【8月10日朝】BTC1000万円で週明け、今週CPIが最大の関門

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週明けの暗号資産市場は、ビットコイン(BTC)が6万4,000〜6万5,000ドル前後で底堅く推移したまま、今週最大の関門を迎える。先週末(7日)に発表された7月の米雇用統計が「雇用者数の減少」という衝撃的な結果となったことで9月の利下げ観測が一段と強まり、S&P500種株価指数は史上最高値を更新した。そんな追い風のなか、市場が固唾をのんで待つのが日本時間13日夜に発表される7月の米消費者物価指数(CPI)だ。今週はCPIに続きPPI(卸売物価)、小売売上高とインフレ・消費関連の重要指標が立て続けに並ぶ。8月10日朝の市場を整理する。

主要マーケット動向:BTCは1,000万円台で週明け、指標待ちの膠着

BTCは日本時間8月10日朝時点で6万4,000〜6万5,000ドル前後で推移している。円換算では1BTCあたり約1,000万円の水準だ(1ドル=約155円換算)。先週末は伝統的な株式・債券市場が休場で出来高が細るなか、7日(金)に付けた8月高値の6万5,300ドル超をうかがう底堅い展開が続いた(Yahoo FinanceCF Benchmarks)。

イーサリアム(ETH)は1,915ドル前後(約30万円)でほぼ横ばい。9日は前日比ほぼ変わらずの1,915ドル台で推移した(CaptainAltcoinMetaMask)。主要アルトコインでは、XRPが1.03ドル前後(前日比約0.4%高)、ソラナ(SOL)が76ドル前後(同約1.8%高)と小幅に反発している。暗号資産全体の時価総額は約2兆2,100億ドルで、週末の24時間出来高は約333億ドルと商いは薄い(CaptainAltcoin)。

市場心理を映す「恐怖と欲望指数(Fear & Greed Index)」は30台後半の「恐怖(Fear)」圏にとどまる。価格が節目の6万5,000ドル近辺で底堅く推移するなかでも、投資家がリスクを積極的に取りにいけていない状況がうかがえる(CaptainAltcoinMilk Road)。

相場の下値を支えているのは、先週末に一変したFRB(米連邦準備制度理事会)を巡る見立てだ。8月7日(金)に発表された7月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が約2万3,000人の「減少」と、事前の増加予想を大きく裏切る内容だった。加えて5月・6月分が合計10万3,000人下方修正され、労働市場の急減速が鮮明になった(Yahoo FinanceCapital Street FX)。この「ショック」を受け、株式市場ではS&P500が7,757.64ポイントと史上最高値を更新し、4月以来最良の週間騰落率を記録。金利先物市場では9月16日のFOMCでの利下げ観測が急速に強まった(Capital Street FX)。

重要ヘッドライン

今週は「インフレ週間」──CPI・PPI・小売が連続

今週の米経済指標は、13日(木)夜の7月CPI、14日(金)の7月PPI(卸売物価指数)、15日(土)の7月小売売上高と、インフレと消費の体温計が立て続けに並ぶ(日本時間、Capital Street FX)。市場予想では、CPIの総合指数が前年同月比2.8%(6月は2.7%)、コアCPIが同3.0%への上昇が見込まれている(IBIT Global)。雇用の急減速で9月利下げの地ならしが進むなか、インフレが想定通り鈍化を続ければ利下げ観測を後押しし、逆に上振れすればFRBの慎重姿勢を意識させる。CPIは過去にも暗号資産・株式双方で最大級の1日の変動を生んできた指標だけに、今週最大の注目イベントとなる。

米BTC現物ETF、8月は流出ゼロ日で純流入継続

米国の現物ビットコインETFは8月に入って堅調な資金流入が続いている。直近では7日(金)に約1億170万ドルの純流入を記録し、ブラックロックのIBIT(iシェアーズ・ビットコイン・トラスト)が単独で約8,670万ドルを集めて全体を牽引した(Blockchain.NewsFarside Investors)。月初からの3営業日だけで純流入は合計約6億2,600万ドルに達し、8月はここまで純流出を記録した日が一日もない(TheStreet)。価格が膠着するなかでも機関投資家の押し目買いが続いていることを示している。

