【6月29日朝】BTC6万ドル回復、ETF流出再加速とMiCA期限迫る

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週末の暗号資産市場は、ビットコイン(BTC)が6万ドルの大台をかろうじて回復し、薄商いのなかで小康を保った。だが、四半期末・上半期末を控えた市場の地合いは依然として重い。前週末にかけて米現物ビットコインETFからの資金流出が再び膨らみ、市場心理は「極度の恐怖」に沈んだままだ。海外では、欧州のMiCA本格適用が7月1日に迫り、世界最大手バイナンスがEUで一部サービスを停止する歴史的な転機を迎える。本稿(朝刊)では、週末の海外市場とETFフロー、迫るMiCA期限、そして週明けに控える米雇用統計とAIへの資金シフトという構造要因を整理する。

主要マーケット動向:BTCは6万ドルを回復、ただし四半期は連敗濃厚

ビットコインは週末にかけて下げ止まり、6万ドル台を回復した。暗号資産情報サイトIntellectia(出典はCoinMarketCap)によると、2026年6月28日午前10時(韓国時間、KST=日本時間と同じJST)時点のBTCは1BTC=6万0,035.22ドルで、前日比0.22%高だった(Intellectia.AI)。これは6月26日(金)のニューヨーク時間午前9時15分(米東部時間)につけた5万8,980.50ドルから持ち直した水準にあたる(FortuneYahoo Finance)。1ドル=約161.8円で換算すると、およそ971万円にあたり、心理的節目の1,000万円は引き続き下回っている。

イーサリアム(ETH)は弱含みで、同時点で1,571.43ドル(前日比0.15%安)で推移した(Intellectia.AI)。市場心理を示す「Crypto Fear & Greed Index(恐怖・強欲指数)」は6月28日時点で15と、ゼロに近い「極度の恐怖(Extreme Fear)」の領域に沈んだままだ(Intellectia.AI)。ビットコインの時価総額シェア(ドミナンス)は58%前後で、アルトコインからBTCへ資金が逃避する「質への逃避」の構図がうかがえる。

注目されるのは四半期末の成績だ。複数のマーケット分析によれば、BTCの2026年4〜6月期(第2四半期)の下落率は約12%で、1〜3月期(第1四半期)の約22%安に続く2四半期連続のマイナスとなる公算が大きい。年初から2四半期連続で下落するのはビットコインの歴史で3例目とされ、極めて稀なケースだ(Investing.comCrypto Briefing)。

重要ヘッドライン

米現物ビットコインETF、週末にかけ流出が再加速

6月相場を圧迫してきた米現物ビットコインETFの資金流出は、前週末にかけて再び勢いを増した。Farside Investorsのデータによると、6月24日は4億6,900万ドル、25日は6億9,170万ドル、26日(金)は4億4,450万ドルの純流出と、3営業日連続で大幅な資金流出が続いた(Farside Investors)。前日朝刊時点では「流出に一服感」と整理したが、月末・四半期末を前にしたリバランス売りも重なり、流出ペースは再加速した格好だ。もっとも、ローンチ(2024年1月)以来の累計では純流入が約516億ドルとプラスを維持しており、長期の資金は依然として滞留している点は押さえておきたい。

MiCA本格適用が7月1日に、バイナンスがEUで一部サービス停止

欧州連合(EU)の包括的な暗号資産規制「MiCA(暗号資産市場規則)」の本格適用期限が7月1日に迫り、世界最大手の取引所バイナンスがEU域内で一部サービスを停止することになった。バイナンスはギリシャでのMiCAライセンス申請を取り下げており、創業者で有罪歴のある趙長鵬(CZ)氏に適用される「適格性(fit-and-proper)」基準が認可の障害になったと報じられている(CoinDeskCoinDesk)。同社は「欧州での目標は変わらず、数カ月以内にライセンスを取得できると確信している」とコメントしている。

これを商機とみたライバル各社は、バイナンスのEU利用者の取り込みに動いている。MiCAライセンスを2025年に取得済みのコインベースは、7月13日までに資金を移した英・欧州の新規利用者に5%の移管ボーナスを提示。OKXも欧州経済領域(EEA)の対象利用者に最大8%の入金マッチングを打ち出した(CoinDesk)。欧州証券市場監督機構(ESMA)の暫定登録によると、欧州で活動する3,000社超のうち、7月1日の期限までに完全なMiCA認可を得たのは約210社(約7%)にとどまる。規制適合が、取引所間の競争力を左右する局面に入った。

