米ハイテク株が大きく崩れた一日だった。「マグニフィセント・セブン(Mag7)」と呼ばれる米巨大テック7社は前日に約8,000億ドルの時価総額を失い、2025年4月以来の急落となった。ところが、ビットコイン(BTC)はほぼ動じず、日本時間7月24日夜の時点でも1,070万円前後を維持している。7月の相場をハイテク株と歩調を合わせて動いてきたBTCが、この日は独自の底堅さを見せた。国内では、日経平均の全面安を受けてメタプラネット株が続落。夜の時点で押さえておきたい要点を整理する。
主要マーケット動向:BTCは1,070万円台、ハイテク株安を吸収
BTCは7月24日夜21時ごろ、国内取引所ビットバンクで約1,071万9,000円(前日比+0.11%)で推移している(bitbank)。海外では、CoinDeskがアジア時間朝に約6万5,400ドル(1日で1%未満の下落、週間では+3%)と伝えており、ドル円を約163円台で換算すると水準はおおむね一致する。
一方、アルトコインはまちまちで、相対的に軟調だ。イーサリアム(ETH)は約30万8,000円(同▲1.6%)、海外建てでは約1,879ドルと3%下落。主要銘柄ではミームコインのドージコイン(DOGE)が約11.3円(同▲4.2%)と下げを主導し、リップル(XRP)は約181円(同▲1.8%)、ソラナ(SOL)は約1万2,428円(同▲1.7%)だった(bitbank、CoinDesk)。
国内の値動きを追ったビットバンクのマーケット分析によれば、23日のBTC円は東京時間に週高値1,089万円台から戻り売りに押され、海外時間には米・イラン情勢の緊迫を背景とした原油高と、アルファベット決算を受けたAI過剰投資懸念が重石となり一時1,060万円近辺まで下落。その後は自律反発で1,065万円台を回復し、終値は約1,066万9,000円となった。
重要ヘッドライン
「Mag7」8,000億ドル消失、S&P・ナスダック連れ安——AI投資への不安が引き金
米巨大テック7社は7月23日(米東部時間)、そろって4.8%下落し、約7,970億ドルの時価総額を失った。1日の下落率としては、関税ショックに見舞われた2025年4月以来の大きさだ(CoinDesk、同社はブルームバーグを引用)。S&P500は1.2%、ナスダック100は1.9%下落し、7社は5月末のピークから11%安、消失した時価総額は累計2兆ドルに達した。引き金となったのは、アルファベットが今年の設備投資見通しを最大2,050億ドルに引き上げたこと、そしてテスラのマスクCEOが2026年を「大規模な設備投資の年」と述べる一方で利益が予想を下回ったことだ。「AIインフラへの支出が利益の裏付けを上回るペースで膨らんでいる」との懸念が改めて意識された。
メタプラネット株、226円へ続落——日経全面安に連れ安
ビットコイン保有で知られるメタプラネット(証券コード3350)は7月24日、日経平均の大幅下落を受けた全面安の地合いに連れ安し、前場に225円まで売られた。10時40分時点では前日比13円安(▲5.44%)の226円と、2営業日続落となった(株探/coinotaku)。同社のビットコイン保有は、第2四半期に2,823BTCを追加取得し、6月末時点で累計4万3,000BTCに達している。上場企業のBTC保有としては米ストラテジー、トゥエンティワン・キャピタルに次ぐ世界第3位の規模だ(CoinPost、あたらしい経済)。BTC自体が底堅い一方、株式市場全体のリスク回避に押される展開となった。
米「クラリティ法案」、夏季休会前の成立は困難か
米暗号資産市場の構造を定める「クラリティ(CLARITY)法案」について、上院指導部は議会の夏季休会前に成立させる時間的余裕が乏しいとの見方を示した(CoinDesk)。連邦政府高官による暗号資産事業への関与を制限する倫理条項を盛り込んだ修正草案が公開されるなど調整は続くものの、本会議での採決日程は依然定まっていない。ゴールドマン・サックスのソロモンCEOが銀行業界の懸念にもかかわらず同法案を支持する姿勢を示すなど(CoinDesk)、産業界の期待は根強い。休会まで残り約2週間、法案を巡る報道が短期の相場材料となりやすい。
