【9月3日朝】BTC7万7千ドル、米株反発もADP雇用失速で利上げ綱引き

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9月3日朝、ビットコイン(BTC)は7万6,000〜7万7,000ドル台(約1,230万円)で神経質な値動きを続けている。前日9月2日の米国市場では、リスク資産に一筋の明るさが差した。イラン情勢の緊迫が続くなかでも原油高が一服し、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が「9月利上げは不可避ではない」とハト派的にけん制したことで、3営業日ぶりに米主要株価指数がそろって反発したのだ。一方で同日発表された8月のADP雇用(民間就業者数)はわずか3万8,000人増と市場予想を大きく下回り、労働市場の減速が鮮明になった。「利上げか、それとも景気減速か」——相場の綱引きは、9月4日(金)発表の8月雇用統計へと収れんしつつある。朝の今日は、前夜の米国市場の反発と雇用指標の失速、そして目前に迫る雇用統計プレビューを軸に整理する。

主要マーケット動向:米株反発でBTCは下げ渋り、7万6,000ドル台を維持

前日9月2日の米国市場で、ビットコインは軟調ながらも底堅さを見せた。米東部時間9月2日の寄り付きは7万7,395.89ドルと前日比1.5%安で始まり、午前7時13分時点で7万6,597.13ドルまで下落(出典:Yahoo Finance)。午前11時19分時点でも7万6,763.96ドル(24時間で約1.4%安)と、7万6,000ドル台での推移が続いた(出典:TheStreet)。1ドル=約160円で換算すると、1BTCはおよそ1,230万円となる。

イーサリアム(ETH)は9月2日の寄り付きが2,417.66ドルで前日比2.0%安、その後2,373.76ドル(約38万円)まで下げ幅を広げた(出典:Yahoo Finance)。主要アルトではソラナ(SOL)やトロン(TRON)が24時間で3%超下落する場面もあり、BTCの下げ(約1%)を上回った(出典:CoinDesk)。

もっとも、暗号資産の下値が限定的だった背景には、米株の反発がある。9月2日の米国株は、S&P500種株価指数が0.46%高の7,666.60、ナスダック総合指数が0.45%高の2万6,217.83、ダウ工業株30種平均が295.07ドル高(0.56%高)の5万3,061.95で引け、3営業日ぶりにそろって上昇した。原油高の一服とニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁の発言が支援材料となった(出典:TheStreetCNBC)。

重要ヘッドライン

①原油は上昇一服、WTIは89ドル台へ反落

前日にかけて1バレル90ドルを突破していた原油は、9月2日に上げ幅を消した。米WTI原油は0.71%安の89.58ドル、ブレント原油は0.39%安の94.28ドルと、5週間ぶり高値から反落した(出典:TheStreetReuters)。ホルムズ海峡でのタンカー被害など緊張は続くものの、実際の原油供給が途絶していないとの見方が売りを誘った。原油高が和らげばインフレ・金利の上振れ観測も一服しやすく、金利を生まない暗号資産にとっては短期的な逆風の緩和材料となる。ただし供給リスクは残り、原油は日々大きく振れる高いボラティリティが続いている。

②8月ADP雇用は3.8万人増、1月以来の低い伸び

9月2日発表の8月ADP全米雇用リポートは、民間就業者数が前月比3万8,000人増にとどまり、市場予想の4万7,000人を下回った。7月の4万6,000人(上方修正後)からも鈍化し、今年1月以来の低い伸びとなった(出典:TheStreetCNBC)。増加は教育・医療(4万5,000人)に偏り、製造業は1万7,000人減、専門・ビジネスサービスも1万6,000人減と裾野の弱さが目立った。労働市場の減速は本来なら利上げ観測を後退させる材料であり、インフレ警戒と景気減速のどちらを重く見るか、市場の見方が交錯している。

③米10年債利回りは4.81%、2023年11月以来の高水準

米国債市場では長期金利の上昇が続いた。米10年債利回りは9月2日に一時4.814%と、2023年11月以来の高水準を付けた(出典:TheStreetCNBC)。英国・ドイツ・フランスの利回りも上昇し、日本の10年国債利回りも数十年ぶりの高水準圏にある。世界的な金利高は、金(ゴールド)が0.94%安の4,355ドルへ下落するなど貴金属にも波及した。金利上昇局面は、利息を生まない資産全般の相対的な魅力を削ぐ。暗号資産にとっても、金利の落ち着きどころを見極めるうえで債券市場の動向は引き続き最重要の変数だ。

