【10月18日朝】BTCドミナンス60%でも出来高3割減、8万1千ドル

ビットコイン(BTC)

おはようございます。日曜の朝で米国市場は動いていません。数字は日本時間10月18日6時56分時点のものです。金曜のニューヨークでナスダックが2.1%下げたあと、週末のビットコインは8万1千ドル付近で静かに横ばいを続けています。ただ「静か」の中身が、少し気になる形になってきました。

主要マーケット動向

ビットコインは8万961ドル。24時間で0.7%安、1週間で2.4%安です。1か月では6.0%高なので、下向きの勢いが強まったというより、9月末からの戻りを少しずつ返している値動きに見えます。最高値12万6080ドルからは35.8%下。時価総額は1兆6272億ドルで、全体に占める割合は60.1%になりました。

イーサリアムは2374ドル。24時間で1.6%安、1週間では5.3%安と、ビットコインの2.4%安に対して下げ幅が倍以上あります。1か月では3.0%安で、プラス圏を維持できていません。市場全体の時価総額は2兆7100億ドルで、1週間マイナス2.8%です。

動いた理由を素直に探すと、週末なので新しい材料はほとんどありません。効いているのは金曜の米国株の余韻です。16日のニューヨーク市場はダウが52002.41ドルで175.28ドル安、S&P500が7659.44で84.62ポイント安、ナスダックは26140.04で572.99ポイント安でした。マイクロン、インテル、AMDなどが5〜7%下げ、AI投資の過熱を疑う売りが半導体に集中しました。ナスダックは2日連続の下げで、前日の朝刊でも触れたとおり、暗号資産関連株のほうが本体より深く削られる構図が続いています。

金利と為替は落ち着きどころを探している途中です。米10年債利回りは前週の5.36%近辺から週後半に5.1%あたりまで下げました。ドル円は週を通して158円台で、前の金曜とほぼ同じ。原油は16日のブレントが109.86ドルで5月以来の高値です。インフレの火種は消えていないのに長期金利が下がる、という組み合わせになっています。

重要ヘッドライン

  • 米ビットコイン現物ETF、16日までの5営業日で2億2860万ドルの流出。10月の累計は6億1500万ドル前後。うち約1億6500万ドルがブラックロックのIBITで、16日単日で7180万ドル。残高は1042億9000万ドル、約127万6000BTCです。
  • Ledger端末の供給網経路の被害が、まだ広がっています。東南アジアの正規代理店CryptoBilis経由の端末に通信チップが仕込まれ、初期設定時の24単語をeSIM経由で外部へ送っていた問題です。17日の報道では、被害者のひとりが詐欺グループで9日に60BTC超を抜かれていました。被害総額の推計は8600万〜9000万ドル。Ledgerは推計には距離を置いています。11日朝の記事の続報です。
  • 3メガバンクの円建てステーブルコイン、実証が完了。みずほ・三菱UFJ・三井住友の3行が三菱UFJ信託銀行とTISと組み、16日に発表。7月に商社の国内外拠点間の国際決済を模した発行・移転・償還とAML/CFT対応を検証しています。信託型(特定信託受益権)で、2026年度内の実取引開始を目指します。
  • チャールズ・シュワブが外部ウォレットへの送受を段階解禁。BTCとETHについて、本人確認済みの顧客が承認済みアドレスとやり取りできるようにします。保管から出金まで既存の証券口座で完結する流れです。
  • 保有者を狙った物理的な強盗の記録が702件に倍増。2020年以降、72か国・670件が検証済みで、被害額は判明分で約3億9400万ドル。倍増は記録が追いついた結果で、急増そのものではありません。

テーマ深掘り:ドミナンス60%が示すのは強さなのか、人がいないだけなのか

今朝いちばん気になった数字はビットコインドミナンスです。60.12%。前日が59.89%、1週間前が59.54%、1か月前は58.83%。年内最高は5月5日の60.57%なので、そこに手が届く位置まで戻ってきています。

素直に読めば「暗号資産の中で資金がビットコインに寄っている」という話です。実際、1週間の下落率はビットコインが2.4%、イーサリアムが5.3%。アルトコインシーズン指数は54で、前日60、1週間前63から落ちました。下げ相場でビットコインが相対的に強いのは、何度も見てきた形です。

ただ、同じデータの別の場所を見ると話の色が変わります。デリバティブの建玉は3716億ドルで、24時間マイナス8.0%、1か月でマイナス19.2%。9月27日に付けた年内最低の3534億ドルがすぐ下にあり、1年前の9789億ドルからは6割以上減っています。現物の24時間出来高も1464億ドルで1週間前から33.6%減、デリバティブ出来高は28.1%減。清算額は24時間でわずか379万ドル、前日から95.4%の減少でした。