テザー、140トンの金準備を担保ローンに活用

ステーブルコイン最大手テザーは、保有する約230億ドル相当の金(ゴールド)準備を担保ローンに活用する方針を打ち出した。同社は約140メートルトンの現物金を保有する世界有数の企業保有者で、暗号資産レンディング企業Ledn(レデン)と組み、トークン化された金「XAU₮(テザー・ゴールド)」を担保にしたローンを年内に提供する計画だ(CoinDeskcrypto.news)。XAU₮は1トークンが金1トロイオンスを表し、スイスの金庫で保管される。価格下落局面でも、実物資産(RWA)のトークン化という新たな潮流は着実に広がっている。

日本:金商法改正と分離課税、制度設計の議論続く

国内では、金融庁が暗号資産を金融商品取引法(金商法)の枠組みへ移す制度改革を進めており、2026年中の改正案国会提出を目指す方針が報じられている(あたらしい経済/Yahoo!ニュース)。税制面でも、暗号資産取引の所得を株式や投資信託と同様の一律20%の申告分離課税とする方向で調整が進み、2028年からの適用が見込まれている(日本経済新聞)。海外が軟調でも、国内の制度整備は前進を続けている。

テーマ深堀り:ビットコインを冷やす「AIへの資金シフト」

今年の暗号資産の不振を語るうえで欠かせないのが、AI関連株への資金シフトだ。リスクマネー(投資余力のある資金)が、暗号資産から半導体・AIインフラ関連へ移っているという構図である。

Investing.comの分析によると、2026年4月以降、米国の金ETFとビットコインETFは合計で約120億ドルの純流出となった一方、米半導体ETFには200億ドルを超える資金が流入した(Investing.com)。背景には、巨額のAI設備投資がある。米大手クラウド5社(ハイパースケーラー)は2026年に合計で約7,250億ドルをAIインフラに投じる見通しで、その約75%(約4,500億ドル)が半導体やサーバー、データセンターに直接向かうと試算されている(Investing.com)。

つまり、限られたリスクマネーがAIという「もう一つの成長ストーリー」に吸い寄せられ、暗号資産への資金が細っているという見立てだ。バイナンス創業者のCZ氏も、2026年の不振の要因として「AI、地政学的緊張、4年サイクル」の組み合わせを挙げている(Intellectia.AI)。重要なのは、暗号資産が「独自の材料」だけでなく、株式を含む広いリスク資産サイクルと連動して動いている点だ。AI株の勢いが鈍れば、その資金がビットコインへ還流する可能性もあり、今後はAI相場の動向そのものが暗号資産の重要な手掛かりになる。

識者の見方:「循環的な調整」か「構造的な逆風」か

強気派は、足元の流出を一時的・循環的なものとみる。Investing.comの分析は、6月のETF流出(一時3四半期で34億ドル規模)を「構造的というより循環的」と位置づけ、長期資金が滞留している点を底堅さの根拠に挙げる(Investing.com)。AI株への資金シフトが反転すれば、ビットコインに資金が戻るとの見立てだ。

一方、弱気派は、米連邦準備制度(FRB)のタカ派姿勢とドル高、そしてAIへの資金集中が当面続くとみて、構造的な逆風を警戒する。年初来2四半期連続のマイナスという稀な成績は、需給の弱さを物語っているとの指摘もある。市場は「底入れ」を探る神経質な局面が続いている。

今後の注目イベント・指標

週明けは月末・四半期末(6月30日)を控え、リバランスに伴う売買が膠着を生みやすい。最大の焦点は、米国の独立記念日(7月4日)に伴う短縮週のため、通常より1日早い7月2日(木)に発表される6月の米雇用統計だ。市場予想は非農業部門雇用者数で約17万2,000人増とされ、結果が弱ければ7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置き観測を補強する可能性がある(Kiplinger米労働統計局(BLS))。あわせて、ETFの資金フロー、MiCA本格適用後の欧州市場の動向にも注目したい。

まとめ

週末のビットコインは6万ドルを回復したものの、ETF流出の再加速、四半期連敗、AIへの資金シフトという重荷は解消していない。一方で、欧州のMiCA本格適用や日本の制度整備など、価格とは別軸で市場インフラの整備は着実に進む。週明けは月末リバランスと7月2日の米雇用統計が当面の試金石となる。

*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*

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