ビットコイン(BTC)は7月29日のアジア時間、6万4,000ドル(1ドル=約163.7円換算で約1,044万円)近辺まで水準を切り上げ、朝方の11日ぶり安値圏から反発して夜を迎えた。注目すべきは、その底堅さが「悪材料の中で」示された点だ。同日、韓国株は半導体を震源に記録的な2日続落となり、SKハイニックスは四半期利益が557%増と急伸しながらも17%安に沈んだ。それでも暗号資産は下げなかった。7営業日で2度目となる「AI相場の巻き戻しに連れ安しない」動きに、市場では相関変化を指摘する声も出ている。日本時間30日午前3時のFOMC(米連邦公開市場委員会)金利発表を前に、夕方の要点を整理する。
主要マーケット動向:BTCは6.4万ドルへ反発、アジア株安を尻目に底堅く
BTCは7月29日のアジア時間(日本時間昼〜夕)にかけて1%高の約6万3,800ドルまで戻し、心理的節目の6万4,000ドルを回復する場面もあった。米調査系メディアの集計では、日中安値の約6万2,850ドルから約2.8%戻して6万4,650ドル近辺を付ける局面もあり、朝方の弱気地合いから買い戻しが優勢となった(CoinDesk、CoinGabbar)。1ドル=163.67円で換算すると、1BTCは約1,044万円にあたる(Trading Economics)。国内取引所ベースでは、前日28日の終値が約1,046万円で、日足終値が14日移動平均を下回り短期テクニカルは弱気に傾いたと分析されている(bitbank)。
イーサリアム(ETH)は約1,899〜1,912ドル(約31万1,000円)と、24時間で1〜2%高で推移。主要アルトコインも下げ止まりから小反発し、XRPが約1.07ドル(+2%)、ソラナ(SOL)が約73ドル、BNBが約567ドルとなった(CoinDesk、CoinStats)。暗号資産全体の時価総額は前日の約2兆2,600億ドルから約2兆2,800億ドルへ小幅に持ち直した(CoinGabbar)。ただし投資家心理は依然として慎重で、Crypto Fear & Greed Index(恐怖・強欲指数)は34と「恐怖」の領域にとどまっている(cryptonews)。反発しつつも、FOMC前の様子見ムードが上値を抑える構図だ。
重要ヘッドライン
韓国半導体が記録的急落、SKハイニックスは増益でも17%安
29日のアジア株は半導体を中心に急落した。韓国の主要株価指数は前日の11%安に続いて29日も約11%下落し、記録的な2日連続の大幅安となった。SKハイニックスは四半期利益が前年同期比557%増と急伸したにもかかわらず、市場予想に届かず約17%下落。サムスン電子も30日(木)の決算発表を控えて約12%下げた。MSCIアジア太平洋指数は2%安と4月中旬以来の安値を付け、ナスダック100先物も1%安で5日続落となった(CoinDesk)。AI(人工知能)需要への過度な期待が剥落する動きが、メモリー半導体にまで波及した格好だ。
メタプラネットのBTC保有4.3万枚、年末10万枚目標を維持
国内の暗号資産トレジャリー企業として注目されるメタプラネット(3350)は、2026年12月期第2四半期に2,823BTCを取得(取得総額約358億8,600万円)し、7月2日時点の保有総数は4万3,000BTCに達したと開示した(日経会社情報DIGITAL、あたらしい経済)。同社は2026年末までに10万BTC、2027年末までに21万BTCの保有を目標に掲げる。なお、2025年11月にはJPX(日本取引所グループ)がトレジャリー企業への規制強化を検討中と報じられたが、同社は「当局から規制措置や調査を受けている事実はない」と説明している(NADA NEWS)。同社株は28日時点で225円前後で推移した。
イーサリアムETFは資金流入が継続、ビットコインETFは小幅流出
米国上場の現物ETFでは、明暗が分かれる展開が続く。集計によると、現物ビットコインETFは7月27日に約1,164万ドルの純流出(ブラックロックのIBITが約882万ドル流出)となり、直近7日間では約3,170BTCの純減。一方、現物イーサリアムETFは27日に約923万ドルの純流入、28日も約1万1,285ETH(約2,116万ドル)の流入となり、週次で3週連続のプラスを確保した(Cryptobriefing、BeInCrypto)。ブラックロックの「ETHA」が需要を牽引しており、ETHの相対的な底堅さを裏づけている。
GENIUS法が施行、ステーブルコイン規制の運用指針づくりが本格化
