ビットコイン(BTC)は日本時間8月1日夕、24時間で約3%安の6万2,900ドル前後(1ドル=159円台換算で約1,000万円前後)で推移し、週末の薄商いのなか軟調地合いが続いている。市場全体の時価総額は約2.25兆ドルと1日で2.4%目減りし、恐怖・強欲指数は27の「Fear(恐怖)」圏に沈む。一方、日本では暗号資産を金融商品取引法(金商法)へ移す改正案が参議院の委員会を通過し、申告分離課税やETF解禁への制度整備が大詰めを迎えた。夕方の要点を整理する。
主要マーケット動向:BTCは3%安、DeFi中心にリスクオフ
CoinMarketCapの集計によると、8月1日午前1時30分(協定世界時=日本時間10時30分)時点でBTCは6万2,868ドル、24時間で3.25%安、時価総額は約1兆2,600億ドル、出来高は約297億ドルだった(CoinGabbar/CoinMarketCap集計、CoinMarketCap)。前日7月31日の米国市場でBTCが約1.3%安と株高に逆行して下げた流れを、週末のアジア時間もそのまま引き継いだ形だ(CoinDesk)。
イーサリアム(ETH)は1,864ドルと3.1%安で、2,000ドルの節目を下回ったまま戻りが鈍い。リップル(XRP)は1.06ドルと2.1%安。BTCのドミナンス(占有率)は56%と高止まりし、資金は主要通貨に滞留している(CoinGabbar)。
とりわけ弱かったのが分散型金融(DeFi)関連だ。リド・ダオ(LDO)は8.0%安、レンディング大手アーベ(AAVE)は7.5%安と、主要銘柄を上回る下落率を記録した。市場心理を映す恐怖・強欲指数は27で「Fear(恐怖)」圏にあり、前日の25、1カ月前の19からはやや持ち直したものの、依然として慎重ムードが続く(Alternative.me、CoinGabbar)。8月1日は土曜日で欧米市場が休場のため、値動きは薄商いに振られやすい点に留意したい。
重要ヘッドライン
日本、暗号資産の「金商法移行」改正案が参院委で可決
日本の暗号資産制度は歴史的な転換点を迎えている。暗号資産取引の規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移す改正案は、2026年4月10日に閣議決定され、衆議院通過を経て、7月14日に参議院財政金融委員会で賛成多数により可決された。成立すれば公布からおおむね1年以内に施行される見通しだ(ビットタイムズ、長島・大野・常松法律事務所)。金商法の枠組みに移れば、情報開示規制やインサイダー取引規制の整備、業規制の強化が段階的に進み、暗号資産は「決済手段」から「投資商品」に近い位置づけへと明確に変わる。後述の税制・ETF解禁の議論も、この改正を前提に組み立てられている。
メタプラネットが世界3位のBTC保有企業に、企業財務トレンド続く
東証上場のメタプラネットは、2026年第2四半期に2,823BTCを追加購入し、総保有量は4万3,000BTCに達した。取得原価の総額は約40.9億ドル、平均取得単価は約9万5,209ドルで、企業別のビットコイン保有量では世界3位に浮上した(Bitcoin.com、CoinGecko Treasuries)。相場調整で同社株には売りも出ているが、経営陣は長期保有方針を維持する姿勢を示している。リミックスポイントやANAPホールディングスなど、ビットコインを財務資産に組み入れる国内上場企業の動きも広がっており、日本発の「企業財務トレンド」として海外からも注目される。
ユニスワップ、Morpho連携の新商品「Earn」を投入
DeFi最大級の分散型取引所ユニスワップ(UNI)は、レンディングプロトコルのMorpho(モルフォ)と組み、遊休資産に利回りを付ける新機能「Earn」を投入した。利用者はユニスワップのアプリから離れずにUSDC・USDT・ETHをMorphoの貸出プールに預け入れられ、資産の自己管理(セルフカストディ)を保ったまま金利収入を得られる。プールはリスク管理会社Gauntletが運用し、ユニスワップ側は追加手数料を取らない(crypto.news、The Block)。取引に軸足を置いてきた大手DEXが貸出領域へ本格参入する動きで、DeFi逆風下でも収益源を広げる戦略がうかがえる。
DeFi市場が続落、TVLは年初来約39%減の約700億ドル
