【10月10日朝】米株高でもETFは流出、ETHは8日連続で6.4億ドル

ETF動向

主要マーケット動向

ビットコインは日本時間10日朝の時点で8万2,480ドル。24時間で+0.99%、週間では-2.39%です。先週8万5,000ドルを超えられずに崩れたあとの動きとしては、下げ止まったというより「下がる勢いがなくなった」程度の落ち着き方に見えます。

イーサリアムは2,482ドル。24時間は+0.12%ですが、週間では-6.83%。BTCの-2.39%と並べると、ETHだけが明確に置いていかれています。BTCドミナンスは59.55%まで上がり、ETHのシェアは1週間前の11.43%から10.89%へ低下しました。この差がどこから来ているのかが、今日いちばんの論点です。

前夜の米国市場は3指数そろって上昇しました。ダウ51,654ドル(+0.83%)、S&P500は7,811(+0.59%)、ナスダック27,366(+0.64%)。木曜に走ったAI関連の売り——OpenAIの年率売上が従来想定より約200億ドル下振れという報道が引き金でした——からの切り返しです。VIXは14.84まで下がっています(Yahoo Finance)。

それでも暗号資産の反応は鈍い。理由はおそらく金利です。米10年債利回りは5.24%。月初には一時5.35%、2002年以来の水準をつけました。政策金利も3.75〜4.00%で、9月16日に0.25%引き上げられたばかり。方向は「下げ」ではなく「上げ」の側にあります。この重さについては前日夕方の記事でも触れました。

為替はドル円158円15銭。高値は158円43銭で、ミシガン大の消費者態度指数が予想を下回ったあとドル買いが続かなかった形です(財経新聞)。原油はWTI 91.58ドル、ブレント104ドル近辺。金は4,220ドルで+1.54%と、こちらは最高値圏にいます。株・金・原油は動いているのに、暗号資産だけが8万ドル台前半で足踏みしている、というのが今の絵です。

重要ヘッドライン

  • タイSECがBTC・ETHの現物ETFを承認。規則は10月16日施行。タイ証券取引所(SET)上場が条件で、1ファンド1資産・純資産の80%以上を対象資産に、信用取引は不可という設計です(CoinDesk)。
  • イーサリアムETFが8営業日連続で流出。9月29日以降の累計は約6億4,130万ドル。10月8日単日は7,250万ドルで、うちブラックロックのETHAが7,110万ドルでした。
  • ビットコインETFも10月は差し引きマイナス。7日に4億8,490万ドル(6月25日以来の最大)、8日に2億4,410万ドルの流出(Farside Investors)。
  • ミシガン大消費者態度指数(10月速報)が46.3。予想47.6、前月48.1を下回り5月以来の最低。1年先の期待インフレは4.6%から4.7%へ上昇しました。
  • メタプラネットが7〜9月の売買を開示。1万BTCを売却して1万1,000BTCを購入、9月末保有は4万4,000BTC。売却は「必要なら現金化できる」ことを示す狙いだと説明しています。国内上場企業20社の合計は約4万9,574BTC、総供給の0.25%弱です。
  • 財務省がオンチェーン国債の研究会を開始。既存の決済システムの外で発行する新形式も論点に入り、12月〜1月に議論を整理する予定です。

テーマ深掘り:ETFから資金が抜けている——ETH8営業日連続流出が示すもの

今朝いちばん重いのは、価格よりも資金の向きです。

米国のイーサリアム現物ETFは、9月29日から8営業日連続で純流出。累計は約6億4,130万ドルに達しました。10月8日朝の記事で「10月で3.4億ドル流出」と書いたときの倍近い数字になっています。ビットコインETFも同じ向きで、Farsideの集計を10月2日から足すと、5営業日で差し引き約5億1,000万ドルのマイナスです。

これを「ETF需要が枯れた」と読むのは、まだ早いと思います。ETHのETFは設定来で約138億ドルを集めており、6億ドル台の流出は全体の5%に満たない。四半期末のリバランスという説明も成り立ちます。ETHは7〜9月に大きく上げたので、利益の出たポジションを機械的に削った機関投資家は確実にいるはずです。

ただ、それだけでは説明しきれない点が二つあります。

一つは、流出が四半期をまたいでも止まっていないこと。リバランスなら9月末で終わるはずが、10月に入って8営業日続いています。もう一つは、ETHとBTCで性格が違うこと。BTCのETFは7日に大きく抜けたあと8日は流出額が半分に減りましたが、ETHは減り方が鈍い。ドミナンスの動き(ETH 11.43%→10.89%)も同じ方向を指しています。資金は暗号資産から出ているというより、暗号資産の中でETHからBTCへ、あるいはBTCからも現金へと、段階的に下りているように見えます。

