【5月29日朝】BTC7.3万ドル攻防+4月コアPCE減速──本日$6.25Bオプション期日が山場
2026年5月29日(金)朝、暗号資産市場はビットコイン(BTC)が7万3,000ドル前後で底堅さを試す展開となっている。前日28日夜(JST)に発表された米4月個人消費支出(PCE)統計は、コアPCEが前月比+0.2%(市場予想+0.3%)と月次の伸びが市場予想を下回り、リスク資産に小幅な追い風となった(出典:米商務省BEA 4月PCE、Benzinga 4月PCE速報)。同時に、米国とイランが60日間の停戦覚書(MOU)で大筋合意との報道も出たほか、本日夜にはDeribitで約62億5,000万ドル相当のBTCオプションが満期を迎える(最大痛点7万5,000ドル付近)。28日早朝に発生したホルムズ衝突由来のリスクオフから一夜明け、複数の力学が交錯する1日となる。
主要マーケット動向:BTC7.3万ドル前後で底入れ模索、ETHは2,000ドル境を再試行
CoinGeckoおよびCoinDesk価格データによれば、BTCは28日米国時間夕方〜29日アジア朝にかけて7万3,000〜7万3,800ドル付近で推移している。28日アジア朝の安値7万2,642ドルから徐々に底値を切り上げており、米PCE減速とイランMOU報道がやや下支えとなった(出典:CoinDesk 5/28 BTC急落、Yahoo Finance 5/28 BTC値動き)。ただし週足ベースでは前週比▲3〜4%の弱含みが続いており、地合いは依然脆い。
イーサリアム(ETH)は1,970〜2,010ドル付近で2,000ドル境界を巡る攻防が続く。Standard Charteredは「年末4,000ドル」のシナリオを維持しつつ、リテール買いが2,000ドル割れ局面で進んだとの分析を示している(出典:Invezz ETH分析 5/22、CoinGlass ETH ETFフロー)。28日時点でETH先物建玉が過去最高水準にある一方、ショート優勢の歪みが残り、ガンマヘッジ次第ではどちらにも振れ得る局面だ。
主要アルトでは、XRPが約1.28〜1.30ドル(前日比約▲2〜4%、出典:CoinDesk XRP、CoinDesk XRPサポート割れ 5/28)、SOLは約84ドル前後(出典:MetaMask SOL価格)と弱含み継続。BTCドミナンスはおおむね57〜58%帯で推移しており、地合いはBTC中心の様相を保っている。
重要ヘッドライン
4月コアPCEは月次+0.2%──ヘッドラインは2023年5月以来の高水準も「コア減速」を市場が好感
米商務省BEAが28日21:30(JST)に発表した4月PCE物価指数は、ヘッドラインで前月比+0.4%・前年比+3.8%(前月+3.5%)と、前年比ベースで2023年5月以来の高水準を記録した。一方、変動の大きい食品・エネルギーを除くコアPCEは前月比+0.2%(市場予想+0.3%)、前年比+3.3%(前月+3.2%)と、月次の伸びが市場予想を下回った(出典:BEA公式、Benzinga 4月PCE速報)。原油由来のヘッドライン上振れと、コアの月次減速の対比が映し出された格好で、CME FedWatchではウォーシュ新議長下の6/17 FOMCでの政策金利据え置き確率が引き続き95%超を維持しているが、利下げを完全に断念する流れは一段落した形だ(出典:CME FedWatch、Bitcoin News 利下げ織り込み)。
米イラン、60日間停戦MOU合意の報道──ブレント原油は反落
CNBCによれば、米国とイランの交渉担当者は28日、ホルムズ海峡情勢を巡る60日間の覚書(MOU)を取りまとめ、イランの核計画を巡る交渉開始で合意したと報じられた。最終承認はトランプ大統領待ちだが、報道後にブレント原油は前日比58セント安の93.71ドルで引け、暗号資産市場のリスクオフ圧力も和らいだ(出典:CNBC 5/28 米イラン停戦MOU報道、NBC News 停戦・原油)。一方、トランプ大統領は「いかなる国もホルムズ海峡の航行を支配しない」と発言しており、合意の細部を巡る不確実性は残る。Polymarketでは月末までの恒久停戦実現確率が8%にまで低下しており、市場はあくまで「短期の緊張緩和」として織り込んでいる。
ETF流出ストリーク継続──IBIT過去2位タイの大型流出、本日夜は5/28分のフロー注目
前日報じられた現物BTC ETF 11本合計▲7億3,343万ドル(IBIT単独▲5億2,784万ドル、過去2位タイ)の大型流出を受け、5月の現物BTC ETFは「累積で買い→売り」へとトレンドを切り替えた(出典:CoinDesk 5/28 IBIT記録的流出、Farside Investors 全データ)。本日深夜〜29日朝(JST)に公開される5月28日(米国時間木曜)分のフローは、リスクオフ・ピーク後にどう反応したかを測る重要指標となる。並行して現物ETH ETFは11営業日連続の流出となっており、ETH固有の弱さも続く(出典:SoSoValue ETH ETFダッシュボード)。
マスターカード、ニューヨークBitLicense取得──ステーブルコイン基盤を強化
