24日のアジア時間、ビットコイン(BTC)は前日の安値圏からじりじりと水準を切り上げ、夕方には1BTC=1,060万円台を回復した。米国の金利警戒という重しは残るものの、ストラテジー(旧マイクロストラテジー)の3週連続の買い増しに代表される企業の現物買い、そして長期保有者の売却ペース鈍化が下支えとなっている。米国では連邦準備制度(FRB)によるデジタルドル(CBDC)の発行を禁じる条項を含む住宅法案が上院を通過し、規制の地図にも動きが出てきた。本稿(夕刊)では、日中のアジアの値動きと、企業・規制をめぐる本日のトピックを整理する。
主要マーケット動向:BTCは1,060万円台へ反発、長期保有者の売りは一服
ビットコインは2026年6月24日18時時点(日本時間)で、CoinPostの表示で1BTC=約1,063万円(約6万5,800ドル)まで値を戻した(CoinPost)。前日23日の米国市場で一時6万2,000ドル台前半(Yahoo Finance)まで軟化した水準からは、アジア時間にかけて緩やかに持ち直した格好だ。為替はドル円が161円台半ばでもみ合い、三菱UFJ銀行の公表仲値は161.66円となった(みんかぶFX、OANDA)。円安基調が続くため、ドル建てが横ばいでも円換算では高めに振れやすい点に留意が必要だ。
主要アルトコインも同時点のCoinPost表示で総じて底堅く、イーサリアム(ETH)は約28.7万円(約1,778ドル)、リップル(XRP)は約198円、ソラナ(SOL)は約1万1,900円、BNBは約9.8万円、ドージコイン(DOGE)は約14円で推移した(CoinPost)。短期的にはアジア時間に売りが一巡し、値ごろ感からの買い戻しが入ったとみられる。
需給面では、明るい兆しも出てきた。CryptoQuantのデータによれば、保有5年超のビットコイン古参投資家(OG)による売却ペースが急速に鈍化し、90日移動平均は962BTCと2024年11月以来の低水準まで低下した。相場への売り圧力が和らぎつつあることを示すシグナルだ(CoinPost)。一方で機関投資家の買い意欲は依然鈍く、米取引所コインベースでの買い圧力を示す「コインベース・プレミアム指数」は2025年12月以降マイナス圏での推移が続いており、強気・弱気の綱引きが続いている(CoinPost)。
重要ヘッドライン
① ストラテジーが3週連続でBTC買い増し、累計84.7万BTCに
ビットコイン財務(トレジャリー)企業最大手のストラテジーは22日、米証券取引委員会(SEC)への8-K提出を通じ、6月15〜21日に520BTCを約3,490万ドル(平均取得単価1BTC=6万7,068ドル)で取得したと発表した。これで3週連続の買い増しとなり、累計保有量は84万7,363BTC(約8.8兆円相当)に達した。累計平均取得単価は1BTC=7万5,651ドルで、足元の市場価格を上回る「含み損」状態にある(CoinPost、Strategy社公式発表)。米ドル準備金も3億ドル積み増し14億ドルへ拡大しており、優先株の配当や社債利払いに備える姿勢を鮮明にしている。
② 米住宅法案が上院通過、CBDC発行を2030年まで禁止
米上院は住宅法案「21世紀ROAD Housing Act」を85対5の賛成多数で可決した。同法案には、FRBによる中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を2030年まで禁じる条項が盛り込まれている。今後、下院通過と大統領署名を経て成立する見通しだ(CoinPost)。CBDCへの警戒は米国の暗号資産・ステーブルコイン政策の論点であり続けており、民間のドル建てステーブルコインを後押しする方向性とあわせて注視したい。
③ グレースケール「CLARITY法成立ならETH・SOL・BNB・Cantonが最大の受益」
資産運用大手グレースケールは、米国の市場構造法案「CLARITY法(クラリティー法)」が成立した場合、トークン化資産(RWA)と分散型金融(DeFi)の本格普及が進み、イーサリアム・ソラナ・BNBチェーン・カントンネットワークの4つが最大の受益者になり得るとの見方を示した(CoinPost)。同社はまた、FRBが利上げを見送った場合にはビットコインが米株式市場に追いつく形で見直される余地があるとも指摘している(CoinPost)。
④ 英中銀、ポンド建てステーブルコインの行動規範案を公開