米国では、ドル建てステーブルコインに連邦規制の枠組みを設ける「GENIUS法」が既に成立・施行されている。同法は下院を308対122、上院を68対30の超党派で可決して大統領が署名したもので、発行体を連邦・州の二層構造で監督し、大手発行体には監査を義務づける。規制当局は2026年7月までに詳細な運用指針を示すことが求められており、制度の具体化が進む局面にある(Paul Hastings、U.S. Treasury)。一方、市場構造を包括的に定める「CLARITY法案」は上院で審議が滞り、夏季休会前の成立が見込みにくい状況が続いている(CoinDesk)。
テーマ深掘り:BTCとAI相場の「連動」に変化の兆し
この夏の暗号資産相場を最も的確に読み解く鍵は、AI・ハイテク株との連動性だった。7月を通じてBTCは、半導体株が上がれば買われ、下がれば売られるという「AIトレードの一部」のような値動きを繰り返してきた。ところが、その連動が直近2度にわたって「下げ局面で」崩れた。1度目は先週木曜、米大型ハイテク株から時価総額にして約7,970億ドルが失われた「マグニフィセント・セブン」急落の場面。そして2度目が29日、韓国半導体を震源とするアジア株の記録的急落だ。いずれのケースでも、BTCはほとんど下げず、むしろ小幅高で切り返した(CoinDesk)。
背景には、SKハイニックスの決算が象徴する「AI期待の再評価」がある。利益が前年比557%増という驚異的な伸びを見せてもなお株価が2割近く下落したのは、株価がそれ以上の成長を織り込んでいたためだ。この「期待先行の巻き戻し」がハイテク株を襲う一方、暗号資産はそこから距離を取り始めている。もっとも、専門家は慎重だ。ビットコインのマイニング(採掘)事業はAIデータセンター向け需要と依然として結びついており、「2回の事例は、相関が完全に切れた証拠というより、注視に値するパターン」との位置づけにとどまる(CoinDesk)。日本の投資家にとっては、米ハイテク株や日経平均の急落が必ずしも暗号資産の急落を意味しなくなりつつある、という相場観の変化として押さえておきたい。
識者の見方:強気・弱気の両論
強気派が支えとするのは、まさにこの「相対的な底堅さ」だ。アジア株が記録的に売られる中でBTCが下げ渋ったことは、リスク回避局面での分散先としての性格を示すとの見方がある。加えて、イーサリアムETFへの資金流入が続いていることは機関投資家の底堅い需要を映すとされ、FOMCが少しでもハト派的な内容となれば、米金利とドルの低下を通じてBTCが6万5,000ドル回復を試す余地があるとの声も出ている(crypto.news)。
一方、弱気派が警戒するのは、複数の不確実性が重なる点だ。利上げ観測が根強い異例のFOMC、原油高と米・イラン間の緊張再燃によるインフレ再加速リスク、そして市場構造法案「CLARITY法案」の停滞による制度面の追い風の乏しさが挙げられる。恐怖・強欲指数が34の「恐怖」にとどまることも、投資家心理の慎重さを物語る。FOMCで想定より強いタカ派姿勢が示されれば、BTCが再び6万3,000ドルを割り込む展開もあり得るとの慎重論は根強い(cryptonews)。
今後の注目イベント・指標
最大の焦点は、日本時間30日午前3時(米東部時間29日午後2時)に迫るFOMCの政策金利発表と、ウォーシュ議長の記者会見だ。市場では据え置きが優勢だが、CMEのフェドウォッチでは25bp利上げの確率が3割超と依然高く、機関投資家の間でも見方が割れる(分析筋は「据え置き」、一部大手は「利上げ」に賭けていると報じられる)(CoinDesk)。同日引け後(日本時間30日朝)にはマイクロソフトとメタの決算が控え、クラウド「Azure」の成長率とAI投資の採算が問われる(TipRanks)。週後半には米第2四半期GDP速報値やPCE物価指数も発表され、政策・業績・物価が立て続けに市場を試す。
まとめ
7月29日夕の要点は3つ。第一に、BTCは6万4,000ドル近辺へ反発し、韓国半導体の記録的急落の中でも底堅さを示した。第二に、AI・ハイテク株との連動が7営業日で2度崩れ、相関変化の兆しが市場の関心を集めている。第三に、今夜のFOMC(30日午前3時JST)は据え置きか異例の利上げかで見方が割れる正念場で、直後のマイクロソフト・メタ決算とあわせて、この先の方向感を大きく左右する。反発しつつも様子見、というのが夜の入り口の地合いだ。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*


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