ETH現物ETFは資金流出が継続、BTCと明暗

一方でイーサリアム現物ETFは資金流出が続く。米ETH現物ETFは直近まで4週連続で純流出を記録しており、7月下旬(24〜30日)だけでも約6,970万ドルの純流出となった(Cointelegraph)。ETH価格が横ばい圏を維持するなかでも大口投資家の慎重姿勢が続いており、BTCへの資金流入とは対照的な構図が鮮明だ。この需給の差が、年初来でBTCが底堅い一方、ETHの上値が重い一因となっている。

金融庁が「暗号資産・ステーブルコイン課」を新設

国内では金融庁が8月7日付の組織再編で「暗号資産・ステーブルコイン課」を新設した。従来の「暗号資産・ブロックチェーン等の担当参事官室」を格上げする形で、資産運用・保険監督局のもとに置かれ、暗号資産交換業者やステーブルコイン発行者の監督を専門的に担う(CoinPost事業構想オンライン)。「暗号資産」の名を冠した課が金融庁に設けられるのは初めてで、日本が制度面で暗号資産を「例外的な存在」から「監督対象の主要資産」へと位置づけを引き上げつつあることを示す動きといえる。

テーマ深堀り:雇用ショックが変えた「利下げの物語」

先週の相場を根底から変えたのは、7月の米雇用統計だった。非農業部門雇用者数が約2万3,000人の減少と、市場が見込んでいた増加から一転して「マイナス」に沈んだうえ、過去2カ月分が10万人超も下方修正された。この一報で、それまで「インフレが下げ渋るなか利下げは急がない」という見立てが優勢だった市場は、「労働市場の失速を受けて9月にも利下げへ」という物語へと急転換した(Capital Street FX)。

この転換は暗号資産にとって基本的に追い風となる。金利低下は、金利を生まないBTCのような資産の相対的な魅力を高め、リスク資産全体への資金流入を促しやすいためだ。実際、雇用統計後にBTCは8月高値をつけ、S&P500は史上最高値を更新した(CF Benchmarks)。

ただし、この「物語」が今週の指標で試される点には注意が必要だ。労働市場の弱さは利下げを後押しする一方、CPIやPPIが上振れすれば「インフレが再燃するなかで景気は減速する」という、中央銀行にとって最も対応が難しい局面(スタグフレーション的な様相)への警戒が高まりかねない。その場合、利下げ観測が後退してリスク資産全体が調整する展開もあり得る。今週の一連の指標は、単なる数字の確認ではなく、相場を支える「利下げの物語」そのものの信認を問うものになる。

識者の見方:強気と慎重、二つの視点

強気派は、雇用の減速で9月利下げがほぼ既定路線になりつつある点を重視する。金利低下局面ではBTC現物ETFへの資金流入が続きやすく、実際に8月は流出ゼロ日で純流入が継続している。機関投資家の押し目買いが下値を固めているとの見方だ。

一方で慎重派は、恐怖と欲望指数が「恐怖」圏にとどまり、ETH現物ETFからの資金流出が4週連続で続いている点を警戒する。価格の底堅さと投資家心理の弱さが乖離しており、CPIが上振れれば利下げ期待の巻き戻しから急落するリスクをはらむとみる。今週の指標を通過するまでは、方向感を欠く神経質な展開が続くとの慎重論も根強い。

今後の注目イベント・指標

今週は米国のインフレ・消費指標が集中する。7月CPI(13日夜)、7月PPI(14日)、7月小売売上高(15日)が最大の焦点だ。加えて、9月16日のFOMCに向けたFRB高官の発言、米現物ETFの日次資金フロー(Farside Investors)、そして米上院で9月の本会議採決が焦点となる「クラリティ法案(Digital Asset Market Clarity Act)」の続報にも引き続き注意したい。

まとめ

週明けのBTCは1,000万円前後で底堅く推移し、雇用ショックで強まった9月利下げ観測が下値を支えている。ただし相場の主役は今週のCPI・PPI・小売売上高へと移る。利下げの「物語」が指標で裏づけられるか否かが、当面の方向を決める。国内では金融庁の新体制が始動し、日本の制度整備も一歩前進した。

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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