暗号資産市場は6月入りから売りが続いている。ビットコイン(BTC)は前夜の海外市場で一時7万1,000ドルを割り込み、2週間ぶりの安値圏へ後退した。イラン情勢を巡る米国との協議が決裂し、原油が急騰したことで、株式を含むリスク資産全体に手じまい売りが広がった格好だ。今週は米雇用統計をはじめ重要経済指標が連日発表され、金利観測の振れがそのまま相場を揺らす一週間となる。朝の時点で押さえておきたい論点を整理する。
主要マーケット動向:BTC、7万ドル台前半まで調整
米メディアの報道によると、ビットコインは6月1日の取引で一時7万3,000ドルを割り込み、その後7万1,000ドルを下回る場面もあった。6月2日早朝(JST)時点の海外報道ベースでは、おおむね7万2,000ドル前後での推移となっている(出典: Cointelegraph、Coinpaper)。日本円換算では、1ドル=約157円として概ね1,130万円前後にあたる。
イーサリアム(ETH)も上値が重い。6月1日は2,004ドルで寄り付いた後、2,000ドルの節目を割り込み1,960ドル前後まで下落した(出典: Yahoo Finance)。暗号資産全体の時価総額は約2.46兆ドルと、24時間で1%超の縮小となった(出典: CryptoTimes)。
アルトコインはまだら模様だ。週次の資金フロー集計では、XRPに約2,030万ドル、Hyperliquid(HYPE)に約1,080万ドル、Nearに約760万ドルの資金が流入した一方、ビットコインやイーサリアムからの流出が市場全体の重しとなっている(出典: CoinDesk)。
重要ヘッドライン
イラン、米国との協議を打ち切り──ホルムズ海峡封鎖を警告
イランはイスラエルによるレバノンでの攻撃など「停戦違反の繰り返し」を理由に、米国との協議を打ち切ると表明した。9日前にトランプ大統領が「近く合意に至る」と述べていた局面から一転し、地政学リスクが再燃。市場はリスク資産の圧縮で反応した(出典: Coinpaper、CNBC)。
原油が急騰、ブレントは95ドル近辺へ
協議決裂を受け、国際指標のブレント原油は6月1日に4%超上昇し1バレル=94.98ドルで取引を終えた。米WTIも3%超上げて90ドル台を回復している。ホルムズ海峡は世界のエネルギー供給の約2割が通過する要衝で、封鎖警告がインフレ再加速観測を通じてリスク資産を圧迫している(出典: CNBC)。
暗号資産ファンド、今年2番目の大きさの週間流出
調査会社CoinSharesによると、5月最終週の暗号資産投資商品からの資金流出は約16.7億ドルに達し、2026年で2番目の大きさとなった。ビットコインの年初来流入額は19億ドルへ縮小し、その2週間前の39億ドルから急減した。イーサリアム関連商品も流出が続いている(出典: CoinDesk、The Block)。
米現物ETH ETF、流出が長期化
米国の現物イーサリアムETFは流出基調が続いている。報道ベースでは5月25〜29日の週に2億ドル超の純流出を記録し、純流出の週は3週連続となった。日次でも10営業日を超える連続流出となり、2026年で最長の流出記録に並んだとされる(出典: CoinDesk、CoinGlass)。
日本:暗号資産・ステーブルコイン仲介業制度がスタート
国内では6月1日、暗号資産・ステーブルコインの売買を取り次ぐ事業者向けの「仲介業」制度が施行された。利用者保護の責任を所属先の交換業者が負う「所属制」を採用し、交換業の登録なしでも媒介への参入が可能になる。ただし施行初日時点で登録を完了した仲介業者は確認されておらず、運用本格化はこれからとなる(出典: ビットタイムズ、金融庁)。
テーマ深掘り:地政学リスクが「金利」を通じて暗号資産を売る構図
今回の下落でまず押さえたいのは、暗号資産が「有事の資産」としてではなく、株式と同じリスク資産として売られている点だ。中東情勢の悪化はそれ自体が嫌気されるだけでなく、原油高というルートを経て市場心理に効いてくる。
原油が上がるとガソリンや輸送コストが押し上げられ、米国のインフレ指標が高止まりしやすくなる。インフレが粘着的だと、米連邦準備制度(FRB)は利下げに動きにくくなる。金利が高い、あるいは下がらない局面では、利息を生まないビットコインのような資産の相対的な魅力が低下し、機関投資家は持ち高を軽くしやすい。原油上昇→インフレ警戒→利下げ観測の後退→リスク資産の調整、という連鎖だ。
足元の資金フローはこの見立てと整合的だ。週間で16.7億ドル規模という今年2番目の流出は、短期筋だけでなく、ETFを通じて参入していた中長期マネーの一部が様子見に転じていることを示唆する。CoinSharesは、米国の暗号資産市場構造法案(CLARITY法案)の進展という前向き材料を、イラン懸念が打ち消したと指摘している(出典: The Block)。
裏を返せば、地政学リスクが和らぎ原油が落ち着けば、巻き戻しも速い可能性がある。実際、先週は米イラン協議の進展期待からブレント・WTIともに週間で1割前後下落していた。相場の方向感は、当面は中東情勢と原油という外部要因に強く左右されそうだ。
識者の見方:強気・弱気の両論
強気派は、今回の下げを地政学要因による一時的な調整とみる。CLARITY法案の上院での審議が今週再開する見通しで、米国の規制枠組みが前進すれば、機関投資家の参入を後押しする構造材料になり得るとの指摘がある。一部のアナリストは、原油高の一服とともに6月末にかけてBTCが7万6,000〜7万8,000ドル方向へ戻す展開も想定している(出典: BanklessTimes)。
一方の弱気派は、ETFからの資金流出が3週続いている点を重くみる。価格を支えてきた現物ETF経由の買いが細り、むしろ売り手に回っている局面では、下値模索が続きやすいとの見方だ。中東情勢が一段と悪化しホルムズ海峡が実際に封鎖される事態となれば、インフレ再加速を通じて追加の下押し圧力がかかるリスクも残る。強弱どちらに転んでも振れ幅が大きくなりやすい地合いと言える。
今後の注目イベント・指標
今週は米経済指標が目白押しだ。本日6月2日(火)は4月のJOLTS求人件数、4日(水)は5月のISM非製造業(サービス業)景況指数、5日(木)は新規失業保険申請件数、そして6日(金)に最大の注目材料である5月の米雇用統計(非農業部門雇用者数)が発表される。FRB高官の発言機会も週内に複数予定され、金利観測の変化が相場を揺らしやすい。あわせて中東情勢と原油の動向、CLARITY法案の上院審議スケジュールも要注視となる(出典: CoinGape、米労働統計局)。
まとめ
朝の要点は3つ。第一に、イラン協議の決裂と原油急騰でビットコインは7万ドル台前半まで調整した。第二に、暗号資産ファンドからは今年2番目の規模となる週間流出が出ており、ETF経由の買いの細りが下値の重しになっている。第三に、本日のJOLTSから金曜の米雇用統計まで重要指標が連日続き、金利観測の振れが相場を左右する。外部環境に振らされやすい一週間、無理のないリスク管理を心がけたい。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



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