④TDコーウェンがBTC年末目標を9万7,500ドルへ下方修正

米調査会社TDコーウェンは、ビットコインの2026年末目標価格を9万7,500ドルへ引き下げた。従来の約14万ドルから大幅な下方修正だが、現在の約7万8,000ドルからは依然25%程度の上値余地を見込む水準だ(出典:CryptobriefingCoinDesk)。アナリストのランス・ヴィタンザ氏が担当した。地政学リスクと金利高を織り込み、強気の目標が現実的な水準へ調整された格好で、年後半の相場観をめぐり機関投資家の見立てが分かれ始めている。

テーマ深堀り:9月4日の米雇用統計 ─ 「弱い数字」が利上げ論争を左右する

朝のマーケットで最大の焦点は、日本時間9月4日(金)21時30分(米東部時間8時30分)に発表される8月の米雇用統計だ。今回は、通常とは異なる「ねじれた」構図で注目度が高まっている。

市場予想は分かれている。失業率は4.1%での横ばいが大方の見方で一致する一方、非農業部門雇用者数(NFP)の増加幅は、5万〜5万8,000人程度と見るエコノミストがいる半面、ファクトセットの市場予想では11万人と、より強い数字を見込む声もある(出典:KiplingerMorningstar)。7月は前月比2万3,000人減と落ち込んでおり、8月に反発するかどうかが焦点となる。前日のADPが3万8,000人増と失速したことで、市場は弱めの数字を警戒し始めている。

通常、雇用の弱さは利下げ観測につながり株・暗号資産にはプラスに働く。しかし今局面では事情が異なる。ケビン・ウォルシュFRB議長が、インフレが2%目標に向けて明確に改善しない限り「やるべきことは残っている」とタカ派姿勢を示し、9月16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ観測が高まっているためだ。CMEのFedWatchツールは、9月利上げの確率を約65%と織り込んでいる(出典:TradingKeyCoinDesk)。

その一方で、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は「9月の追加利上げは不可避ではない」と述べ、FRB内部でも見解が割れていることが浮き彫りになった。つまり今回の雇用統計は、「弱ければ利上げ回避=リスク資産にプラス」と「強ければインフレ再燃=利上げ確度上昇でマイナス」という、通常とは逆転した反応を市場が見せる可能性がある。数字の強弱そのものよりも、FRBの利上げ判断にどう作用するかという「解釈」が相場を動かす一日になりそうだ。日本の投資家にとっても、円建てのBTC・ETH価格や国内株の地合いを左右する重要イベントとなる。

識者の見方:強気・弱気の両論

強気派は、前日の米株反発とウィリアムズ総裁のハト派発言を重視する。原油高が一服し、雇用の弱さがFRBの利上げを思いとどまらせれば、金利の逆風が和らぎ、暗号資産は再び水準を切り上げる余地があるとみる。8月に今年最大の資金を集めた米ビットコインETFの実績も、機関投資家の下値での押し目買い意欲を裏づけるという見立てだ。

一方の弱気派は、金利高と地政学リスクの根強さを警戒する。米10年債利回りが2023年11月以来の高水準にあり、ウォルシュ議長のタカ派姿勢が続くなかでは上値は重いとみる。両派とも、9月4日の雇用統計と9月16日のFOMCという二大イベントの通過までは、方向感の乏しい神経質な展開が続くとの見方でおおむね一致している。

今後の注目イベント・指標

目先の最大の焦点は、9月4日(金)発表の米8月雇用統計だ。失業率とNFPの結果が、FRBの9月利上げ判断を大きく左右する。続く中旬には米CPI(消費者物価指数)、そして9月16日にはFOMCが控える。加えて、米ビットコインETFの資金フロー(9月1日は約2億3,600万ドルの純流出)、イーサリアム・XRP現物ETFへの資金流入の持続性、米国とイランの軍事情勢と原油価格の行方も引き続き注視したい。

まとめ

本日朝は、前夜の米国市場が3営業日ぶりに反発し、BTCは7万6,000ドル台で下げ渋った。原油高の一服とウィリアムズ総裁のハト派発言が支援材料となる一方、8月ADP雇用は3万8,000人増と失速し、労働市場の減速が鮮明に。米10年債利回りは約2年10カ月ぶりの高水準にあり、金利とインフレをめぐる綱引きは続く。焦点は9月4日の雇用統計へ。数字の強弱がFRBの利上げ判断にどう作用するか、その「解釈」を見極めたい。

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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