ビットコイン(BTC)は日本時間8月28日の日中、8万ドル前後での攻防を続けている。未明の米国時間には一時8万1,280ドルまで駆け上がったものの、同日には64億ドル規模のオプション満期を通過し、上値では利益確定売りに押されて8万ドル近辺へ戻した。主役はむしろアルトコインで、ソラナ(SOL)が一時101ドルへ約4%上昇し主要銘柄をけん引した。市場の関心は、日本時間の今夜23時(米東部朝10時)に予定されるウォーシュFRB議長の初のジャクソンホール講演に一点集中している。焦点は金利そのものよりも、財務省の国債買い戻しにFRBが協調するのかどうか——その一言が週末の相場の色合いを決める。
主要マーケット動向:8万ドル攻防、アルト主導で底堅い
BTCは8月28日のアジア時間に約8万ドル前後で推移した。過去24時間では約2%上昇し、未明の米国時間には一時8万1,280ドルまで買われる場面もあった(CoinDesk、8月28日)。ブルームバーグも同日、BTCがETFへの資金流入を背景に8万ドル台を回復したと報じている(Bloomberg日本版、8月28日)。国内のビットバンクは、BTCが8万ドル近辺で揉み合い、今夜のジャクソンホール講演での米金利の反応が次の方向感を左右すると分析した(bitbank、8月28日)。BTCはこの1週間で約9%高と、月末を控えて強い地合いを維持している。
この日の特徴は、アルトコインの物色が目立ったことだ。ソラナ(SOL)は約4%高の101ドル近辺まで上昇し、直近7日間では約20%高と主要銘柄で最も強い動きを見せた。イーサリアム(ETH)は約2,492ドルで小幅高、XRPは約1.43ドルで約2%高、BNBは約714ドルで1%超の上昇となった(CoinDesk、8月28日)。とりわけ話題を集めたのが、収益をトークンの買い戻しに回すガバナンス投票を受けたエテナ(ENA)で、週間で約45%高と時価総額上位100銘柄のなかで突出した(CoinDesk、8月27〜28日)。BTCの上昇が一服するなかで資金がアルトに回る、典型的な「循環物色」の様相だ。
マクロ面では、原油の下落が追い風となった。北海ブレント原油は1バレル90ドルを割り込み、週間で5%超下落。イランとオマーンがホルムズ海峡の管理をめぐって合意したことでエネルギー由来のインフレ懸念が後退した(CoinDesk、8月28日)。米10年債利回りは4.67%と週間で7ベーシスポイント低下、ドル指数は99台、金は1オンス4,587ドルで推移した。物価上昇圧力の後退は、金利据え置きを見込む市場心理を下支えしている。
重要ヘッドライン
BTCオプション64億ドルが満期通過、上値は重く
8月28日、約64億ドル規模のビットコイン建てオプションが満期を迎えた。満期前後にBTCは一時8万1,000ドル台へ急伸したものの、その後は失速して8万ドル近辺へ押し戻された(CoinDesk「Live updates」/CoinOtaku、8月28日)。大型満期の通過はポジション整理を促し、目先の需給を軽くする一方、8万ドル台では戻り売りが厚いこともあらためて確認された。LMAXグループのストラテジスト、ジョエル・クルーガー氏は「押し目は限定的で、下値のめどは5月高値の8万3,000ドル弱」との見方を示している(CoinDesk、8月28日)。
米ビットコインETF、8営業日連続の純流入で8月は年間最大へ
米国の現物ビットコインETFは8営業日連続で純流入となり、合計約28億ドルを集めた。4月以来の連続流入記録で、8月の月間流入は30億ドルを超え、残り1営業日を残して2026年で最も強い月となっている(CoinDesk、8月28日)。今夜の講演を挟んでもう1日買いが続けば、2025年10月を抜いてETF上場来で最大の流入月となる可能性がある。連続流入は下値を支える一方、日次の流入額はピークから細ってきており、機関投資家が講演を前に様子見に傾いているサインとも読める。
ビザ、韓国アップビット運営元ドゥナムと提携 ステーブルコイン・AI決済で
決済大手ビザは8月27日(米国時間)、韓国最大の暗号資産取引所アップビットを運営するドゥナムとの戦略的提携を発表した。両社はサンフランシスコのビザ拠点でロードマップを公表し、ステーブルコインを使った決済、国境をまたぐ送金、AIを活用した「エージェント決済」などの共同検討を進める(CoinDesk/The Block/Korea Herald、8月28日)。ドル建てステーブルコイン「Open USD(OUSD)」の活用も検討候補に挙がるが、現時点では特定のステーブルコインやブロックチェーンは未定で、あくまで研究段階の枠組みだと位置づけられている。アジアの大手取引所とグローバル決済網の連携は、日本を含む域内のステーブルコイン決済の広がりを占ううえで注目される。
円建てステーブルコイン「JPYC」、メタプラネットも出資し拡大
国内では、資金移動業として発行される円建てステーブルコイン「JPYC」が存在感を高めている。累計発行額は2026年4月15日時点で21億円を突破し、直近3カ月で約2.6倍のペースで成長した(CoinPost、2026年)。上場企業のメタプラネット(3350)は新設のベンチャー部門を通じ、JPYC社へ最大4億円(約250万ドル)を出資する意向を表明。住友生命や銀行なども出資に加わり、実店舗決済に向けたプロジェクトも動き出している(CoinPost/coinchoice、2026年)。今夜のジャクソンホールのテーマ「金融イノベーション:決済と政策への影響」とも重なる、日本発の決済インフラとして中長期の育成が期待される。