その「現金」の受け皿が、5.24%の米10年債です。無リスクで5%取れる環境で、キャッシュフローを生まない資産に資金を置き続ける理屈は、相当に細くなります。ETHはステーキング利回りがあるとはいえ、円換算では為替と価格変動のほうがはるかに大きい。ここが効いているのだろうと考えています。正直、どこまでが金利でどこからがETH固有の問題なのかは、切り分けられていません。

一方で、制度の側は逆方向に進んでいます。タイは10月16日からBTC・ETHの現物ETFを国内上場できるようにしました。タイは人口当たりの暗号資産利用率が20%と世界最高で、米国の13%を上回ります。これまで海外ETFに手が届いたのは機関と富裕層だけでしたから、相当な制度変更です。

日本はここで一歩遅れています。金商法への移管は2027年度、20%の分離課税は2028年1月からというのが現時点の見通しで、国内ETFの解禁もこのスケジュールに紐づくと見られています。相談の現場で感じるのは、この時間差が「待つべきか、今の枠組みで動くべきか」という判断を難しくしていることです。CFPとしての実務的な答えは地味で、制度が整うまでの数年をどう過ごすかは、ETFが出るかどうかより、その人のポートフォリオで暗号資産が何%を占めているかで決まります。5%の人と30%の人では、同じニュースの意味がまったく違います。

識者の見方:強気・弱気の両論

強気側。10月はビットコインが歴史的に強い月です。2013年から2025年の13回のうち10回が上昇で、平均は約+19%、中央値は約+14%。米CNBCの番組でも、今年はその季節性が出る可能性が指摘されていました(CoinPost)。シティは12カ月先の目標をBTC 11万3,000ドル、ETH 3,028ドルに置いています。ETFからの流出も、設定来の積み上がりに比べれば小さい——という見立てです。

弱気側。テクニカルでは8万5,000ドルを一度超えてから崩れた形が重く、8万3,000ドルを割ると8万ドルが視野に入るという指摘があります(bitbank)。足元はすでに8万2,480ドルで、その8万3,000ドルの下にいます。ファンディングレートは+0.0019%まで下がり、24時間で67%低下。未決済建玉も394億ドルへ-4.65%。レバレッジが抜けた後の静かな相場で、上に向かう燃料も乏しい状態です。

どちらが正しいかは、来週のCPIが決める部分が大きいと思います。12月の利上げが75〜85%織り込まれている状況で、9月CPIが予想を上振れれば、季節性の話は吹き飛びかねません。

今後の注目イベント・指標

  • 10月12日(月) 日本はスポーツの日、米国はコロンブスデー。米株式市場は通常取引ですが、債券市場は休場で流動性が薄くなります。
  • 10月13日(火) 米9月中古住宅販売。ラガルドECB総裁が講演。
  • 10月14日(水) 米9月CPI。総合は前年比3.6%(前月3.4%)、コアは2.5%が市場予想。今週の最大の山です。
  • 10月15日(木) 米9月PPI、9月小売売上高、新規失業保険申請。日本時間16日未明にウォーシュFRB議長の講演。
  • 10月16日(金) 米9月鉱工業生産。タイのBTC・ETH現物ETF規則が施行。
  • 10月27〜28日 FOMC。据え置き予想が8割強、12月の利上げは75〜85%の織り込みです(investingLive)。

まとめ

今朝の相場を一行でまとめると、「株は戻ったが、暗号資産に金は戻っていない」です。BTCは8万2,480ドル、ETHは2,482ドル。Fear & Greed指数は56で中立ですが、1週間前は67、1カ月前は71でした。熱は確実に下がっています。

ただ、これは暴落ではありません。清算額は24時間で5,640万ドルと前日比81%減、ファンディングも凪いでいます。荒れた後の静けさ、という表現がいちばん近いと思います。こういう局面でいちばんやってはいけないのは、退屈に耐えられずポジションを動かすことだと感じています。

来週は14日のCPIが事実上の分岐点です。それまでの数日は、タイのETF解禁のような制度面のニュースが出ても、価格はあまり反応しないかもしれません。制度の進展と資金の向きが逆を向いているときは、どちらか一方だけを見て判断しないほうが安全です。少なくとも私は、こういうときほど自分の保有比率を確認し直すようにしています。価格を当てるより、そちらのほうが確実に効きます。

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