つまり、ビットコインが相対的に強く見えているのは、買いが入っているからではなく、売る人も買う人も減ったからかもしれません。レバレッジが抜け切った市場は、たしかに急落しにくくなります。1日の清算が379万ドルしかない相場で連鎖的な投げは起きにくい。けれど同時に、上へ押し上げる力も薄いということです。ファンディングレートはプラス0.0070%と、絶対水準はほぼゼロ。強気の傾きとは呼びにくい数字です。

ETFの側も同じ方向を指しています。現物ETFの純資産は1078億ドルで、前日1088億ドル、1週間前1091億ドルから目減りしました。1か月前の979億ドルからは増えているので、崩れたという表現は当たりません。ただ16日夕の記事で書いた「フローが止まった」状態がもう1週間続いています。流出6億ドル強は残高の1%未満ですから、資金が逃げたというより新しい買い手が来ていない、と言ったほうが近いでしょう。

相談を受ける立場から言うと、この手の「静かな相場」はいちばん判断を誤りやすい局面です。値動きが小さいので安心してしまう。けれど出来高が3割減った板は、何かが起きたときに値段が飛びやすい板でもあります。リスクは価格の変動幅ではなく、流動性の厚みで測ったほうが実務に合います。恐怖・貪欲指数は47の中立で、前日50、1週間前57、1か月前64とじわじわ冷えています。

正直なところ、これが底固めなのか、流動性が枯れた末の下抜けの前段なのかはわかりません。8万ドルを割らずに出来高が戻るかどうかが、たぶん分かれ目になります。

識者の見方:強気・弱気の両論

強気側の論拠は、長期の支持線がまだ生きている点です。17日時点のテクニカルでは、ビットコインは200期間移動平均(約7万2276ドル)を大きく上回り、50期間移動平均の8万1217ドル付近で踏みとどまっています。RSIは46で中立。短期の平均線が下向きでも長期の構造は壊れていない、という読みです。レバレッジが抜けた市場は投機の重みが取れた分だけ現物の需給で動きやすい、という指摘もあります。

弱気側は、マクロの重さを指摘します。米10年債利回りは5.1%まで下げたとはいえ、絶対水準では5%です。無リスクで5%取れる世界で、無配の資産に資金を置き続ける理由を説明するのは簡単ではありません。この点は9日夕の記事でも整理しました。加えて9月のCPIは前年比3.7%、PPIは前年比6.3%で、インフレは落ち着いていない。原油が110ドル近辺にいる以上、物価が素直に下がる前提も置きにくいでしょう。AI関連のクレジットも気がかりで、CoreWeaveの社債利回りは週中に15%を超えました。株の調整が信用の問題に発展すれば、暗号資産は防御資産にはなりません。予測市場では、年内に10万ドルを超える確率を23%と見ています。

どちらも同じデータの別の面を見ています。流動性の薄さは、下げにくさと上げにくさを同時に意味する。割り切れないところです。

今後の注目イベント・指標

  • 10月23日(金)日本の9月全国消費者物価指数。週間まとめでも来週最大の材料として挙げました。日銀の月末会合を見るうえでの前提になります。
  • 10月27〜28日(米時間)FOMC。結果公表は日本時間29日未明。ウォーシュ議長が16日の発言で10月の方向にヒントを与えず、追加利上げ観測はいったん後退しました。野村證券は10月据え置き・12月利上げを見ていますが、9月のコアPCEデフレーターが前月比0.4%以上になれば10月利上げのリスクが高まる、としています。
  • 10月29〜30日 日銀金融政策決定会合。決定は30日で、展望レポートが出る回です。ドル円158円台が続くなかでの判断になります。
  • 月内 米9月コアPCEデフレーター。ここがFOMCの分岐になる可能性があります。

まとめ

今朝の相場を一言でまとめるなら、動いていないのではなく、動かす人が減っている、ということだと思います。ビットコインは8万1千ドル付近で週2.4%安にとどまり、ドミナンスは60%台に乗りました。数字だけ見れば悪くありません。けれど建玉は1か月で19%、現物出来高は1週間で34%減り、清算額は1日400万ドルを割っています。相対的な強さの正体が買いの流入なのか単なる不在なのかは、いまのデータでは区別がつきません。

来週は23日の全国CPIから月末のFOMCと日銀会合まで材料が続きます。流動性の薄い板に大きめの材料が当たると、値段は普段より大きく飛びます。自分のポジションがいまの出来高でさばける大きさなのか。そこを確認しておくだけで、来週の揺れへの備えはかなり変わるはずです。損益の計算方法をまだ決めていない方は、年末までに総平均法と移動平均法の選び方を整理しておくと確定申告が楽になります。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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