【7月10日夕】BTC6万4千ドル迫る、円高が追い風 金商法改正案は14日採決へ

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7月10日の暗号資産市場は、「日本発」の材料が相場を動かした一日となった。ビットコイン(BTC)はソウルと東京の時間帯で買いが強まり、日本時間夕方までに一時6万4,000ドル近くまで上昇。片山さつき財務相が公的年金など日本の投資家に国内資産への投資拡大を促す考えを示したことで円高と国債高が進み、アジアの半導体株高とあわせて相場を押し上げた。国内では暗号資産を金融商品取引法(金商法)へ移す改正案が7月14日にも参議院の委員会で採決される見通しとなり、制度面でも節目が近づいている。本稿(夕刊)では、日中アジアの値動きと日本の政策・制度動向を軸に今日の要点を整理する。

主要マーケット動向:BTCは一時6万4,000ドルに迫る、アジア発の買いが牽引

ビットコインは日本時間7月10日の日中から夕方にかけて上昇し、CoinDeskの集計では当日3.5%高の6万4,000ドル近くまで水準を切り上げた。24時間の安値だった約6万1,850ドルから買い戻しが入り、24時間の取引高は約280億ドルに膨らんだ。週間では4.2%高と、原油ショックや米国債売り、2度にわたる米国のイラン攻撃を挟みながらもプラスを維持している(CoinDesk)。国内メディアの集計でも、10日午前8時時点でBTCは6万3,170ドル(前日比約1.6%高)と、6万3,000ドル台を回復して底堅く推移していた(CoinPost/CoinPartner)。ドル円が1ドル=161円台に円高方向へ振れたことを踏まえると、6万4,000ドルはおよそ1,030万円に相当する。

アルトコインもそろって反発した。イーサリアム(ETH)は2.6%高の1,760ドルで週間4%高、XRPは2.2%高、TRONは週間4.7%高と主要銘柄でトップに立った。一方、ソラナ(SOL)は当日2.6%高の78ドルながら週間では2.1%安と、主力で唯一マイナス圏に沈んだままだ(CoinDesk)。

もっとも、この上昇を実需による本格的な買いと見るのは早計だ。MEXCリサーチのショーン・ヤング氏は「いったん清算が値動きを主導し始めると、相場は実需が正当化する以上の速さで動きうる」と指摘する。トランプ大統領のイラン発言で縮小したポジションを数時間で買い戻す、レバレッジ主導の往復が変動を増幅した面が大きい(CoinDesk)。需給面でも、米国の現物ETFは7月9日に約9,530万ドルの純流出(フィデリティFBTC・ARKBが流出、IBITとGBTCは横ばい)、イーサリアム現物ETFも約5,220万ドルの流出と、BTC・ETH・SOL合算で約1億4,710万ドルの純流出となった(FinanceFeedsFarside Investors)。朝の時点で「未反映」としていた9日は、2営業日連続の流出という結果になった。

重要ヘッドライン

片山財務相、公的年金に「国内資産の拡大」促す——円高・国債高で暗号資産にも追い風

片山さつき財務相は7月10日、公的年金を含む日本の投資家に対し、国内資産への投資を「大幅に」増やすよう促す考えを示した。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用する資産は約293.6兆円(約1.81兆ドル)にのぼり、そのおよそ半分が外国資産に振り向けられている。発言を受けて円は対ドルで約0.6%上昇して1ドル=161.4円をつけ、長期金利の指標となる10年物国債利回りは約1カ月ぶりの大幅低下となる10ベーシスポイント低下の2.775%まで下げた(The Japan TimesReuters/Investing.com)。この円高と、韓国コスピが4%上昇するなどアジアの半導体・AI関連株高が重なり、ドル建てのビットコインを押し上げた(CoinDesk)。

暗号資産の金商法改正案、7月14日に参院委で採決の見通し

暗号資産取引の規制を資金決済法から金商法へ移す「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」(内閣提出第57号)が、早ければ7月14日に参議院財政金融委員会で採決される見通しとなったと報じられた。同法案は4月10日に閣議決定され、6月11日に衆議院本会議で可決されて参議院に送付済み。採決日程は取材ベースの情報だが、秋の臨時国会への先送り懸念は薄れ、今国会での成立が視野に入ってきた(CoinPost/CoinPartnerNADA NEWS)。改正案では、無登録業者への対応強化、暗号資産交換業者から「暗号資産取引業者」への名称変更、そしてインサイダー取引規制の新設などが柱となる。

アービトラム19%高、ロビンフッドの新チェーンが取引急増

米ネット証券ロビンフッドが1週間前に一般公開した独自ブロックチェーン「Robinhood Chain」の取引が急増し、その恩恵を受けたアービトラム(ARB)が過去24時間で19%高と、時価総額上位100銘柄で最大の上昇率を記録した。同チェーンはアービトラムの技術基盤上に構築され、純プロトコル収益の10%がアービトラムのエコシステムに還元される仕組み。水曜には5億6,800万ドルの取引高を記録し、ミームコイン取引が活況を呼んだ(CoinDesk)。L2(レイヤー2)と大手証券の連携が新たな収益源となりうるかが注目される。

