前夜の米国株式市場は主要3指数がそろって過去最高値を更新し、ダウ工業株30種平均は史上初めて5万4,000ドル台で取引を終えた。好調な企業決算とイラン情勢の緊張緩和期待が追い風となった格好だ。一方、ビットコイン(BTC)は6万4,000ドル手前で足踏みが続き、暗号資産市場の投資家心理は「極度の恐怖」にとどまる。株高と慎重なクリプトの温度差が鮮明になっている。米上院では暗号資産の市場構造を定める「CLARITY法案」の採決が見送られた。本日は米ADP雇用統計とISM非製造業景況指数が控える。8月5日朝の市場を整理する。
主要マーケット動向:米株最高値でもBTCは6.4万ドルで足踏み
BTCは日本時間8月5日早朝時点で6万4,000ドル前後で推移し、直近24時間ではほぼ横ばい圏にある。前日の取引では一時6万4,160ドルと7月31日以来の高値を付けた後、伸び悩んだ(CoinDesk、CoinPost)。円換算では1BTCあたり約1,000万円の水準だ(1ドル=約156円換算)。
イーサリアム(ETH)は1,860ドル前後(約29万円)と小動きで、直近1週間では小幅安。主要アルトではカルダノ(ADA)が堅調に推移した一方、暗号資産全体の時価総額は約2.27兆ドルにとどまる。市場心理を示す「恐怖と欲望指数(Fear & Greed Index)」は25と、「極度の恐怖(Extreme Fear)」の領域に沈んだままだ(HokaNews/CoinGabbar集計)。株式が最高値を更新するなかで暗号資産だけがリスク選好に乗り切れておらず、両市場の温度差が意識されている。
前夜の米株市場では、S&P500種株価指数が前日比1.79%高の7,737で約2カ月ぶりの最高値を更新。ダウ工業株30種平均は900ドル超(1.71%)上昇して5万4,000ドルの大台に初めて乗せ、ハイテク株中心のナスダック総合指数は2.59%高の2万6,585と、こちらも最高値圏で引けた(TheStreet、CNN Business)。米BTC現物ETFには8月3日に約1億7,010万ドルの資金が純流入し、前週末の流出から持ち直した(Farside集計/KuCoin)。
重要ヘッドライン
米主要3指数がそろって最高値、決算とイラン緩和期待が追い風
前夜の米株高は、好調な企業決算とホルムズ海峡再開に向けた交渉進展への期待が支えた。データ分析大手のパランティア(PLTR)は、AI関連需要を背景とした増収を受けて29%急騰し、過去2番目の上昇率を記録。一方、アマゾン・ドット・コムは前日に時価総額3兆ドルを突破したものの、創業者ジェフ・ベゾス氏が約40億ドル相当の株式売却を届け出たことが嫌気され、2%下落した(TheStreet、CNN Business)。株式市場のリスク選好が暗号資産にどこまで波及するかが、当面の焦点となる。
コールドカード問題が続報、被害額は最大8,900万ドルに拡大
ハードウェアウォレット「Coldcard(コールドカード)」の2021年以来のファームウェア不具合を突いた資金流出は、被害がさらに広がっている。当初は7月30日に約41分間で1,000枚超のBTC(約7,020万ドル相当)が抜き取られたと報じられたが、その後の追加調査で被害額は最大約8,900万ドルに拡大したとされる(CoinDesk、The Hacker News)。開発元のCoinkiteは7月31日に緊急ファームウェアを配布したが、既存のシード(秘密鍵の基)自体は修復されないため、対象機種の利用者は資産の移動が推奨されている。自己管理(セルフカストディ)の前提を揺るがす事案として、注意喚起が続く。
リミックスポイントがBTC追加購入、国内上場企業の保有拡大続く
国内では、リミックスポイントが2日連続でビットコインの追加購入を開示した。合計で約5億円相当を取得し、BTC保有量を1,491枚超へ拡大。世界の上場企業BTC保有ランキングで、同じ日本企業のANAPホールディングスを上回ったと伝えられた(CoinPost、あたらしい経済)。同社はBTC以外にもETH・SOL・XRP・DOGEなどを保有する。前日の朝・夕で取り上げた米ストラテジー社の売却姿勢とは対照的に、日本の上場企業では暗号資産を財務戦略に組み込む動きが根強く続いている。
米BTC現物ETF、資金流入が回復