イングランド銀行(英中央銀行)は、金融システム上重要なポンド建てステーブルコインを対象とする行動規範の草案を公表した。発行上限の設定や、保有者への利回り付与の禁止、償還の仕組みなどが盛り込まれている(CoinPost)。米国の「GENIUS法」、EUの「MiCA」に続き、主要国がステーブルコインの制度整備を競うように進めている構図が一段と鮮明になった。
⑤ 日本:大阪・天王寺ミオに西日本初の暗号資産ATM
国内では、コインハブがJR西日本SC開発と契約を締結し、大阪の商業施設「天王寺ミオ」に西日本で初となる暗号資産ATMを設置すると発表した。現金と暗号資産の双方向取引に対応し、全国で3,000台規模の展開を目指すという(CoinPost)。アジア最大級のWeb3カンファレンス「WebX2026」にメタプラネットがプラチナスポンサーとして参画するなど、国内の事業者の動きも活発さを増している(CoinPost)。
テーマ深掘り:ETF流出を企業の現物買いが支える構図と、その死角
足元の相場を読み解く鍵は、「ETFからの資金流出」と「企業による現物買い」のせめぎ合いにある。米現物ビットコインETFは6月18日までの週に約2億2,680万ドルが流出し、6週連続の流出という過去最長記録を更新した。ただし流出額は6月第1週の約17億2,000万ドルから大幅に縮小しており、アナリストは売り圧力の収束を指摘する(CoinPost(SoSoValue集計))。一方でギャラクシー・リサーチによれば、直近30日間の純流出額は約64億ドルとETF承認来で最大規模に膨らんでおり、累積純流入もピークの約630億ドルから約90億ドル目減りした(CoinPost(Galaxy集計))。
この流出を埋めるように現物を買い続けているのが、ストラテジーをはじめとする企業勢だ。ストラテジーは3週連続で買い増しを続け、累計84.7万BTCを積み上げた。国内でも、メタプラネットやリミックスポイントなどがビットコインを財務資産として保有を拡大しており、ETF経由の機関マネーが細る局面でも、企業のバランスシートが需給の下支え役を担っている。
ただし、この構図には死角もある。オンチェーンアナリストは、ストラテジーの資金調達モデルに軋みが生じていると警告する。BTC価格が同社の平均取得単価(約7万5,651ドル)を下回るなか、優先株「STRC」の額面割れや資金調達コストの上昇が重なれば、市場を支えてきた同社の「買い手」としての力が弱まりかねないとの指摘だ(CoinPost)。企業の現物買いは相場の安定材料である一方、その持続性が株価・調達環境に依存する点には注意が必要だ。
識者の見方:強気・弱気が交錯
強気派は、制度整備と需給改善を支えに中期的な見直しを見込む。グレースケールはFRBが利上げを見送ればビットコインは現水準で割安だと分析し、ビットワイズのCEOホーズリー氏も「1990年代のネットバブル崩壊後と似ており、実績を証明した銘柄が次のサイクルでより大きく成長する」との見解を示している(CoinPost)。長期保有者の売却鈍化も、下値の堅さを示す材料と受け止められている。
一方、弱気派は機関需要の不在とマイナーの動向を警戒する。コインベース・プレミアム指数のマイナス圏推移は機関投資家の買いが乏しいことを示し、ギャラクシー・リサーチによればビットコインのマイニング難易度はピークから約19.9%低下した。これは2021年の中国によるマイニング禁止以来の大きな下落幅で、採算悪化に伴うマイナーの「降伏(キャピチュレーション)」のシグナルとして注視されている(CoinPost)。
今後の注目イベント・指標
最大の関門は、25日(木)に米商務省経済分析局(BEA)が発表する5月の個人消費支出(PCE)物価指数だ。FRBが最重視するインフレ指標であり、結果次第で利上げ・利下げ観測の綱引きが大きく傾く可能性がある。あわせて、現物ETFの日次資金フロー(Farside Investorsで確認可能)、米ステーブルコイン規制「GENIUS法」の主要規則の法定期限(7月18日)、そして市場構造法案「CLARITY法」の審議の行方が、当面の方向感を左右する。
まとめ
24日のアジア時間、ビットコインは1,060万円台へ反発し、長期保有者の売却鈍化や企業の現物買いが下支えとなった。米国ではCBDC発行を禁じる条項を含む住宅法案が上院を通過し、英国はステーブルコインの行動規範案を公表するなど、規制の枠組みづくりが各国で加速している。ETF流出と企業買いのせめぎ合いが続くなか、25日のPCEが当面の最大の試金石となる。日本の投資家は、161円台半ばの円安が円建て価格を押し上げる効果にも引き続き留意したい。
—
*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



コメント