NYDFS(ニューヨーク州金融サービス局)は27日(現地時間)、マスターカードの子会社Mastercard Transaction Services(U.S.)LLCにBitLicenseを付与した。これにより同社はデジタル資産・ステーブルコイン・トークン化預金・オンチェーン決済処理が同州内で可能となる(出典:CoinDesk 5/27 Mastercard BitLicense、Decrypt 5/27)。3月にステーブルコイン基盤BVNKを18億ドルで買収済みで、決済大手による「ステーブルコイン本格参入」が加速。VisaやPayPalも同様の動きを見せており、米国の決済レイヤーがオンチェーン化する流れが鮮明だ。
Cash App、約6,000万人にUSDC決済を順次解放
ブロック(旧Square)のCash Appは27日、約6,000万人の利用者に対してUSDC送受信機能を段階的に展開し始めた。対応チェーンはSolana、Ethereum、Polygon、Arbitrumの4つで、送金手数料は無料(ニューヨーク州を除く)(出典:CoinDesk 5/27 Cash App USDC、Decrypt 5/27)。ジャック・ドーシー氏は「ビットコイン主義者としては好まないが、利用者の需要に応じる」とコメントし、自社の方針転換を率直に認めた。本動きはMastercardのBitLicenseとあわせ、米国ステーブルコイン市場のリテール拡大局面入りを示すシグナルだ。
DTCC、Stellar上でのトークン化資産展開を発表
米証券決済機関DTCCは27日、マイアミ開催のConsensus 2026会場でStellarブロックチェーン上でのトークン化資産展開計画を発表した。ウォール街主導のブロックチェーン活用が加速しており、Jefferiesは別レポートで「暗号資産関連IPOがトークン化の波に乗り、最大1兆ドル規模の市場を生み出す」と試算している(出典:CoinDesk 5/27 DTCC Stellar、CoinDesk 5/27 Jefferies暗号IPOレポート)。
テーマ深堀り:本日夜の.25Bオプション期日──マックスペイン7.5万ドル、何が起こり得るか
本日5月29日(金)、Deribit上で約62億5,000万ドル相当のBTCオプション(約80,535枚)が満期を迎える。コール43,184枚に対しプット37,351枚、プット/コール比は0.86と「中立〜やや強気」のポジショニングだが、注目すべきは最大痛点(max pain)が7万5,000ドル付近に位置している点だ(出典:Crypto News 5/29期日分析、CoinDesk 5/21期日プレビュー)。
最大痛点とはオプションの売り手側(多くがマーケットメイカー)が最も損失を被らない=買い手側が最大の含み損を抱えるストライクであり、過去の経験則として満期前にスポット価格がこの水準に「引き寄せられる」傾向が指摘される。現在BTCは7万3,000〜7万3,800ドル付近で推移しており、最大痛点まで2〜3%程度の距離。プットでは7万5,000ドル建玉が3億9,400万ドル相当と最も大きく、コールでは8万ドル建玉が5億3,200万ドル相当でドミナント。仮にスポット価格が満期に向けて7.5万ドル方向に修正されれば、ガンマヘッジの観点からマーケットメイカーは「上昇に追随して買い増し」せざるを得ない可能性もあり、短時間のボラ拡大が見込まれる。
ただし期日は単独要因ではなく、ETF流出の継続、米中東情勢、米長期金利の動きとの綱引きとなる点に注意したい。Mott Capital Managementのマイケル・クレイマー氏は「米財務省の流動性吸収(約1,500億ドル規模)が控えており、BTC価格にさらなる下押し圧力をかけ得る」と警告(出典:CoinDesk 5/28 クレイマー警告)。Deribit期日のメカニカルな引き寄せ vs. ファンダの売り、両者が拮抗する局面だ。
識者の見方:「短期はオプション主導」vs「中期は流動性が主役」
強気派は「コアPCEが月次ベースで予想下振れし、利下げの余地は完全には閉ざされていない」「Mastercard・Cash AppのステーブルコインインフラがWeb3の実需を広げる」「DTCCのトークン化推進が金融商品の枠を拡大する」点を評価する。CoinDeskは「IBITはこれまで複数回の長期流出局面を経験したが、マクロが整理されるたびに資金は戻ってきた」と指摘し、構造的悲観への過度な傾斜を戒めている。
慎重派は「米長期金利がインフレ・財政懸念で粘着的に高止まりすれば、リスク資産全般の評価倍率は圧縮される」「Treasury流動性吸収・関税・地政学が累積し、ETF流出が単なるノイズではなく中期的な配分縮小を示唆する」「市場構造法案(CLARITY Act等)の議会日程は依然不確実」と論じる。両論を踏まえると、目先は7万3,000ドルの下値防衛と8万ドル奪還が当面の床/天井として意識される展開となろう。
今後の注目イベント・指標
- 5月29日(金)夜:Deribit BTCオプション期日(約62.5億ドル)、ETHオプション



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