米国のビットコイン現物ETFは、8月3日に約1億7,010万ドルの純流入を記録し、前週末(7月31日)の約2億6,540万ドルの純流出から反転した(Farside集計/KuCoin)。一方、イーサリアム現物ETFは同日約1,190万ドルの純流出となり、資金の主戦場がBTCに集中する構図が続く。機関投資家の姿勢が価格の下支えになるかが問われている。
テーマ深堀り:CLARITY法案、上院が採決を見送り ― 2026年成立に黄信号
本日の最重要テーマは、米議会での暗号資産規制の停滞だ。暗号資産の「市場構造」を定める包括法案「デジタル資産市場CLARITY法案(Digital Asset Market Clarity Act)」について、上院が8月7日からの夏季休会入り前の本会議採決を見送ったことが明らかになった。上院多数党院内総務のジョン・スーン氏は、討議・修正・討論打ち切り(クローチャー)採決を休会前に終える時間がないと認めたと報じられている(Crypto Briefing、news.bitcoin.com)。
同法案は、暗号資産をどの規制当局(SECかCFTCか)が所管するかなど、業界が長年求めてきたルールの明確化を目的とする。2025年7月に下院を294対134で通過し、2026年5月には上院銀行委員会を15対9で通過したものの、その後は本会議での採決日程が定まらないまま推移してきた(Crypto Briefing)。採決見送りの直接の原因は、利益相反(倫理)条項をめぐる与野党の対立が解けていない点にあるとされる。
市場への影響も表れている。予測市場ポリマーケットでは、CLARITY法案が2026年内に成立する確率が一時82%あったものが、足元では約28%まで低下した(Yahoo Finance)。休会前の窓は年内成立に向けた事実上の節目とみられており、これを逃せば包括的な市場構造法の議論は次期議会に持ち越される可能性が高まる。規制の明確化を期待して買われてきた面がある暗号資産にとっては、当面の重しになりうる材料だ。もっとも法案が完全に頓挫したわけではなく、休会明けの再調整に含みを残しているとの見方もある。
識者の見方
強気派は、米株の最高値更新と現物ETFへの資金回帰を根拠に、暗号資産は出遅れているだけで、リスク選好の波及余地が大きいとみる。企業決算の底堅さとイラン情勢の緩和期待が続けば、BTCが再び6万5,000ドルの節目を試す展開もありうるとの指摘だ。
一方、慎重派は、恐怖と欲望指数が「極度の恐怖」に沈んでいる点や、CLARITY法案の停滞、コールドカード問題によるセルフカストディへの不信感を挙げ、上値追いには慎重だ。7月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)が9対3の賛成多数で金利据え置きを決めた際、3人が「利上げ」を主張して反対したことも、金融引き締め方向のリスクとして意識されている(CNBC、Charles Schwab)。株高が続いても暗号資産の反応は限定的、との読みだ。
今後の注目イベント・指標
本日(8月5日)は、米ADP全国雇用者数(市場予想は約14万5,000人増、前月は約12万2,000人増)と、ISM非製造業(サービス業)景況指数、S&Pグローバル・サービス業PMI、EIA原油在庫が相次いで発表される(Investing.com)。週末にかけては米雇用統計が控える。制度面ではCLARITY法案をめぐる休会前の動き(8月7日休会入り)、9月FOMCでの利上げ観測の行方が焦点だ。
まとめ
米株は最高値を更新したが、暗号資産は「極度の恐怖」のなかで6万4,000ドル手前の足踏みが続く。CLARITY法案の採決見送りとコールドカード問題が上値の重しとなる一方、現物ETFへの資金回帰は下支え材料だ。本日はADP雇用とISMサービス業指数、そして休会前の議会動向を見極めたい。
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免責事項:本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。



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