FOMC議事録はタカ派的、18人中9人が年内利上げを想定

今週公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録はタカ派的な内容で、18人の当局者のうち9人が年内の利上げを見込んでいることが確認された(CoinPost/CoinPartner)。原油高による輸入インフレ懸念が残るなか、利下げ期待に支えられてきたリスク資産には重しとなりうる。次回FOMCは7月28〜29日。

テーマ深掘り:金商法移管が拓く「分離課税20%」への道筋

今日の日本発の材料のなかで中長期の投資家に最も影響が大きいのが、暗号資産の金商法移管だ。現在の日本では、暗号資産取引による所得は「雑所得」として総合課税の対象となり、住民税を含む税率は最大で約55%に達する。株式や投資信託の約20%の申告分離課税と比べて重く、国内投資家が海外へ流出する一因とも指摘されてきた(日本経済新聞)。

7月14日に採決が見込まれる金商法改正案は、この重い税負担を見直す前提となる制度整備だ。2026年度(令和8年度)税制改正大綱では、金商法上に登録された暗号資産取引業者を通じた譲渡益について、他の所得と分離して20.315%の税率で課税する方針と、損失を翌年以降に繰り越せる「3年間の繰越控除制度」の創設が明記された。ただし適用開始は「金商法の改正法の施行日の属する年の翌年の1月1日以後」とされ、法改正と施行準備に約1年を要すると見込まれることから、実際の分離課税の開始は2028年1月になる公算が大きい(CoinPost税理士法人山田&パートナーズ)。

改正案は税だけの話ではない。暗号資産を「有価証券とは異なる金融商品」として金商法上に位置付けることで、利用者保護と市場の公正性を重視した規律に近づく。とりわけインサイダー取引規制の新設は大きな変更点で、価格に影響する重要情報を持つ発行体や取引所などの取引を規制対象とし、個人投資家が不利な条件で参加するリスクを抑える狙いがある(CoinPost/CoinPartner)。片山財務相が掲げる「家計や年金の国内資産投資の拡大」と、暗号資産を金融商品として制度に組み込む動きは、資産運用立国という文脈で地続きにある。

識者の見方:地政学耐性を評価する声と、上昇の「質」を問う声

強気派は、BTCが原油ショックや米国のイラン攻撃、タカ派的なFRB観測といった逆風を吸収しながら週間プラスを維持した点に、相場の耐性の強まりを見る。ドル安が3週連続で進むなか、ドル建て資産としてのビットコインには通貨側からの追い風も働く。日本の年金改革や金商法移管など、機関投資家の裾野を広げうる制度整備の進展も、中長期の需要基盤を厚くする材料だと受け止められている。

一方、慎重派は上昇の「質」を問う。今週の値動きにビットコイン固有の買い材料は乏しく、相場を動かしたのは韓国メモリ半導体への需要とドル安で、レバレッジ主導の往復が値幅を増幅した面が大きい。ETFの2営業日連続の流出、200日移動平均を下回るソラナの低迷、タカ派的なFOMC議事録は、いずれも「戻りの脆さ」を示すシグナルだ。半導体サイクルとドルの動向に相場が振らされる展開が続けば、方向感はなお定まりにくい。

今後の注目イベント・指標

来週にかけては、国内外で節目が集中する。国内では7月14日の参議院財政金融委員会での金商法改正案の採決が最大の焦点で、今国会成立となれば分離課税実現への道筋が一段と明確になる。海外では、同じく7月14日に6月の米消費者物価指数(CPI)が発表され(米労働統計局)、原油高の物価波及が確認されるかが問われる。加えて本日は暗号資産デリバティブ取引所デリビットのビットコイン週次オプション満期があり、短期的な値動きの振れには注意が必要だ。金融政策では7月28〜29日のFOMCが控える(米連邦準備制度)。

まとめ

7月10日夕のポイントは3つ。第一に、BTCはアジア時間の買いで一時6万4,000ドルに迫り週間4.2%高となったが、その原動力は円高とアジア半導体株高という「非暗号資産的」な要因で、ETFは2営業日連続の流出と需給面の弱さは残る。第二に、片山財務相の年金・家計の国内投資拡大方針が円高・国債高を呼び、日本発の政策が世界の暗号資産相場を動かす場面が生まれた。第三に、暗号資産を金商法へ移す改正案が14日に採決の見通しとなり、分離課税20%への道筋が近づいた。相場の耐性と需給の弱さが同居するなか、日本の制度整備という中長期の変化を丁寧に追いたい。

*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*

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