【8月10日夕】BTC1032万円台、CME勢が異例の買い越し ビットコイン分岐は不発

【8月10日夕】BTC1032万円台、CME勢が異例の買い越し ビットコイン分岐は不発 Uncategorized

週明けの暗号資産市場は、ビットコイン(BTC)が1,030万円台で底堅く推移するなか、市場構造の水面下で見逃せない変化が起きている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)でヘッジファンドがビットコイン先物を「買い越し(ネットロング)」に転じたのだ。長年ショートに傾いてきた大口投機筋の異例の方向転換で、機関投資家の強気姿勢を映す動きとして注目される。一方、週末に強行されたビットコインのソフトフォーク「BIP-110」は、支持がわずか2.5%にとどまり事実上の不発に終わった。日本時間13日夜の米消費者物価指数(CPI)を前に、8月10日夕方の市場を整理する。

主要マーケット動向:BTCは1,030万円台、Asia時間も底堅く

BTCは日本時間8月10日夕方時点で6万5,000〜6万5,500ドル前後で推移している。円換算では1BTCあたり約1,032万円の水準だ(1ドル=約158円換算)。24時間では約0.6%高と小幅に上昇し、暗号資産全体の時価総額は約2兆2,200億ドルと前日比0.9%増となった(CoinPostFortune)。国内取引所bitbankのアナリストは、BTCは対円で1,020万円台に持ち直したものの上げ渋りが続いており、米CPIと今後の金融政策観測が目先の方向感を左右するとの見方を示している(CoinPost)。

イーサリアム(ETH)は約1,915ドル(約30万5,000円、24時間で約0.5%高)でほぼ横ばい。主要アルトコインではXRPが1.03ドル前後、ソラナ(SOL)が約74〜77ドルと小動きにとどまり、週明けの午後も方向感を欠く展開が続いた(CoinPostCoinGecko)。伝統的な株式市場が休場だった週末を経て、アジア時間も大きな波乱はなく、投資家は今週最大のイベントである米CPIを見極める姿勢を強めている。

相場の下値を支える構図に変化はない。先週末に発表された7月の米雇用統計が「雇用者数の減少」という予想外の弱さを示したことで9月の利下げ観測が強まり、金利低下期待がリスク資産全体の追い風となっている。この地合いのなかで、次に述べる先物市場の異変が起きている。

重要ヘッドライン

CME勢が異例の「買い越し」──ベーシス取引の巻き戻し

今夕最も注目された市場ニュースは、CMEでヘッジファンドがビットコイン先物のポジションをネットロング(買い越し)に転換したことだ。分析企業クリプトクアントのキ・ヤンジュCEOが10日にX(旧ツイッター)で指摘した(CoinDeskCoinPost)。

これは珍しい動きだ。レバレッジ勢はこれまで、現物やETFを買うと同時に先物を売る「ベーシス取引(裁定取引)」のため、CME先物では構造的にショート(売り持ち)を維持してきた。ところが先物の利回りが米国債を下回る水準まで低下し、BTCが5万8,000ドルから6万5,000ドル近辺まで戻すなかで、この裁定取引の巻き戻しが進んだとみられる。ショートの解消と新規の買いが、ウォール街の投資家が値上がりに賭け始めた兆候と受け止められている。

サムスン、ウォレットにステーブルコインを年内導入へ

韓国サムスン電子は、同社の決済アプリ「Samsung Wallet(ギャラクシー・ウォレット)」に年内、一部の国でステーブルコインの口座開設・海外送金・決済機能を導入すると表明した(CoinPostCoinDesk)。7月のGalaxy Unpackedで示した構想に、初めて具体的な導入時期が加わった格好だ。サムスンはウォレットの標準機能としてステーブルコインを組み込む計画で、対応通貨にはサークルのUSDCが有力視されている。全世界で8億台超のスマートフォンにドル建てデジタル通貨が標準搭載される可能性があり、実現すればステーブルコインの一般利用者への普及を大きく後押しする(PYMNTS)。

グレースケール「クラリティ法不成立でも業界は前進可能」

米上院で審議手続きが始まった暗号資産の市場構造法案「クラリティ法案」を巡り、資産運用大手グレースケールは10日、仮に同法が成立しなくても暗号資産市場の発展は続くとの分析を示した(CoinPost)。ただし、法制度が整わなければ投資や起業活動が海外に流出するリスクがあると警告し、9月の上院採決が最初の関門になると指摘した。法案の年内成立見通しが後退するなか、規制整備の遅れが米国の競争力に及ぼす影響への関心が高まっている。