テーマ深掘り:今夜23時、ウォーシュ講演で問われる「財務省との協調」
本日最大の焦点は、日本時間8月28日夜23時(米東部朝10時)に予定される、ケビン・ウォーシュFRB議長のジャクソンホール講演だ。年次シンポジウムは27〜29日にワイオミング州で開かれ、今年のテーマは「金融イノベーション:決済と政策への影響」。ウォーシュ氏は5月の議長就任後、明確なフォワードガイダンス(先行き指針)をほとんど示しておらず、9月16日のFOMCを前に、初めて政策姿勢を読み取れる大舞台となる(CoinDesk、8月28日)。
市場が最も注視するのは、金利の水準そのものよりも「FRBが財務省の国債買い戻しに歩み寄るか」という一点だ。財務省のベッセント長官は8月19日、長期国債の買い戻しを1回あたり20億ドルから最低40億ドルへ倍増させると表明。これを受けて長期金利の抑制期待が高まり、BTCは1週間で6万4,000ドルから8万ドルへ、金とともに急騰した(CoinDesk、8月28日)。CoinDeskのオムカール・ゴッドボレ記者は、ウォーシュ氏が財務省との協調余地をにじませれば「事実上のイールドカーブ・コントロール(利回り抑制)」への思惑が強まりBTC・金の上昇が続く一方、FRBの独立性を強調して関与を否定すれば金利とドルが上昇し両資産の重しになる、と整理している。
もっとも、BNYのアナリストは「ウォーシュ氏はフォワードガイダンスに慎重で、具体策よりも改革アジェンダを大局的に語る可能性が高い」と予想する(CoinDesk、8月28日)。先物市場は9月利上げの確率を約35%、12月までの利上げをほぼ確実と織り込んでおり、この「タカ派的な織り込み」にもかかわらずBTCが週間9%高となっている点が、講演に向けたポジションのねじれ=変動リスクだと指摘されている(CoinDesk、8月28日)。
識者の見方:強気・弱気の綱引き
強気派は、8月の上昇が国債買い戻しに伴う金利低下という「マクロの追い風」に支えられている点を重視する。ビットフィネックスの分析チームは、7万7,100〜8万ドルの帯にあった戻り売りを現物需要が吸収した「売り手の払底」を指摘し、下値は限定的とみる。ウォーシュ氏が財務省との協調余地を残せば、ETFへの資金流入と相まってBTCは8万ドル台を固め、5月高値の8万3,000ドル弱を試す展開が意識される(CoinDesk、8月28日)。
一方で弱気派は、64億ドルのオプション満期を経てもなお8万ドルで跳ね返される値動きや、日次ETF流入額の縮小を「上値の重さ」の証左とみる。ウォーシュ氏がFRBの独立性を前面に出し、金利抑制への関与を明確に否定すれば、金利・ドル高を通じて利益確定売りが加速しかねない。いずれの見方も、評価が今夜の講演というワンイベントに大きく依存する点では一致している。過度なポジションは避け、結果を見極めたい局面だ。
今後の注目イベント・指標
最大の注目は本日夜23時(JST)のウォーシュFRB議長講演。財務省の国債買い戻しへの言及と金利観の両方が焦点となる。あわせて、9月16日のFOMC、米ビットコインETFの日次資金フロー(8月の月間最大更新なるか)、週末をまたいだポジション調整に注意したい。国内では金融庁の「暗号資産・ステーブルコイン課」を軸とした制度整備や、JPYCなど円建てステーブルコインの実店舗展開が中長期の材料となる。
まとめ
BTCは8万ドルの節目を挟んで攻防が続き、アルトコインが物色される一日となった。64億ドルのオプション満期を無難に通過し、ETFの連続流入という下支えも健在だが、上値の重さは拭えない。すべては今夜23時のウォーシュ講演次第——財務省との協調に踏み込むのか、独立性を貫くのか。日本の読者にとっては、韓国ビザ提携やJPYCの拡大など、アジア発の決済イノベーションの潮流も見逃せない材料だ。結果を冷静に見極めたい週末の入り口である。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*
主な参照ソース
- CoinDesk「Bitcoin holds $80,000, solana leads majors higher before Warsh’s Jackson Hole debut」(8月28日)
- CoinDesk「Warsh’s Jackson Hole speech could make or break the bitcoin and gold rally」(8月28日)
- Bloomberg日本版「ビットコイン、8万ドル台回復-ETFへの資金流入で需要回復の兆し」(8月28日)
- bitbank「BTC相場分析|8万ドル近辺で揉み合い ジャクソンホールで米金利の反応に注目」(8月28日)
- The Block/Korea Herald「Dunamu and Visa partner on stablecoin, AI business」(8月28日)
- CoinPost/coinchoice「円ステーブルコイン『JPYC』拡大、メタプラネットが出資」(2026年)



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