ビットコイン(BTC)は日本時間7月23日早朝、約6万6,000ドル台を維持し、約2週間ぶりの高値圏で底堅く推移している。前日22日の米国市場引け後に発表されたアルファベットとテスラの2026年第2四半期決算は、市場が最も警戒していた「AI投資の巨額化」を改めて浮き彫りにしたが、24時間動く暗号資産市場に目立った崩れはみられず、相場を主導してきた「AIトレード連動」はひとまず試練を通過した。市場の視線は、来週28〜29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)へと移る。朝の時点で押さえておきたい要点を整理する。
主要マーケット動向:BTCは6.6万ドル台、ETF資金流入が下支え
The Rio Timesのマーケットボードによると、BTCは7月22日の直近清算値で約6万6,300ドル(日足ではほぼ横ばい)を付け、CoinDeskは同日、BTCが2週間ぶり高値のすぐ下で推移し、週間ベースで約1.5%高だと伝えた。ドル円は23日早朝も1ドル=163円台で推移しており(松井証券)、163円で換算すると1BTCは約1,080万円にあたる。
イーサリアム(ETH)は約1,930ドル(週間+2%)で、円換算では約31.5万円。主要アルトはXRPが1.14ドル(+2.6%)と相対的に強く、ソラナ(SOL)は78ドル、BNBは571ドル、AAVEは日中で7%超高となった一方、Hyperliquidの「HYPE」は直近7日間で約2%安と引き続き軟調だった(CoinDesk、The Rio Times)。
相場を下支えしているのは、6営業日連続となった米ビットコイン現物ETFへの資金流入だ(後述)。一方、投資家心理はなお慎重で、「恐怖・強欲指数」は7月22日時点で33(恐怖寄り)と、パニックではないものの様子見の色合いが濃い(en.cryptonomist.ch)。アジア株はAI・半導体関連が牽引し、22日の日経平均は6万7,511円(+1.9%)、韓国KOSPIは+4.4%と急伸しており、暗号資産と株式のリスク選好が連動する構図が続いている(The Rio Times)。
重要ヘッドライン
アルファベット決算:クラウド82%増で予想上回るも、設備投資1,900億ドルで株価は失速
米グーグルの親会社アルファベットは7月22日、第2四半期の売上高が1,198億ドル(前年同期比24%増)と市場予想(約1,169億ドル)を上回ったと発表した(9to5Google、BeInCrypto)。牽引役はクラウド事業で、売上高は前年同期比82%増の248億ドルと予想(224億ドル)を大きく超え、受注残は5,140億ドルに達した。純利益は1,121億ドルと好調だったが、同社が2026年の設備投資(capex)を最大1,900億ドルへ引き上げる方針を示すと、決算説明会で株価は下落に転じた(CNBC)。「AI投資が本当に回収できるのか」という市場の問いは、依然として解けていない。
テスラ決算:増収も本業利益57%減、保有1万1,509BTCは売買なし
テスラの第2四半期は、売上高が282.4億ドル(前年同期比26%増)と過去最高の四半期納車台数に支えられて増収となった一方、GAAPベースの営業利益は57%減の3.98億ドル、営業利益率は4.1%から1.4%へ低下した(TradingKey、Cryptobriefing)。純利益は11.1億ドル(希薄化後EPS0.32ドル)だった。暗号資産に関しては、テスラは第2四半期にビットコインの売買を行わず、保有枚数は1万1,509BTC(四半期末時点で約8.25億ドル相当)を維持した。前四半期に評価損を計上した保有方針に変化はなく、BTC相場への直接的な影響は限定的とみられる。
米ビットコインETF、6営業日連続の資金流入——21日は2.03億ドル
米国の現物ビットコインETFには7月21日に約2億320万ドルの純流入があり、7月14日から数えて6営業日連続のプラスとなった(Bitcoin World、news.Bitcoin.com)。内訳は米ブラックロックのIBITが1億6,390万ドルで首位、フィデリティのFBTCが2,310万ドル、インベスコのBTCOが970万ドルと続いた。6日間の累計流入は約11億ドルに達し、4月以来の連続記録となっている。イーサリアム現物ETFも同日3営業日連続の流入を記録しており、資金回帰はBTC以外にも広がりつつある。
