おはようございます。あきFPです。10月13日の朝、ビットコインは8万2千ドル台で止まっています。数字だけ見れば静かな朝です。ただ、その静けさの中身を分解すると、資金の寄り方が変わってきているのが見えます。今朝はそこを中心に。
主要マーケット動向
CoinMarketCapの日本時間6時55分時点で、ビットコインは82,600ドル。24時間で-1.02%、7日で-3.92%、30日では+6.95%です。イーサリアムは2,490ドルで、24時間-1.44%、7日-8.36%、30日-1.29%。7日と30日を並べると、同じ下げ相場のはずなのにBTCとETHの傷の深さが違うことがわかります。
市場全体の時価総額は2.78兆ドルで24時間-1.42%、7日-5.45%。恐怖・貪欲指数(Fear & Greed)は55の「中立」。前日58、1週間前67、1か月前68と、じわじわ熱が抜けています。過熱でもパニックでもない、いちばん退屈な水準です。
前夜の米国市場は、前日夕方に書いたとおり債券市場がコロンブスデーで休場。金利という手がかりがない一日でした。米10年債利回りは9日終値の5.24%のまま、先週水曜には一時5.36%まで乗せた水準です。株はダウ平均51,850.55ドル(+195.60ドル、+0.38%)で3日続伸、ナスダック総合27,245.90(-120.27)は3日ぶり反落、S&P500は7,807.24(-4.30)でほぼ横ばい。セクターはエネルギー+1.48%、生活必需品+1.22%が上位、情報技術-0.90%が下位と、きれいにディフェンシブ優位の並びでした。ドル円は6時時点で158円63~65銭、前日比30銭の円高。
テクニカルでは84,000ドルが何度も跳ね返される壁になっています。下は82,500ドル、その下に10月の戻り安値80,308ドル。日足RSIは51前後、MACDはゼロ下。50日EMAが80,100ドル台なので、80,000ドルを割ると「上昇トレンド中の押し目」という説明が苦しくなる位置取りです。
重要ヘッドライン
- 米現物ETF、3週連続の流入が止まる──10月9日までの週で、ビットコイン現物ETFは約6億8,110万ドルの純流出(SoSoValue)。イーサリアムは約5億4,200万ドルの流出で、2本合わせて約12億ドルが抜けました。週間まとめで見たとおり、BTCの3週続伸がここで途切れています。
- イーサリアムETFは9営業日連続の流出──10月に入ってからの累計で約6億3,500万ドル。1日あたり最大は10月6日の2億190万ドルでした。10日朝の時点で8日連続と書いたものが、まだ止まっていません。
- 金融庁、画像による本人確認の前倒し廃止を要請──9日、暗号資産交換業者を含む金融機関にICチップ読み取りへの早期移行を求めました。画像送信方式の終了予定は2027年4月1日です。
- タイが16日から暗号資産ETFを解禁──タイSECが8日に規則を公表、16日施行。当初はBTCとETHのみで信用買いは禁止。日本で同じことをやるには投資信託法施行令の改正が必要で、まだその段にありません。
- XRP Ledgerに総量超過の鋳造が可能なバグ、修正済み──xrpldの脆弱性2件が9日に開示。数百XRP程度の資金で総発行量を超えるXRPを生成できた可能性があり、2015年から存在していた疑いがあります。公開ネットワークでの悪用の痕跡はありません。
- SBI・gumiが出資するEvernorth、ナスダック上場──9日にSPAC合併を完了し、12日から「XRPN」で取引開始。約4億7,300万XRP(約1,049億円)を保有しています。
テーマ深掘り:ETF資金はETHから抜け、BTCに寄っている
今朝いちばん気になったのは、価格そのものより資金の寄り方です。
ビットコインのドミナンス(時価総額シェア)は59.70%。前日59.45%、1週間前59.15%、1か月前58.73%と、一本調子で上がっています。年内の最高は5月5日の60.57%なので、そこに迫る水準です。逆にイーサリアムのドミナンスは10.94%で、1週間前11.33%、1か月前11.63%から低下。アルトコインシーズン指数も60で、前日62、1週間前63から鈍っています。
これだけなら「BTCが強い」という話に見えますが、ETFのフローを重ねると違う絵になります。BTCのETFも流出しているのです。10月の最初の7営業日でBTCが約3億8,630万ドル、ETHが約6億3,500万ドル、ソラナも約2,480万ドルの流出。つまりBTCに新しいお金が入ってドミナンスが上がったのではなく、ETHやアルトからより速く抜けた結果として相対的に比率が上がっている。前進ではなく、後退の中での順位変動です。
もうひとつ、デリバティブの数字が気になります。市場全体の建玉(オープンインタレスト)は4,070億ドルで、24時間+10.14%、7日+12.1%。価格が下がっているのに建玉が増えるのは、新しいポジションが入ってきているサインです。平均ファンディングレートは+0.0036%程度とプラス圏ですが24時間で-14.5%と低下。24時間のBTC清算額は4,628万ドル、7日で6億6,689万ドルでした。
この組み合わせ──価格は膠着、建玉は増加、ETFは流出、ドミナンスは上昇──をどう読むか。素直に読めば、「14日の米CPIを前に、現物の長期資金はいったん引いて、短期のレバレッジ資金が入ってきている」という状態です。方向を当てたい人が増え、持ち続けたい人が減っている。相場としてはあまり好ましくない組み合わせだと思います。
