ビットコイン(BTC)は日本時間7月29日朝、約6万3,500ドル(1ドル=約163.8円換算で約1,040万円)と、11日ぶりの安値圏で新たな取引日を迎えた。前日28日の米国市場は、中国の半導体製造装置を巡る「DUVショック」でハイテク株が4日続落する一方、ディフェンシブ株や資源関連が買われ、ダウ平均だけが上昇するまだら模様となった。そして今夜、市場は最大の関門に臨む。米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策金利発表だ。据え置きが優勢ながら利上げ観測も3割超と根強く、ケビン・ウォーシュ議長にとって初の本格的な「試練の会合」となる。朝のうちに押さえておきたい要点を整理する。
主要マーケット動向:BTCは11日ぶり安値圏、FOMC待ちで様子見
BTCは7月29日6:00時点(JST)で6万3,000ドル台後半で推移している。前日28日は米FOMCを前にしたポジション調整とアジア株安が重なり、一時6万3,414ドルまで下落。24時間で約2.6〜2.8%安の6万3,500ドル前後で引けた(coinotaku、Yellow)。これは約11日ぶりの安値水準で、値動きの分析では6万3,458ドル前後が目先の下値支持線とされ、これを明確に割り込むと心理的節目の6万ドル(6月下旬に付けた今サイクル安値圏)が視野に入る(Sunday Guardian)。1ドル=約163.8円で換算すると、1BTCは約1,040万円にあたる(Trading Economics)。
イーサリアム(ETH)は約1,877ドル(約30万7,000円)と、前日比で約3.2%安(Yahoo Finance)。暗号資産全体の時価総額は前日比約2.69%減の2兆1,700億ドルまで縮小し、リップル(XRP)、ソラナ(SOL)など主要アルトコインも軒並み下落した(CoinPartner)。前日28日の下落局面では、清算(強制決済)に直面したトレーダーが16万5,000人を超えたとの集計もあり、レバレッジの巻き戻しが値動きを増幅した(Bitcoin.com)。政策イベントを前に、積極的にポジションを傾けにくい膠着地合いが続いている。
重要ヘッドライン
FOMC金利発表は今夜——利上げ観測3割超、ウォーシュ体制の初の正念場
今週最大の材料であるFOMCの政策金利発表は、日本時間30日午前3時(米東部時間29日午後2時)、ウォーシュ議長の記者会見はその30分後だ。政策金利(FF金利誘導目標)は3.50〜3.75%での据え置きが優勢だが、注目すべきはその中身だ。CMEのフェドウォッチでは据え置き確率が約64%である一方、利下げではなく「25bp利上げ」の確率が約35〜36%と、通常の会合では珍しく高水準にある(Phemex、CoinGape)。ウォーシュ議長は7月14日の議会証言で「持続的に高止まりするインフレを一切許容しない」と述べており、タカ派姿勢が声明やトーンにどう反映されるかが焦点となる(Conference Board)。
前夜の米国株はまだら模様、半導体株は4日続落
28日の米国市場は方向感が分かれた。ダウ平均は前日比537.24ドル高(+1.03%)の5万2,747.32ドルと反発した一方、ハイテク中心のナスダック総合は0.22%安の2万4,876.91ドル、S&P500は0.21%高の7,428.78ドルにとどまった(TheStreet、Yahoo Finance)。半導体関連は4営業日続落し、フィラデルフィア半導体指数連動のSMHが3%超安。エヌビディアが約5%安、AMDが8%超安、マイクロンも約6%安と売られた(TechTimes)。暗号資産はハイテク株との連動性が高く、半導体株の重さがリスク選好の重石となっている。
マイクロソフト・メタ決算が今夜、AI投資の採算が焦点
FOMCと同じ29日引け後(日本時間30日朝)には、マイクロソフトとメタが四半期決算を発表する。市場予想はマイクロソフトが2026会計年度第4四半期でEPS(1株当たり利益)約4.24ドル・売上高約876億ドル(前年比約15%増)、メタが同第2四半期でEPS約7.18〜7.24ドルとされる(TipRanks、PrimeXBT)。いずれもAI(人工知能)向けの巨額投資が売上・利益に結び付いているかが最大の論点で、クラウド「Azure」の成長率が特に注視される。アップルとアマゾンは翌30日に発表を控える。決算内容次第で、暗号資産を含むリスク資産全般のムードが左右されやすい。
