ビットコイン(BTC)は日本時間8月1日朝、1ドル=約159.5円換算で約1,003万円(およそ6万2,900ドル前後)で8月相場入りを迎えた。7月最終日の米国市場では株式が半導体高で沸く一方、BTCは1.31%安、イーサリアム(ETH)は1.40%安と逆行安に転じた。7月を通せばCoinDesk20指数は月間8.7%高と1年ぶりの好成績だが、オプション市場では強気の「7万ドルコール」が後退し「6万ドルプット」が最大建玉に浮上。ステーブルコイン大手サークルはNY州の信託免許を取得した。反転する市場心理のなか、朝の要点を整理する。
主要マーケット動向:BTCは6.2万ドル台で軟調、株の急伸から逆行
BTCは7月31日の米国時間、寄り付きの6万4,724ドルから午前8時52分(米東部時間)には6万3,652ドルへ下落し、終日では前日比1.31%安の6万3,870ドル前後で推移した(Yahoo Finance、CoinDesk)。週末に入った8月1日朝時点では6万2,500〜6万2,900ドル台と一段軟化している(CoinDesk、Coinpedia)。介入後に円が強含み、1ドル=約159.5円で換算すると1BTCは約1,003万円にあたる(Exchange-Rates.org)。
ETHは7月31日に1.40%安の1,890ドル前後で、今月一時回復した2,000ドルの節目を再び割り込んだままだ(Yahoo Finance、CoinDesk)。アルトコインはまちまちで、ユニスワップ(UNI)はロビンフッドのL2連携期待を背景に24時間で9.30%高の4.41ドルと際立ち、カルダノ(ADA)も4.09%高。一方でリップル(XRP)は1.13ドルから1.07ドルへ水準を切り下げ、先物建玉の増加を伴う下落で弱気シグナルが点灯している(CoinDesk)。
特徴的なのは株式との逆行だ。韓国のKOSPIは半導体株高で31日に約17〜18%高と記録的な上昇を演じ、米株先物も上昇したが、暗号資産はこの流れにほとんど乗れなかった(AP通信、CoinDesk)。BTCの先物建玉(OI)は7月を通じ約75万BTCで横ばいが続き、30日物インプライド・ボラティリティ指数(BVIV)は37%と5月以来の低水準。値動きの「静けさ」が次の変動の伏線とみる向きもある。
重要ヘッドライン
サークル、NY州の信託免許を取得 ステーブルコイン規制の前進続く
USDCの発行体サークル(CRCL)は7月31日、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)から「限定目的信託免許」を取得したと発表した。同免許はニューヨーク銀行法のもとで受託・カストディ・資産管理サービスを提供できる州の銀行認可にあたる(CoinDesk)。アレールCEOは「規制上の明確さをもたらすNY信託免許の取得は長年の目標だった」とコメント。サークルは今月上旬に米通貨監督庁(OCC)から国法信託銀行の設立認可も得ており、USDCの時価総額は約718億ドルに達する。コインベースやパクソスなど先行企業に続く動きで、米国のステーブルコイン規制整備の前進を示す。
ビットコイン現物ETF、7月流入額は過去最小の2億ドル台
米国のビットコイン現物ETFは、7月の月間純流入額がわずか約2億500万ドルにとどまり、過去最小を記録した(CoinDesk、FinanceFeeds、Yahoo Finance)。5月に約24.3億ドル、6月に約45.1億ドルの資金が流出した後の反転ではあるが、流入規模は細く、機関投資家の需要が慎重なまま戻り切っていないことを裏づける。一方でイーサリアム現物ETFは7月に約3億4,300万ドルの流入と相対的に堅調で、ETH優位の資金フローが続いた。ETF資金は近年、BTC価格変動の主因の一つとされるだけに、8月の流入回復が相場の下支えを左右する。
コールドカードの脆弱性で594BTC流出、約38百万ドル被害
ハードウェアウォレット「Coldcard(コールドカード)」の旧ファームウェアに深刻な脆弱性が見つかり、7月31日にかけて約594BTC(当時約3,800万ドル)が約500のアドレスから約25分間で抜き取られた(CoinDesk、Decrypt)。製造元Coinkiteは30日に緊急のセキュリティ勧告を出し、2021年3月導入の firmware 4.0.0 以降で乱数生成に不備があり、シードフレーズのエントロピー(乱雑さ)が本来の128ビットを大きく下回っていたと説明した。ウォレット作成時期から推測が可能だったとみられ、同社は「AIが過去のファームウェアを解析して欠陥を発見した可能性がある」との見方も示している。自己管理ウォレットでも実装の欠陥が資産流出につながりうることを示す事例で、該当端末の利用者は速やかな資産移動が推奨される。