IFAとして相談を受ける立場から言うと、こういう局面では「安くなったから買い増そうか」と聞かれることが増えます。そのとき私がまず確認するのは価格ではなく、その方の資産全体のうち暗号資産が何%になっているかです。BTCは30日で+6.95%上がっているので、何もしなくても比率は勝手に増えています。買い増しの判断より、増えてしまった比率を戻すかどうかの話が先に来ることが、けっこうあります。
なお、ETHの弱さがETHの中身の問題なのかどうかは、正直わかりません。ステーキング利回りや手数料収入の構造を考えれば、米10年債5.24%という「無リスクで5%」の環境は、BTCよりETHに厳しく効きやすい理屈は立ちます。イーサリアムの仕組み自体が変わったわけではないので、金利が下がる局面では逆向きに効くかもしれません。ただ、現時点では仮説の域です。
識者の見方:強気・弱気の両論
強気側の根拠。週足RSIは59前後で、過熱しないまま上向き。週足MACDのヒストグラムもプラス圏です。価格は日足の50日・100日・200日EMA(おおよそ75,500~80,200ドルの帯)の上にとどまり、中期の形は崩れていません。FXStreetの分析では、日足で85,000ドルを終値で超えれば87,374ドル方向への道が開くとしています。ビットコインETFの運用総額は1,088億ドルで、1か月前の1,008億ドルからはむしろ増加。先週の流出は積み上がった残高に対してまだ小さい、という見方もできます。
弱気側の根拠。84,000ドルでの繰り返しの跳ね返されと、日足MACDのゼロ割れ。ETFの流出が「機関投資家の需要の弱まり」を示しているという指摘は素直です。下を見れば78,661ドル(61.8%戻し)、さらに9月の安値74,913ドル。加えて、政策面の向かい風が残っています。FRBは9月15~16日の会合で3年2か月ぶりに0.25%の利上げを決め、FF金利は3.75~4.00%。ドットチャートの2026年末中央値は4.125%で、年内にもう1回の利上げを織り込む形です。「十分に引き締め的とは考えていない」という議長発言も出ています。
どちらが正しいかは、週の半ばに答え合わせが来ます。両方の言い分が成立している以上、どちらかに賭けるのではなく、どちらでも困らない比率にしておくのが現実的だと思います。
今後の注目イベント・指標
- 10月13日(火):JPモルガン、シティ、ゴールドマン・サックスなど米大手銀行の決算が始まります。中古住宅販売(予想 年率396万戸)、NFIB中小企業楽観指数(予想98)も。
- 10月14日(水)21時30分:9月の米消費者物価指数。市場予想は総合が前年比+3.6%(8月+3.4%)、コアが+2.5%(同+2.4%)。今週最大の山です。
- 10月15日(木):9月の小売売上高(予想 前月比+0.3%)、生産者物価指数(同+0.5%)、新規失業保険申請(予想20万件)。TSMCの決算も。
- 10月16日(金):ウォーシュFRB議長の講演(12時30分)、9月の鉱工業生産。タイの暗号資産ETFがこの日から取引可能になります。
- 10月27~28日:FOMC。10月2日時点のFedWatchでは据え置き81.7%、0.25%利上げ18.3%でした。CPIの結果でここは動きます。
- 11月3日:米中間選挙。暗号資産関連法案の審議スケジュールに直結します。
まとめ
今朝は、価格より資金の流れを見たほうが情報量が多い朝でした。BTCは8万2千ドル台で膠着、ETHは7日で-8.36%。ドミナンスは59.7%まで上がりましたが、BTCにお金が入ったからではなく、ETHやアルトからより速く抜けたからです。ETFは2本合わせて週で約12億ドルの流出、ETHは9営業日連続。一方で建玉は24時間で10%増えている。長い資金が引いて、短い資金が入ってきている構図です。
そして14日の夜に米CPIが出ます。総合+3.6%、コア+2.5%という予想に対して上振れれば、10月のFOMCで18%しかない利上げ確率が動き、5.24%の長期金利がさらに上を試す展開もありえます。下振れれば逆です。つまり、今週は「待つ週」です。
こういう週に相談でよくお伝えするのは、新しい判断をしないという判断も判断だ、ということです。指標の前に建てたポジションは、結果ではなく自分の想定が当たるかどうかに賭けているだけで、それはだいたい当たりません。私自身、水曜の夜までに何かを決めるつもりはありません。決めるなら数字を見てからです。ビットコインの仕組みも前日の材料も、一晩で変わるものではありませんから。
今日も無理のない範囲で。
主な出典
- CoinMarketCap|Global Cryptocurrency Charts(価格・時価総額・ドミナンス・Fear & Greed・ETF運用総額)
- The Cryptonomist|Crypto ETFs October Outflows Persist Despite Friday Inflows
- FXStreet|Bitcoin Price Forecast(テクニカル水準・ETFフロー)
- Bitcoin.com News|Bitcoin Price Walks a Tightrope as Bears Circle the $82K Zone
- 第一生命経済研究所|ウォーシュFRBが初の利上げを全会一致で決定(26年9月15~16日開催FOMC)
- みんかぶFX|【来週の注目材料】米物価統計に注目=米CPI
- JinaCoin|今日の仮想通貨ニュース(2026年10月12日)
- 宮野宏樹|米国市場レポート 2026年10月12日(金利・原油・今週の予定)
本記事は2026年10月13日6時台時点の公表情報にもとづく情報提供であり、特定の暗号資産の売買を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本の保証はありません。