ビットコインETFは流出、一方でイーサリアムETFは資金流入が継続
米国上場の現物ビットコインETFは、直近で資金流出が目立つ。集計サイトFarside Investorsによると、7月23日が約2億2,500万ドル、24日が約2億4,000万ドルの純流出、27日も約1,160万ドルの小幅流出となった(Farside Investors)。対照的に、現物イーサリアムETFは7月に入って月間で約3億3,770万ドルの純流入となり、8週連続の流出局面を脱した。ブラックロックの「ETHA」が需要を牽引しており、ETHの相対的な底堅さを支える一因となっている(Phemex)。
テーマ深掘り:発端は「中国DUVショック」——半導体安が暗号資産に及ぼす波及
今週の世界的なリスク回避の起点は、金融政策ではなく半導体だった。米報道機関ジ・インフォメーションなどによると、中国企業が国産の液浸DUV(深紫外線)露光装置の量産を開始し、SMIC(中芯国際)や華虹(Hua Hong)、CXMTといった主要チップメーカーへの納入が始まったと報じられた(CNBC、U.S. News)。露光装置で世界をほぼ独占する蘭ASMLの株価は一時7〜8%下落し、韓国のサムスン電子とSKハイニックスは28日にそれぞれ13%超急落、時価総額にして約2,700億ドルが消失したとされる(TechTimes、IBTimes)。
もっとも、専門家は影響を冷静にみる声も少なくない。液浸DUVは中国にとって西側の制裁に対する一定の緩衝材にはなるものの、最先端のAIチップに不可欠なEUV(極端紫外線)技術との間には依然として10年規模の技術的隔たりがあると指摘される(CNBC)。この「ショックは限定的」との見方が、28日にダウ平均を押し上げ、下値を支えた面もある。暗号資産にとっては、AI・ハイテク相場との連動を通じた間接的な逆風であり、半導体株がどこで下げ止まるかが当面のリスク選好を測る手掛かりとなる。
識者の見方:強気・弱気の両論
強気派は、構造的な需要とマクロの追い風に注目する。市場では、FOMCがハト派的な据え置きに落ち着けば米長期金利とドルが低下し、BTCが6万5,700〜6万6,000ドルへ切り返す余地があり、ETHや大型アルトが相対的に優位に立つとの見方が出ている(CoinGape)。イーサリアムETFへの資金流入が続いていることも、機関投資家の底堅い需要を示す材料とされる。
一方、弱気派が警戒するのは、複数の逆風が重なる「ボラティリティの罠」だ。利上げ観測が3割を超える異例のFOMC、半導体ショックの余波、そして米国の市場構造法案「CLARITY法案」が夏季休会前の成立を見込みにくくなったことで、制度面の追い風も乏しい(Bitcoin.com)。ウォーシュ議長がタカ派色を強めれば、BTCは6万ドルの節目を試す展開もあり得るとの慎重論が根強い。
今後の注目イベント・指標
最大の焦点は今夜のFOMC金利発表(30日午前3時JST)とウォーシュ議長の記者会見だ。同日引け後のマイクロソフト・メタ決算、翌30日のアップル・アマゾン決算も続く。さらに週後半には米第2四半期GDP速報値やPCE(個人消費支出)物価指数の発表が控えており、政策・企業業績・物価指標が立て続けに市場を試す(Kiplinger)。米国の市場構造法案「CLARITY法案」の上院での動向も、8月上旬の休会期限をにらんで引き続き注視される(CoinDesk)。
まとめ
7月29日朝の要点は3つ。第一に、BTCは11日ぶりの安値圏でFOMCを待ち、6万3,458ドルの支持線と6万ドルの節目が意識される。第二に、前夜の米国株は半導体安でまだら模様となり、今夜のマイクロソフト・メタ決算がリスク資産の地合いを左右する。第三に、今夜のFOMCは利上げ観測3割超という異例の会合で、ウォーシュ議長のトーンが当面の方向感を決める。イベント集中の一日、値動きは神経質になりやすい。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



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