米上場企業がBTC売却、企業の資金繰りに注目

米ナスダック上場のエンペリーデジタル(Empery Digital)は、7月1日から8月6日にかけてビットコインを1,635BTC売却したと四半期報告書(10-Q)で開示した。担保分を除く非拘束のBTC保有は325BTCまで減少し、6月末比で約76%減となった(CoinPost)。メタプラネットのように保有を積み増す企業がある一方、資金需要から売却に動く企業もあり、「ビットコイン・トレジャリー」企業の財務状況を個別に見極める重要性が改めて意識される。

テーマ深堀り:ビットコイン「BIP-110」フォークはなぜ不発に終わったのか

今週末、ビットコインの技術・思想を巡る象徴的な出来事があった。ソフトフォーク提案「BIP-110」を支持する少数のノードが8日、ブロック高961,632でこの提案に従わないブロックを拒否し始め、ビットコインのブロックチェーンは形式上二つに分岐した。しかし、その少数派チェーンは約8時間でわずか2ブロックしか生成できず、本流のチェーンが48ブロックを刻む間に大きく引き離された(BlockonomiCoinPost)。

BIP-110は、約1年間の期間限定で、オーディナルズ(Ordinals)やRunes、BRC-20といった金融取引以外のデータ(画像・テキスト等)をブロックチェーンに記録することを制限しようとする提案だった。支持者は、こうしたデータがノードの運用負担や手数料を押し上げ、ビットコインの「健全なマネー」としての本質と相いれないと批判してきた。一方で、オーディナルズはビットコインへの新たな関心とマイナーの収益源を生むイノベーションだとの反論もあり、数年来意見が割れてきたテーマだ(CoinPost)。

ビットコインのアップグレードは通常、採掘者の55%(約2週間で2,016ブロック中1,109ブロック)が賛意を示して初めて発動する。ところが過去2週間でBIP-110を支持したブロックは全体の2.53%にとどまり、発動要件には遠く及ばなかった。BIP-110に全面反対していた米ストラテジー社のマイケル・セイラー会長は、分岐後もビットコインのハッシュパワー(計算能力)の約99.85%が本流に残ったと指摘。少数派チェーンは全体の約0.15%の計算能力しか持たず、最初の難易度調整に到達するには約25年かかると述べた。そのうえで「誰でもビットコインをフォークできるが、セキュリティ、実用性、資本、そしてユーザーが伴わなければ意味がない。コンセンサス(合意)は宣言するものではなく、獲得するものだ」と語った(CoinPostThe Block)。

この一件は、ビットコインの分権的なガバナンスが機能したことを示す事例といえる。中央の管理者が存在しないビットコインでは、誰でもルールを変えたチェーンを立ち上げる自由がある反面、市場・採掘者・利用者の支持を得られなければそのチェーンは実質的に生き残れない。ブロックチェーンの用途を巡る根深い対立が可視化された一方で、少数の主張が力ずくで通ることはないという「設計思想」も改めて確認された格好だ。なお、別のフォークである「eCash」も8月23日から3段階で開始が予定されており(CoinPost)、ビットコインの方向性を巡る議論は当面続きそうだ。

識者の見方:強気の構造変化と、残る慎重論

強気派が注目するのは、今夕伝わったCME先物の構造変化だ。長くショートに傾いてきたヘッジファンドが買い越しに転じたことは、機関投資家がここからの上昇に賭け始めた可能性を示す。アークインベストのキャシー・ウッドCEOも、雇用統計を受けても景気認識はなお強気だとし、デフレ的な圧力やドル安・原油安を背景に、ビットコインとステーブルコインが今後の商取引の受益者になるとの見方を示している(CoinPost)。

一方で慎重派は、価格が1,030万円前後で「上げ渋り」の様相を強めている点や、クラリティ法案の年内成立見通しが後退している点を警戒する。米上場企業のなかにBTC売却に動く例が出ていることも、短期的な需給の重しになり得る。何より今週は米CPIという最大の関門を控えており、インフレが上振れれば利下げ期待の巻き戻しから調整が入るリスクは残る。方向感が定まるのは指標通過後との見方が根強い。

今後の注目イベント・指標

今週は米国のインフレ・消費指標が集中する。日本時間13日(木)夜の7月CPI、14日(金)の7月PPI(卸売物価指数)、15日(土)の7月小売売上高が最大の焦点だ。加えて、9月16日のFOMCに向けたFRB高官の発言、米現物ETFの日次資金フロー(Farside Investors)、9月の上院採決が焦点となるクラリティ法案の続報、そして8月23日開始予定のビットコイン「eCash」フォークにも注意したい。

まとめ

週明けのBTCは1,030万円台で底堅く推移するなか、CME先物ではヘッジファンドが異例の買い越しに転じ、機関投資家の強気姿勢がうかがえる。技術面では「BIP-110」フォークが支持不足で不発に終わり、ビットコインの分権的ガバナンスが機能した。ただし相場の主役は今週のCPIへと移る。利下げの物語が指標で裏づけられるかが、当面の方向を決める。

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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