という二つの圧力に挟まれました。ビットコインは8万1千ドル台まで押し戻され、10月に入ってからの上昇分はほぼ消えています。

主要マーケット動向

ビットコインは日本時間6時56分時点で8万1,669ドル。24時間で1.7%安、1週間で3.4%安。もっとも30日間では4.1%のプラスを保っています。昨夜の安値は8万426ドル、節目の8万ドルまであと一歩でした。年初来高値8万7,722ドルからは約7%、2025年10月の最高値12万6千ドル台からは約35%下です。

イーサリアムは2,479ドル。24時間で3.3%安、1週間では7.9%安と、ビットコインより明確に弱い。ビットコインドミナンスは59.43%(前日59.01%)に上昇、イーサリアムは10.94%(同11.31%)に低下しました。資金がビットコインに寄せられる、防御的な地合いです。

市場全体の時価総額は2.76兆ドル、24時間で2.35%減。ちょうど1年前の10月9日は4.22兆ドルでしたから、1年でおよそ3分の2の規模です。Fear & Greed指数は55の「中立」。前日61、1週間前69、1か月前72と、楽観は着実に剥がれてきています。

直接の引き金は、レバレッジの巻き戻しです。24時間の強制清算額は11.3億ドル。うちロング側が10.5億ドル、ショート側はわずか8,270万ドルで、清算されたトレーダーは約18万8千人。銘柄別ではイーサリアムが3.19億ドルで最多、ビットコインが2.87億ドル、ソラナ6,688万ドルと続きます。Coinglassのデータによるものです。

気になるのは、価格が下がったのに未決済建玉(OI)が24時間で18.4%増え、4,276億ドルまで膨らんでいる点です。ロングが焼かれた分を埋めるように、新規のショートが積み上がっている可能性があります。ファンディングレートは平均でまだプラス圏ですが、水準は下がってきました。

重要ヘッドライン

  • FOMC議事要旨が年内の追加利上げを示唆──10月7日に公開された9月15〜16日会合の議事要旨で、大半の参加者が年内にもう一段の0.25%引き上げが適切になり得るとの見方を示しました。時期は明示されていません。FRBは9月会合で2023年以来初となる利上げを実施し、政策金利は3.75〜4.00%です。
  • 米10年債利回りが2002年4月以来の高水準──10月7日に一時5.36%。30年債は5.67%です。ただ同日の390億ドルの10年債入札では間接入札者(外国中銀を含む)の落札比率が80.3%と過去10回平均の72.4%を大きく上回り、需要そのものは堅調でした。
  • 原油ブレントが103ドル超──中東情勢の報道と、熱帯性暴風雨によるメキシコ湾の生産停止が重なりました。中国の製油所が10月の燃料輸出を大幅に止めたため、特にディーゼルの需給が引き締まっています。
  • ナスダックが1.25%安、AI関連株に売り──OpenAIの年換算収益が従来推計より200億ドル低いとのFT報道を受け、エヌビディア、マイクロン、インテルが下落。ダウは0.10%高の51,231ドル、S&P500は0.47%安の7,765ポイントでした。
  • ビットコイン現物ETFから6月以来最大の流出──10月7日に4.85億ドルの純流出。IBIT2.08億ドル、FBTC1.05億ドル、ARKB1.02億ドルです。10月累計は1.63億ドルの流出に転じました。イーサリアムETFは9月29日から7営業日連続で流出し、累計5.69億ドル。前日の記事で触れた流出傾向が、ビットコイン側にも広がった形です。
  • BitMineのETH積み増しに終わりが見えてきた──10月4日時点の保有は601.6万ETH、供給の約4.9%。Tom Lee会長は5%で積み増しを止めると述べており、残りは約10万ETH。ETHの最大の買い手が消える意味は小さくないと思います。

テーマ深掘り:原油103ドルと金利5.36%──インフレ再燃がビットコインの「金利感応度」を試している

ここ数日の値動きを暗号資産固有のニュースで説明しようとすると、たぶん間違えます。今起きているのは、債券市場で始まった地殻変動がリスク資産の末端まで伝わっている、という話です。

順番を追うと、こうです。原油が100ドルを超えて居座りはじめ、ディーゼルの供給不安が重なって、エネルギー経由のインフレ再加速が意識された。だから長期金利が2002年以来の高さまで上がり、議事要旨が「年内もう一回」をにじませた。ドルが強含み、最もバリュエーションの高いAI関連が売られ、同じ理屈で暗号資産も売られた──という連鎖です。10月7日夕の記事で原油101ドルと金利5.3%の重しを取り上げましたが、その圧力が一段強まりました。

ただ、金利が上がると暗号資産が下がる理屈は、実は単純ではありません。教科書的には、無リスク金利が5%を超えると、キャッシュフローを生まない資産の相対的な魅力は落ちます。国債で確実に5%取れるなら、ボラティリティ40%の資産を持つ理由を説明しにくい。これは確かに効いています。

