週末のアジア時間、ビットコイン(BTC)は5万8,000ドル台での買い支えを確認しつつ、6万ドルの大台回復をうかがう神経質な展開が続いた。テクニカル面では、200週移動平均線を週足ベースで割り込むかどうかという、2023年10月以来の重要な節目が意識されている。本稿(夕刊)では、薄商いの週末相場の値固めと、日本国内で着実に進む制度整備・取引所再編の動き、そして週明けの月末・四半期末リバランスと米雇用統計の見どころを整理する。
主要マーケット動向:BTCは5万8,000ドル台を防衛、6万ドル回復が当面の関門
ビットコインは2026年6月28日(土)のアジア時間にかけて、1BTC=5万9,800ドル前後で推移した。米Yahoo Financeの集計では足元のBTCは5万9,835.02ドル(前日比約0.56%安)で、6月24〜25日の急落で約20カ月ぶり安値となる5万8,000ドル割れをつけた後、5万9,770ドル付近まで切り返している(Yahoo Finance、investingLive)。1ドル=約161.7円(6月26日、日本銀行公表値)で換算すると、およそ967万円にあたる(日本銀行)。心理的節目の1,000万円は引き続き下回ったままだ。
イーサリアム(ETH)も弱含みで、足元は1,567.79ドル前後(前日比約0.58%安)で推移している(Yahoo Finance)。週末は取引参加者が減り商いが薄くなりやすく、方向感の乏しい値固めとなった。市場心理を示す「Crypto Fear & Greed Index(恐怖・強欲指数)」は18と、依然「極度の恐怖(Extreme Fear)」の領域にある(投資情報・investingLive)。
重要ヘッドライン
200週移動平均線の攻防、2023年10月以来の節目に
テクニカル面で市場が最も注目するのが、200週移動平均線(200週MA)の攻防だ。投資情報サイトinvestingLiveによると、BTCは週足ベースで200週MAを割り込む瀬戸際にあり、これが現実となれば2023年10月以来となる。同サイトのアナリストは現状を「急落後の安値圏での値固め」と位置づけ、5万8,000〜5万9,750ドルでの実需の吸収(買い支え)は確認できるものの、6万750〜6万1,000ドルを回復するまでは本格的な反転とは言えないと分析する(investingLive)。長期トレンドの分水嶺として、週末から週明けにかけての終値水準が注目される。
日本:コインチェック、送金時のJPKI本人確認を国内初導入
国内では、暗号資産交換業大手のコインチェックが、暗号資産の送金時にマイナンバーカードの公的個人認証サービス(JPKI)を用いた「追加の本人確認」を導入したと発表した。同社によると、こうした取り組みは国内初。所定の条件に該当する送金について、送金前にJPKI方式での確認を求めるもので、2026年6月19日から段階的に適用されている(コインチェック、CoinPost)。マネーロンダリング対策(AML)の高度化が世界的に求められるなか、国内取引所が本人確認の厳格化で先行する動きとして注目される。
日本:国内取引所の業界再編、SBIによるbitbank完全子会社化
国内取引所をめぐっては業界再編も進む。SBIホールディングスが暗号資産交換業のビットバンク(bitbank)の完全子会社化を発表し、グループの暗号資産預かり残高は1兆円超となる見通しが報じられている(CoinPost)。価格が軟調な局面でも、国内では大手金融グループによる事業統合と規模拡大が同時並行で進んでおり、制度整備と相まって市場インフラの厚みが増している。
メタプラネット、保有BTCは4万枚超に
ビットコイン財務戦略で知られる上場企業メタプラネット(証券コード3350)は、2026年第1四半期時点で保有数量を4万177BTCまで積み増し、上場企業として世界有数の保有規模となっている。同社は2026年中に10万BTC、2027年中に21万BTC(総供給量の約1%)の保有を目標に掲げる。株価は足元220円台で、ビットコイン価格の変動に大きく連動している(CoinPost、SB Creative・ビジネス+IT)。価格下落局面での積み増し姿勢が、相場観の試金石として市場の関心を集めている。
テーマ深堀り:弱気相場下でも進む、日本の制度整備という「地ならし」
価格が記録的に軟調な6月だが、日本の暗号資産を取り巻く制度面は着実に前進している。夕刊では、この「地ならし」の進捗を整理したい。
最大の柱は、規制の枠組みそのものの転換だ。金融庁は2025年12月の金融審議会報告を踏まえ、2026年4月10日、暗号資産取引に関する規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移管することを柱とする改正法案を国会に提出した。法案には、無登録業者への対応強化、発行者への情報開示義務の整備、交換業者への業規制強化、そしてインサイダー取引規制の創設を含む不公正取引規制の強化が盛り込まれている(日本経済新聞、長島・大野・常松法律事務所、野村総合研究所)。暗号資産を株式などと並ぶ「金融商品」として位置づけ直す、制度の大きな節目といえる。
税制も動いている。2026年3月に成立した改正法を受け、政府・与党は暗号資産の譲渡益にかかる税率を、株式や投資信託と同様の一律20%の申告分離課税へ引き下げる方針で、2028年1月からの適用が見込まれている(日本経済新聞)。現行の最大55%の総合課税からの大幅な軽減となり、国内投資家の負担構造を一変させる可能性がある。あわせて、暗号資産現物ETFの組成についても政令改正で道が開かれるとの整理が示されており、制度面の地ならしは多方面で進む。コインチェックのJPKI導入やSBIによる再編も、こうした「金融商品化」の流れと地続きにある。価格の調整局面と、制度の前進という二つの時間軸を分けて見る視点が重要だ。
識者の見方:安値圏の「吸収」を巡る強弱
足元の相場観は、安値圏での需給を巡って強弱が交錯する。慎重派は、マクロ環境の重さを警戒する。米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が、根強いインフレ次第では利上げが必要になる可能性に言及するなど、金利高止まり観測がリスク資産全体の重荷となっている(investingLive)。200週MA割れが定着すれば、一段の調整余地が残るとの見方もある。
一方、慎重ながらも下値の堅さに着目する声もある。前述のinvestingLiveのアナリストは、5万8,000〜5万8,400ドルの安値圏で買いの吸収が見られる点を「絶対的な弱気の継続ではない」と評価しつつ、本格反転には6万1,750〜6万2,250ドルの回復が必要だとして、現時点では「底値の防衛は確認できるが、本格的な底入れは未確認」との立場を示す(investingLive)。当面は6万ドル前後の攻防が、強弱の分水嶺となりそうだ。
今後の注目イベント・指標
週明けは6月30日の月末・四半期末を控え、機関投資家のリバランスに伴う値動きに留意したい。米国では独立記念日(7月4日)の休場を前に、6月分の雇用統計が7月2日(木)に前倒しで発表される見込みで、市場予想は非農業部門雇用者数が約17.2万人増、失業率4.3%とされる(Kiplinger)。FRB高官の発言や月初のETF資金フロー、200週MAを巡る週足の終値水準もあわせて焦点となる。
まとめ
週末のビットコインは5万8,000ドル台を防衛しつつ、6万ドル回復と200週MAを巡る攻防が続いた。価格は記録的に軟調な一方、日本では金商法への移管、20%分離課税、取引所の本人確認強化や業界再編といった制度の地ならしが着実に進む。週明けは月末リバランスと7月2日の米雇用統計が当面の焦点。価格の調整と制度の前進を分けて見極める局面が続く。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



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