DeFiの資金指標は縮小が続く。DeFiに預け入れられた資産の総額(TVL=Total Value Locked)は、2026年1月の約1,150億ドルから約700億ドルへと年初来で約39%減少し、月次でみても毎月細り続けている。利回り低下と一連のハッキング事案が背景にあり、最大チェーンのイーサリアムも約43%減の約389億ドルに落ち込んだ(Yahoo Finance、CryptoRank)。上位10チェーンで前年より増えたのは、USDT決済を支えるトロンと、無期限先物で伸びたハイパーリキッドの2つのみだった。ユニスワップの新機能はこうした逆風への一つの対抗策とも位置づけられる。
テーマ深掘り:日本の「金商法移行」— 分離課税20%・ETF解禁の現在地
夕方の最重要テーマは、日本の暗号資産制度改革だ。海外の値動きが週末で凪(なぎ)となるなか、国内では制度面が着実に前進している。焦点は、暗号資産を資金決済法から金商法へと移す枠組みの転換である。前述の通り改正案は4月に閣議決定され、7月14日に参議院財政金融委員会を通過した。成立すれば公布から約1年内の施行が見込まれ、税制やETF(上場投資信託)の解禁もこの改正を前提に進む(ビットタイムズ、CoinPost)。
税制面では、金融庁が2025年12月26日に公表した令和8年度税制改正大綱の主要項目に、暗号資産の譲渡益を「申告分離課税」とする方針が明記された。実現すれば、現在は最大で約55%(所得税・住民税合算)となりうる総合課税から、株式などと同じ税率20%(復興特別所得税を除く)へと大きく軽くなる可能性がある。あわせて損失を翌年以降に繰り越す制度の創設も議論されている(金融庁 令和8年度税制改正関係資料(PDF)、ビットタイムズ)。
ETFについても、大綱では「投信法施行令の改正を前提に組成可能」と踏み込んだ。制度が整えば、証券口座を通じた暗号資産へのアクセスが広がり、投資家層の裾野が拡大する余地がある。もっとも、いずれも法案の最終成立と政省令の整備が前提であり、施行時期や適用条件はなお流動的だ。国内の読者にとっては、値動き以上に「いつ・どの条件で」制度が動くかが、中長期の投資環境を左右する要素となる。
識者の見方:制度整備の追い風か、需給の逆風か
強気派は、日本の制度改革を中長期の構造的な追い風とみる。金商法移行による投資家保護の強化、分離課税やETF解禁の道筋は、これまで税負担や制度の不透明さで様子見だった個人・機関マネーの受け皿を広げる。企業財務へのビットコイン組み入れが国内で定着しつつあることも、需要の裾野拡大を示す材料だと評価する。
一方の弱気派は、目先の需給と市場心理の弱さを重くみる。恐怖・強欲指数は「Fear」圏にとどまり、DeFiのTVLは年初来約39%減と資金流出が続く。週末は薄商いで値が振られやすく、制度改革も成立・施行まで時間を要するため、短期の相場を直接押し上げる材料にはなりにくいとの慎重論だ。両派に共通するのは、制度の前進と足元の需給の弱さが同居する「ねじれ」の局面にある、という認識である。
今後の注目イベント・指標
週明けは欧米市場が再開し、7月31日にかけての株高と暗号資産の逆行が続くかが最初の焦点となる。経済指標では8月7日(米東部時間)の7月米雇用統計、8月中旬の消費者物価指数(CPI)が、FRBの利下げ観測を左右する重要イベントだ。制度面では、日本の金商法改正案の最終成立と施行スケジュール、税制改正・投信法施行令の改正動向、米国の包括的な暗号資産法案「CLARITY法案」の上院採決の行方が注目される。ビットコイン現物ETFの資金フローも引き続き相場の下支えを占う手がかりとなる。
まとめ
BTCは約6万2,900ドル(約1,000万円前後)で3%安、恐怖指数は27の「Fear」圏と、週末の薄商いのなかリスクオフ気味の一日となった。DeFiではリドやアーベが大きく下げる一方、ユニスワップはMorpho連携の新商品を投入。日本では暗号資産の金商法移行が参院委を通過し、分離課税20%・ETF解禁への制度整備が大詰めを迎えている。値動きが凪ぐ週末こそ、中長期を左右する制度の歩みを冷静に見極めたい。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



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