老舗デリバティブ取引所BitMEX、11年で幕——韓国コービットは未来グループ傘下に
永久先物(パーペチュアル)を生んだことで知られる老舗取引所BitMEXが、9月23日をもって事業を停止すると利用者に通知した(CoinDesk)。一方、韓国最古の暗号資産取引所コービットが、時価総額1兆ドル規模の未来(ミレ)アセットグループの傘下に入ったと報じられた(CoinDesk)。業界の新陳代謝と、伝統的金融による取引所取り込みが同時に進んでいる。
テーマ深堀り:ビットコインは「AIトレード」から離れ始めたのか
この日の最大のテーマは、BTCとハイテク株の「連動が切れた(デカップリング)」かもしれない、という点だ。7月のBTCは、半導体株が上がれば上がり、揺らげば下がるという値動きを繰り返してきた。市場では、BTCが独立した資産というより「AIの資本サイクルの代理変数」として取引されている、との見方が広がっていたほどだ。
そこに、Mag7が8,000億ドルを失う急落が訪れた。にもかかわらず、BTCの下げは1%未満にとどまった。CoinDeskはこれを「AIトレードが崩れたのにBTCが持ちこたえた最初の兆し」と評価しつつ、「本物のデカップリングの始まりか、単なる一日の出来事かは未確認」と慎重に留保している。理由は明快で、BTCのマイニング企業の多くがAIデータセンター運営に事業を広げており、AI投資が本格的に細れば、時間差をおいて採掘採算に波及しうるためだ。連動は「上がるとき」ほど速くは伝わらないだけかもしれない。
日本の読者にとっての示唆は二つある。第一に、BTCを株式ポートフォリオの「分散」に使えるかどうかは、まさにこうした局面での振る舞いで試されるという点だ。今回は分散効果が働いたが、一度の観測で結論を出すのは早計である。第二に、原油高や中東情勢といった地政学リスクは、24時間・週末も止まらないBTC市場に直接効きやすい。株式が閉まる週末こそ、関連ヘッドラインに神経質になりやすいことを心得ておきたい。
識者の見方
強気派は、AI株が急落するなかでBTCが1,070万円台を守り、週間では+3%を確保した点を重視する。ビットバンクのアナリストも、法案期待が中東リスクを相応に吸収してきたと指摘しており、機関投資家の押し目買い姿勢が下値を支えているとの見方だ。一方、慎重派は、クラリティ法案の成立が夏季休会前は難しくなり、当面は原油価格や米国債利回りが相場を左右しやすいと警戒する。BTCマイニングとAIの構造的なつながりを踏まえれば、ハイテク株安が長引けば遅れて暗号資産にも波及しかねない、との声も根強い。強気と弱気は、依然として拮抗している。
今後の注目イベント・指標
最大の焦点は、来週7月28〜29日の米FOMCだ(政策声明は日本時間30日午前3時)。政策金利は3.50〜3.75%での据え置きが有力視されており、声明や記者会見での利下げ余地への示唆に関心が集まる。加えて、クラリティ法案を巡る上院の動き、米・イラン情勢と原油価格、そして株式市場が閉まる週末の地政学リスクにも注意したい。国内では、金融庁が暗号資産取引を資金決済法から金融商品取引法へ移す改正法(7月15日成立、公布から約1年内に施行)の制度設計も、中長期のテーマとして押さえておきたい。
まとめ
夜の時点でのポイントは3つ。米ハイテク株が8,000億ドルを失う急落のなか、BTCは1,070万円台を維持し、AIトレードからの独立を垣間見せたこと。国内ではメタプラネット株が日経全面安に連れ安し、株とBTCで明暗が分かれたこと。そして市場の目線は来週のFOMCと、夏季休会前の法案の行方へ向かっていることだ。週末は地政学リスクに揺れやすく、油断は禁物である。
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免責事項:本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。


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