一方で、ビットコインは本来「通貨の希薄化に対するヘッジ」として語られてきた資産でもあります。インフレが再燃する局面なら、理屈のうえでは買われてもよかった。実際には売られました。つまり市場は今、ビットコインを「インフレヘッジ」ではなく「高ベータのリスク資産」として扱っている。この性格づけが一時的なのか構造的なのかは、正直わかりません。ただここ2年、ナスダックとの相関が金のそれより高い期間のほうが長かったのは事実です。

もう一つ。10月27〜28日のFOMCについて、CMEのFedWatchは据え置き確率を77%としています。10月6日時点では10月の利上げ確率が19%でしたから、ほとんど変わっていません。市場は「議事要旨はタカ派だったが、実際に動くのは12月以降」と読んでいるわけです。この読みを支えているのは、9月の雇用統計が+2万9千人(予想約9万人)という弱い数字だったことです。インフレは上、雇用は下。FRBにとってこれほど扱いにくい組み合わせはありません。

相談を受ける立場から一つだけ。こういう局面でいちばん多い失敗は、値動きの理由を取り違えたまま判断してしまうことです。「暗号資産が下がった」と聞くと規制や事件を探しに行きたくなりますが、今回の主因は原油とディーゼルと米国債。だとすれば見るべきは暗号資産の板ではなく、10月14日のCPIと原油価格です。保有量を動かすかどうかも、そちらを見てから、で間に合うはずです。

識者の見方:強気・弱気の両論

強気側──Bitfinex Alphaは、ビットコインが8万1,300〜8万6,500ドルのレンジ内で推移するとみています。着目点は、ロングが清算されるなかで新規ショートが積極的に建てられていること。ポジションがネットショートに傾いているなら、現物需要が戻った瞬間に踏み上げ(ショートスクイーズ)が起きやすい、という理屈です。実際、その下限8万1,300ドルに今まさに到達しています。100日・200日移動平均線は7万2千ドル付近で、まだ上にいます。

弱気側──Daan Crypto Tradesは、まず8万3千ドルを取り戻して維持できるかが条件で、できなければ7万5千ドル、7万2千ドルという長期の節目を見ることになるとしています。Ted Pillowsは下に明確に抜けた場合の目標を7万7,500ドルとしました。いずれも分析者の想定で、そこへ行くと決まった話ではありません。構造的な懸念としては、『ブラック・スワン』の著者ナシーム・タレブ氏が10月6日のグリニッジ経済フォーラムで「債券市場は非常に脆弱だ」と述べました。財政赤字の資金調達が続くのかという問題が、リスク資産全体の土台を揺らしています。

両者に共通するのは、8万1千〜8万3千ドルが今週の分水嶺という認識です。割れたときの下値目標が違うだけ、と見てもいいかもしれません。

今後の注目イベント・指標

  • 10月14日(水)──米9月CPI。今回の相場のほぼすべてがここに集約されます。原油高がヘッドラインにどこまで出るか、コアが落ち着いているかが焦点。同日に中国CPIも。
  • 10月15日(木)──米9月PPIと小売売上高。生産者物価には原油の影響がより直接に出ます。
  • 10月27〜28日(火・水)──FOMC。声明発表は28日。現時点では据え置き観測77%。
  • 10月29日(木)──米7〜9月期GDP速報値と9月PCE物価指数。
  • 継続監視──両ETFの日次フロー、原油(ブレント)の100ドル攻防、BitMineのETH保有が5%に届くタイミング。

まとめ

今朝の市場は、暗号資産の話というよりマクロの話として読んだほうが分かりやすい一日でした。原油が100ドルを超え、米長期金利が2002年以来の高さに達し、FRBが「年内もう一回」をにじませた。そのしわ寄せがAI株と暗号資産に来た、という順番です。

8万1,669ドルという水準は、複数の分析者がレンジ下限と見ていた8万1,300ドルのすぐ上です。ここで止まるのか7万ドル台を見に行くのかは、ポジションの偏りからすればどちらにも振れうると思います。ただ判断の材料は暗号資産の内側にはあまりなく、来週水曜のCPIと原油の落ち着きどころ次第です。

清算額11億ドルという数字は、下がったことよりも下がり方が急だったことを示しています。レバレッジを使っている方は、こういう週にこそ倍率を落としておくほうが判断の自由度が残ります。年内の整理がまだの方は、暗号資産の年内やることリストも合わせてご覧ください。損失の繰越ができない制度である以上、年末に向けた段取りは早めのほうが有利です。

本日も良い一日を。

出典:UseTheBitcoin(BTC・議事要旨)/crypto.news(ETF)/Admiral Markets(米国債)/Yahoo Finance(米株)/UseTheBitcoin(ETH)/米指標カレンダー/価格データはCoinMarketCap(10月9日6時56分時点)

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の暗号資産の売買を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本を失う可能性があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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