米、イラン関連の暗号資産スキームに制裁 地政学リスクが再燃
米当局は7月31日、ホルムズ海峡を航行する船舶向けにビットコインを用いた保険スキームを運営していたイラン関連の枠組みに制裁を科した。あわせて、約40億ドル規模のイラン制裁回避ネットワークに関与したとされるドバイ拠点の取引所も報じられている(CoinDesk(Reuters))。一方でホルムズ海峡の輸送回復期待から米長期金利と原油はこの日低下し、緊張緩和の兆しも意識された(CNBC)。暗号資産が制裁回避に悪用される構図は、各国当局の監視強化を招く要因として注視が必要だ。
テーマ深掘り:7月は「1年ぶりの好月」、それでも8月入りで反転する市場心理
朝の最重要テーマは、月替わりで様変わりした市場のポジショニングだ。数字だけを見れば7月の暗号資産は堅調だった。主要銘柄で構成するCoinDesk20指数は6月末比8.7%高と、2025年7月以来約1年ぶりの月間上昇率を記録している(CoinDesk)。BTC単体でも今月は約8.9%上昇し、月初に6万ドルを割り込んだ水準から立て直した。
ところが月末にかけてオプション市場の景色は一変した。世界最大のオプション取引所デリビットでは、下値を守る「6万ドルのプット」が建玉(想定元本ベース)約11.7億ドルと最も人気のポジションに浮上。つい先日まで首位だった「7万〜7万2,000ドルのコール」(各約25億ドル)は、FRB会合後の上昇が実現せず、7月31日の約100億ドル分のオプション清算を経て大きく縮小した(CoinDesk)。
季節性も慎重論を後押しする。2013年以降、7月のBTCは中央値で8.61%上昇する一方、好調な7月の後の8月は中央値でマイナス7.51%と、失速しやすい傾向がある(CoinDesk、Coinglass)。ETF流入が過去最小に細り、BVIVが5月以来の低水準にある「凪(なぎ)」の状態は、裏を返せばわずかな材料で変動が急拡大しうる地合いでもある。強い株式市場と逆行して伸び悩むBTC――7月の好成績を8月にどう引き継ぐかが、当面の最大の焦点となる。
識者の見方:低ボラの反動か、季節性の逆風か
強気派は、7月の底堅さと市場構造の成熟に注目する。CoinDesk20指数が1年ぶりの好月を記録し、BVIVが37%まで低下した現状は、過去には反発の起点となってきた水準だと指摘。サークルのNY信託免許取得のような制度面の追い風も、中長期の機関資金の受け皿づくりとして前向きに評価される。
一方の弱気派は、需給と季節性の逆風を重くみる。現物ETFの7月流入が過去最小、先物建玉も低水準で横ばいと新規資金の勢いは乏しく、6万ドルプットの台頭は機関投資家が下値リスクを警戒し始めた表れだと読む。統計上も「好調な7月の後の8月」は失速しやすい。両論に共通するのは、低ボラ相場が長くは続かず、変動再拡大への備えが要るという読みだ。
今後の注目イベント・指標
当面の最大の焦点は、8月7日(米東部時間8時30分)に発表される7月の米雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率)だ。9月のFOMCを見据えたFRBの判断材料となる(米労働統計局)。あわせて8月中旬の消費者物価指数(CPI)、ビットコイン現物ETFの資金フロー、日銀の次回会合に向けた発言、ホルムズ海峡を巡る地政学リスクの推移が重要となる。オプションの季節性が示す8月の下振れリスクにも留意したい。
まとめ
BTCは約1,003万円で8月相場入り。7月はCoinDesk20指数が1年ぶりの好月となった一方、株高からの逆行安と、6万ドルプットの台頭・ETF流入の細りが示す市場心理の反転が同時に進む。制度面ではサークルのNY信託免許取得が前進材料となる半面、コールドカードの流出事案はセキュリティの重要性を改めて突きつけた。8月7日の米雇用統計を皮切りに、静かな相場がどちらへ動くかを見極めたい。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



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