下期入り3日目の夕、暗号資産市場は前夜の反発地合いを日中も引き継ぎ、底堅く推移した。国内では東証上場のメタプラネットが新たに2,823BTCを取得し、保有量を4万3,000BTCへ拡大。米ツエンティワン・キャピタルに次ぐ世界3位の「ビットコイン保有企業」に迫った。為替市場では、約40年ぶりの円安水準をつけたドル円が前夜の弱い米雇用統計で急反落し、政府・日銀の介入警戒がくすぶる。本稿(夕刊)では、日中アジアの値動き、日本企業の動向、そしてイーサリアム陣営の構造変化を整理する。
主要マーケット動向:ETH主導で反発持続、BTCは6万1,000ドル台を維持
ビットコインは、前夜の米6月雇用統計の下振れをきっかけとした反発を維持した。CoinDeskの価格データでは、7月3日午前(米東部時間、日本時間3日午後)時点で1BTC=6万1,624.69ドル前後と、24時間で約2%高で推移した(CoinDesk(価格))。前日に7月の高値6万2,038ドルをつけた後の高値圏でのもみ合いが続く。国内円建てでは、ドル円が160〜161円台へ水準を切り下げたことも重なり、おおむね990万〜1,000万円前後で推移している。
上昇の主役は引き続きアルトコインだ。イーサリアム(ETH)は6万ドル回復後も買いが続き、1,711.80ドル前後と24時間で約5.4%高。週間では10%近い上げとなった。XRPは1.10ドルと1ドルの節目を明確に維持し、ソラナ(SOL)は81ドル前後へ約3.9%高、週間では2割近く上昇した(CoinDesk(価格)、CoinDesk(Markets))。CoinDeskはこの動きを「今回の下落局面で初めての本格的な戻り」と表現し、値がさ株ならぬ小型トークンが上昇を主導したと伝えている。もっとも、6月に過去最悪のETF資金流出を記録した需給の重石は残っており、戻りの持続力は見極めが必要な段階だ。
重要ヘッドライン
メタプラネットが2,823BTC追加取得、保有4万3,000BTCで世界3位に
東証上場のメタプラネット(3350)は7月2日、新たに2,823BTC(約1億7,070万ドル=約358億8,600万円)を取得し、保有総数を4万3,000BTC(約26億ドル)へ拡大したと開示した。BitcoinTreasuriesの集計では、米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)、米ツエンティワン・キャピタル(4万3,514BTC)に次ぐ世界3位の上場ビットコイン保有企業となった。あわせて同社は、ビットコインを使ったオプション運用(ビットコイン・インカム事業)の第2四半期売上高が約17億4,700万円、上期累計で約47億1,700万円に達したと発表。株価は開示を受け3.5%高の207円で引けた(CoinDesk、日本経済新聞(適時開示)、あたらしい経済)。
イーサリアム財団、54人(約20%)を削減し予算を40%圧縮
イーサリアム財団は6月下旬、従業員の約20%にあたる54人を削減し、2026年の予算を約40%圧縮する大規模な組織再編を実施した。共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は、財団を「エンドウメント(基金)モデル」へ移行させ、2030年までに年間支出を保有資産の5%程度(従来は約15%)に抑える方針を示した。組織はプロトコル・アクセス・ユーザー・コミュニティ・機関の5クラスターへ再編される。今年に入り幹部の退任が相次いだ末の「痛みを伴う再構築」で、記録的なネットワーク利用にもかかわらずETH価格が年初来で大きく下落するなか、持続可能な財務体質への転換を迫られた形だ(CoinDesk、The Defiant)。
ソラナがオンチェーン・ガバナンスを始動、提案には10万SOLの担保
ソラナは7月2日、オンチェーン(ブロックチェーン上)でのガバナンス投票の仕組みを導入した。提案を起票するには10万SOL(約770万ドル相当)のステーキングを要件とし、スパム的な提案を抑えつつネットワーク参加者の意思決定を分散化する狙いだ。主要L1(レイヤー1)ブロックチェーンで、運営の透明性と分権化を巡る競争が続いていることを示す動きといえる(CoinDesk)。
