【6月10日朝】BTC約1,000万円、今夜の米CPIが正念場に

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暗号資産市場は、日本時間の今夜に控える米5月消費者物価指数(CPI)の発表を前に、神経質な値動きが続いている。ビットコイン(BTC)は6月9日の海外市場で6万2,500〜6万3,400ドル(1ドル160円換算で約1,000万円前後)のレンジで推移し、節目の6万ドル台後半でこう着。インフレ指標と6月16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を見極めたい投資家の様子見姿勢が鮮明だ。今朝は「今夜のCPIが市場の次の方向を決める」という構図を整理する。

主要マーケット動向:BTCは約1,000万円で様子見、ETHは1,600ドル台

CoinDeskによると、ビットコインは6月9日午前(米東部時間2時27分)時点で6万3,414ドルで取引された(CoinDesk)。その後はやや軟化し、Fortuneの集計では同日午前9時15分(米東部時間)に6万2,640ドル、米Yahoo Financeでも始値6万3,079ドルから午前に6万2,543ドルまで下押しする場面があった(FortuneYahoo Finance)。1ドル=約160.15円(6月9日、Trading Economics)で換算すると、おおむね1,000万円前後の水準だ。

イーサリアム(ETH)は6月9日に1,668〜1,690ドル台(約27万円前後)で推移。始値1,690ドルから1,668ドルへと小幅に軟化した(Yahoo Finance)。主要アルトコインでは、同日時点でXRPが1.14ドル、ソラナ(SOL)が64.94ドルと、いずれも上値の重い展開が続いている(Yahoo Finance)。

市場全体としては、5月中旬から続いた調整局面の後でいったん下げ渋ったものの、明確な反発材料に乏しい。複数のメディアは、米現物ETFからの資金流出、金利上昇、中東情勢に伴う原油高といったマクロ要因が重しになっていると指摘している。

重要ヘッドライン

① 今夜の米5月CPI、市場予想は前年比4.2%——FOMC前の最重要指標

米労働統計局(BLS)は日本時間6月10日午後9時30分(米東部時間8時30分)に5月のCPIを発表する。Kiplingerによると、市場予想は総合CPIが前月比+0.5%・前年比+4.2%、コアCPIが前月比+0.3%・前年比+2.9%(Kiplinger)。三菱UFJ(MUFG)のリサーチも総合+0.47%(前年比4.2%)、コア+0.28%(前年比2.9%)と、ほぼ同水準を予想している(MUFG Research)。航空運賃や物流コストの押し上げが警戒され、結果次第ではFOMCの利下げ観測が大きく動く可能性がある。

② BTCの現物ETF、記録的な13日連続流出は一服も資金は戻らず

米現物ビットコインETFは、5月15日から6月3日にかけて13営業日連続の資金流出を記録し、累計約44億ドル(約59,400BTC)が流出した。これは2024年1月の上場以来で最長の流出記録となった(The DefiantCoinDesk)。連騰自体は6月初旬に途切れたが、その後も資金は本格的には戻っていない。Galaxy Researchの集計では、20日移動ベースの流出は54.2億ドル・73,080BTCに達し、過去最大を更新したという(The Defiant)。ETF全体の運用資産は流出開始前の約1,042億ドルから約804億ドルへ縮小した一方、上場来の累計純流入はなお550億ドル超を保っている。

③ 米金利の高止まりと原油高、新FRB議長の「緩和姿勢後退」観測

ETF流出の背景には、米長期金利の高止まりがある。CNBCなどは、米10年債利回りが4.45%近辺で粘着し、ケビン・ウォーシュ新FRB議長の下で6月FOMC声明から緩和的な文言が削られるとの見方が広がっていると報じた(CNBC)。加えて、中東情勢を受けた原油高(WTIが97ドル方向)がインフレ再燃懸念を刺激しており、利回りを生まないビットコインの相対的な妙味が低下しているとの分析だ。今夜のCPIは、この「高金利の長期化」シナリオを補強するか否かの試金石となる。