ロシア議会が暗号資産市場法を可決——個人は年3,800ドル上限、9月1日施行
ロシア下院は、暗号資産の取引ルールを定めた市場法を可決した。個人(非適格投資家)の年間投資額に約3,800ドル相当の上限を設ける内容で、規則は9月1日に発効する(CoinDesk)。制裁下で暗号資産の活用を模索する一方、個人保護の観点から取引規模を制限する構えで、各国が「解禁と規制」のバランスを探る潮流を映している。
米デジタル商工会議所、イリノイ州のデジタル資産税に提訴
米業界団体のデジタル商工会議所(The Digital Chamber)は、イリノイ州が導入したデジタル資産への課税措置の差し止めを求め提訴した(CoinDesk)。連邦レベルの市場構造法案「CLARITY法」の調整が続くなか、州単位の課税・規制の動きが業界との摩擦を生んでおり、米国内の制度整備が一枚岩でないことを改めて示した。
テーマ深堀り:AI決算とビットコイン——「価格発見の場」を通過した暗号資産
今回、暗号資産市場が最も注目したのは、アルファベットとテスラの決算が米株の取引終了後に出るという点だった。24時間動く暗号資産市場は、株式が動けない時間帯に決算を最初に織り込む「価格発見の場」になりやすい(Cryptobriefing)。BTCがこの1カ月、半導体株が強い日に上昇し、崩れる日に下落する「AIトレード連動」を続けてきたのは、両者を同じリスク選好が動かしているためであり、加えてビットコイン採掘業者がAIデータセンター運営者へと事業を転換してきた構造的な要因もある(CoinDesk)。
今回の決算は、この連動にとって重要な試金石だった。アルファベットはクラウドの高成長で「AI投資は売上につながっている」ことを示した一方、設備投資をさらに積み増す姿勢が株価を一時押し下げ、AIブームの「成長」と「コスト」が同時に確認された格好だ。暗号資産市場が決算後も6.6万ドル台を保っていることは、少なくとも失望売りの連鎖を回避したことを意味する。ただし投資回収の時期をめぐる不透明感は残り、半導体株の変動が今後もBTCへ波及しやすい地合いは変わらない。日中のCoinPost(仮想NISHI)も、足元の上昇が現物主導で、オプション市場が7万ドルを意識し始めていると指摘する(CoinPost)。
識者の見方:強気と弱気の綱引き
強気派は、①現物ETFへの6日連続の資金流入と現物主導の買い、②アルファベットが示したクラウドの高成長がAI関連センチメントを支える点、③投資家心理が「恐怖」寄りで過熱していないことを挙げ、BTCが節目の6万8,000ドル、さらに7万ドルを試す余地があるとみる(CoinDesk、CoinPost)。
一方の弱気派は、①巨額のAI設備投資への懸念でハイテク株が乱高下しやすいこと、②夏枯れ(サマー・スランバー)で出来高が細りやすい時期であること、③来週のFOMCを前に上値追いが限られやすいことを指摘する。実際、直近24時間のポジション清算は約1.2億ドルにとどまり、方向感の乏しい持ち高調整が日々の値幅を抑えている(The Rio Times)。上抜けには決算やマクロイベントによる新たな後押しが必要との見方が多い。
今後の注目イベント・指標
最大の焦点は7月28〜29日のFOMCだ。決定は日本時間30日未明に公表され、政策金利は3.50〜3.75%での据え置きが有力視されている。今回は経済見通し(SEP)やドット・プロット非公表の会合となる(Finance Calendar)。加えて、来週はマイクロソフト、メタ、アップル、アマゾンなど主要ハイテク企業の決算が相次ぎ、「AIトレード」が改めて試される。米個人消費支出(PCE)物価指数など、インフレ関連指標にも注意したい。
まとめ
前夜のアルファベット・テスラ決算は、AI投資の「成長」と「コスト」を同時に示したが、暗号資産市場は6.6万ドル台を維持し、大きな崩れは回避した。ETFの資金流入が下支えとなる一方、投資家心理は慎重で、上値追いには来週のFOMCとハイテク決算が鍵を握る。日本の読者は、円安(1ドル=163円台)による円建てBTC価格の高止まりと、株式・金利イベント主導の地合いに留意したい。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



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