ドル円は約40年ぶり高値から反落、介入警戒はなお継続
為替市場では、ドル円が7月2日に一時162.84円前後と1986年12月以来の高値をつけた後、米6月雇用統計の下振れを受けて約0.9%下落し、一時160.63円前後まで急反落した。政府・日銀による円買い介入への警戒は続いており、ロイターは「日本政府は投機的な円安への介入姿勢を崩していない」と報じている。円相場の急変動は、円建てで暗号資産を取引する国内投資家の実質的な損益にも影響するため、注視が必要だ(外為どっとコム(7/3見通し)、財務省(為替介入実施状況))。
テーマ深堀り:日本企業のビットコイン戦略と「円安・介入」の交差点
今回のメタプラネットの追加取得は、単なる企業のバランスシート戦略にとどまらない意味を持つ。第一に、同社は保有資産をただ積み上げるだけでなく、ビットコインのオプションを使って四半期で約17億円、上期で約47億円の運用収益を生み出しており、「保有」と「収益化」を両立させる姿勢を鮮明にした(CoinDesk)。世界最大のストラテジーが値上がり益を主軸とするのに対し、メタプラネットはキャッシュフロー創出を組み合わせる点が特徴だ。
第二に、この動きは足元の円相場と無関係ではない。ドル円が約40年ぶりの水準まで円安が進むなか、ドル建て資産であるビットコインを保有することは、円の実質購買力の低下に対するヘッジとしての側面も帯びる。もっとも、円買い介入が入れば円高方向に振れ、円建てのビットコイン評価額は目減りする。為替の急変動は諸刃の剣であり、日本の個人投資家にとっても、ドル建て価格の上昇と円相場の動きを分けて捉える視点が欠かせない。第三に、こうした上場企業の大量保有は市場の需給を下支えする一方、株価が保有ビットコインの評価額に連動しやすくなるため、相場下落局面での増幅リスクもはらむ。制度面では、金融庁が暗号資産を金融商品取引法の枠組みへ移す方針を掲げており、企業・個人双方の位置づけが今後さらに整理されていく見通しだ。
識者の見方:ETHの反発を巡り、強気と慎重が交錯
イーサリアムの週間10%近い上昇を受け、市場の見方は割れている。強気派では、スタンダード・チャータードがETHの2026年末目標を4,000ドルとし、機関投資家の関心が再びETHに向かう可能性を指摘する。一方で慎重派は、現物ETHのETFが直近5営業日で約2億7,400万ドルの流出を記録し、プラスの資金流入日がゼロだった点を重視。シティはETHの12カ月目標を2,240ドルへ引き下げ、ETF資金の細りと規制の不透明感を理由に挙げた。財団の大規模再編も、開発体制の効率化と受け止める向きと、成長の踊り場と見る向きに分かれる。強気・慎重いずれの立場も、当面はETF資金フローの反転と米国の金利観測を最大の分岐点として挙げている(CoinMarketCap、CoinDesk)。
今後の注目イベント・指標
明日7月4日は米国が独立記念日で株式・債券市場が休場となるため、今夜から週明けにかけては薄商いとなりやすく、値が振れやすい点に留意したい。連休明け以降は、次回の米消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)、FRB高官の発言が金利観測を左右する。国内では為替介入の有無と金融庁の制度関連の動き、ETFの資金フロー(Farside Investors等)が継続的な確認ポイントとなる。
まとめ
夕方の暗号資産市場は、ETHを主役に前夜の反発を維持し、BTCは6万1,000ドル台で底堅く推移した。国内ではメタプラネットが2,823BTCを追加取得して世界3位に迫り、日本企業のビットコイン戦略が改めて注目を集めた。一方でイーサリアム財団の大規模再編、ETFの資金流出、約40年ぶりの円安と介入警戒など、楽観一色とは言い難い材料も残る。米独立記念日の連休を控えた薄商いのなか、需給・金利・為替の三つの軸を冷静に見極めたい。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



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