④ メタプラネット、株価調整下でもBTC買い増し——保有4万枚超を堅持

国内の上場企業メタプラネット(証券コード3350)は、2026年1〜3月期にビットコインを5,075枚追加取得し、累計保有を4万177BTCへ積み増した。世界有数のBTC保有企業として、2026年度内に10万BTC、2027年度に21万BTCを目標に掲げている(CoinPostBeInCrypto Japan)。同社株は6月8日時点で235円台と調整が続くが、報道では市場の急落局面でも追加購入を進める姿勢が伝えられている(ビジネス+IT)。海外発のマクロ逆風と、国内企業の中長期的な「積み立て」スタンスのコントラストが続いている。

テーマ深堀り:今夜のCPIがBTCを動かす「伝達経路」とテクニカルの分岐点

なぜ一国の物価統計が暗号資産を大きく揺らすのか。経路はシンプルだ。CPIの強弱がFRBの政策金利見通し(ドットプロット)を左右し、それが米実質金利とドル指数(DXY)を動かし、最終的にBTCの需給に波及する。SBI VCトレードのレポートは、4月の総合CPIが前年比3.8%と2023年5月以来の高水準だった点を踏まえ、5月分も高い伸びが続けば2026年内の利下げ観測が市場コンセンサスから後退し、DXYが107近辺まで上昇、グローバルな流動性が圧縮されてBTCが6万ドル台半ばで直接的な圧力を受けるシナリオを示している(SBI VCトレード)。

テクニカル面では、同レポートが6月の重要な水準として6万8,000ドルの上値抵抗線と6万3,500ドルの下値支持線を挙げている。一方、bitbankのアナリスト寄稿は、BTCの相対力指数(RSI)が約4年ぶりの「売られ過ぎ」水準にあり、CPI発表が反転の転機となり得ると指摘する(CoinPost/bitbank)。つまり、市場予想を下回る「軟調なCPI」が出れば金利低下とドル安を通じて反発の燃料になり得る一方、上振れすればFOMCを前に支持線割れのリスクが高まる、という両にらみの構図だ。日本の投資家にとっては、円相場(約160円)の動向もあわせて、円建て評価額への影響を見ておきたい局面となる。

識者の見方:「売られ過ぎ」の反発期待と「限界的な売り手」への警戒

強気派は、テクニカルの過熱解消を重視する。bitbankのアナリストは、RSIが歴史的な売られ過ぎ圏にあることから、悪材料の織り込みが進んだ局面でのCPI通過が短期的な反発のきっかけになり得ると分析する(CoinPost/bitbank)。

一方、弱気・慎重派は需給の構造変化に注目する。米シティは、今サイクルでETFフローがBTC価格の最大の説明変数となっており、上昇局面で「限界的な買い手」だったETFが、下落局面では「限界的な売り手」に転じていると指摘。週間リターン変動の約45%をETFフローで説明できるとし、新規資金の流入が乏しい現状では戻りが鈍くなりやすいと警戒する(CoinDesk)。今夜の指標は、この両論のどちらに分があるかを示す材料となりそうだ。

今後の注目イベント・指標

  • 6月10日 21:30(JST):米5月CPI発表(総合・コアの前年比、エネルギー・住居費の寄与)
  • 6月16〜17日:米FOMC(声明文・経済見通し・ドットプロット、ウォーシュ新議長の会見)
  • 継続注視:米10年債利回り(4.45%近辺)、ドル円(約160円)、WTI原油(中東情勢)、現物BTC・ETHのETF資金フロー(Farside Investors)

まとめ

今朝のポイントは、(1)BTCは約1,000万円・ETHは1,600ドル台で様子見、(2)今夜の米5月CPIが市場予想で前年比4.2%、(3)記録的なETF流出は一服も資金は戻らず、(4)RSIは4年ぶり売られ過ぎでCPIが転機になり得る、の4点だ。インフレの上振れ・下振れのいずれに振れるかで、6月FOMCを前にした市場のムードは大きく変わり得る。発表前後のボラティリティ拡大には十分留意したい。

*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*

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