【7月18日朝】BTC6.3万ドル割れ、米イラン攻撃でリスク回避

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7月18日(土)朝の暗号資産市場は、地政学リスクの高まりを受けたリスク回避の流れが週末に持ち越された。米軍によるイラン攻撃が6日目に及び、さらにトランプ米大統領が中国による選挙介入疑惑を持ち出したことで、ビットコイン(BTC)は前日に6万3,000ドルを割り込み、短期トレンドの節目とされる50日移動平均線を下回った。前夜の米ハイテク株安と、日本時間17日の日経平均約3%安がリスクセンチメントの弱さを映している。本稿(朝刊)では、前夜からの米国・アジア市場の動きと機関投資家マネーの動向、そして週明け以降に控える重要イベントを整理する。

主要マーケット動向:BTCは6.3万ドル割れ、50日線を下回る

ビットコインは日本時間7月17日夕から18日朝にかけて1BTC=約6万2,900ドル(日本円換算で約980万円前後)で推移し、24時間の下落率は約2.8%となった。前日16日にかけて一時6万5,000ドルを回復する場面もあったが、その後は上値が重くなり、17日には節目の6万3,000ドルを割り込んで日中安値6万2,924ドルを付けた。市場で短期の勢いを測る指標として広く使われる50日単純移動平均線を下回っており、テクニカル面での地合いの弱さが意識されている(CoinDeskYahoo Finance)。

イーサリアム(ETH)は約1,830ドル(日本円換算で約28万円前後)で、17日の取引開始時点から約2.8%下落した。1,900ドルの節目を維持できず、BTCと歩調を合わせて軟調に推移している。市場心理を示す恐怖・強欲指数(Fear & Greed Index)は27と「恐怖」の領域にとどまり、投資家の慎重姿勢が続いていることを示す(Yahoo Financecrypto.news)。

外部環境もリスク回避を後押しした。前夜の米国市場ではハイテク株中心のナスダック総合指数が約1.6%下落し、日本時間17日の日経平均株価は約3%安と1カ月ぶりの安値圏に沈んだ。豪ASX200も0.5%安となり、アジア株全体が軟調だった。原油はWTI先物が1バレル=約79ドルで底堅く推移し、ホルムズ海峡を巡る供給不安が意識されている(CoinDesk)。

一方で、機関投資家マネーの底堅さも見逃せない。米現物ETFの資金フローは、Farside Investorsの集計に基づく直近(7月16日集計分)でビットコインETFが約7,910万ドルの純流入となり、ブラックロックの「IBIT」が約3,340万ドル、フィデリティの「FBTC」が約3,070万ドルの流入を主導した。一方でイーサリアムETFは約2,800万ドルの純流出となり、資金がBTCに集まる「選別」の傾向が続いている(KuCoinFarside Investors)。相場が下押しするなかでもBTCのETFには資金が入り続けており、地政学リスクによる短期の値動きと、中長期の機関投資家需要とがせめぎ合う構図が鮮明だ。

重要ヘッドライン

米軍のイラン攻撃6日目、トランプ氏の対中発言も重荷に

リスク回避の最大の材料は、続くイラン情勢だ。米中央軍によるイラン軍事目標への攻撃は6日目に入り、イランの半国営ファルス通信は南部ホルモズガン州の5つの橋やチャバハール港の管制塔が被害を受けたと伝えた。加えてトランプ大統領は16日夜、中国が米選挙に介入したとする情報を機密解除すると発表し、「中国が2億2,000万人分の有権者記録を入手した」と主張。中国大使館はこれを全面的に否定した。この対中発言自体は直接の相場材料ではないものの、9月に予定される米中首脳会談を前に両国関係を再び緊張させかねないとの警戒から、豪ドルなどリスク通貨が売られ、暗号資産にも波及した(CoinDesk)。

Tロウ・プライス、初の「アクティブ運用型」マルチトークンETFを上場

運用資産1.9兆ドル規模の米資産運用大手Tロウ・プライスは7月16日、「T. Rowe Price Active Crypto ETF(ティッカー:TKNZ)」をニューヨーク証券取引所のArcaに上場した。同ファンドは複数の暗号資産にまたがるスポット型ETFとしては初のアクティブ運用型で、BTC・ETH・SOL・XRPなど資産運用会社が選定した「適格資産」に分散投資する。多くの暗号資産ETPが単一銘柄型かパッシブ運用であるなか、リサーチに基づくリスク管理型のアクティブ運用を掲げる点が特徴だ。運用報酬は手数料免除適用後で年0.75%(SEC(Form 424B3)CoinDesk)。伝統的運用会社が「分散型・アクティブ」の商品で暗号資産ETF市場に本格参入する動きだ。

シタデル証券、Crypto.comに4億ドル出資——企業価値200億ドルに

大手取引所Crypto.comは7月16日、米シタデル・セキュリティーズから4億ドル(約620億円)の戦略的出資を受け入れ、企業価値が200億ドルと評価されたと発表した。2016年の創業以来初めての機関投資家からの資金調達で、シタデルは約2%の株式を取得する。伝統的マーケットメーカーが暗号資産インフラへ資本参加する流れを裏づける動きで、地政学リスクで相場が揺れるなかでも、業界の資本基盤は着実に厚みを増している(CoinDeskPR Newswire)。

SECが複雑な暗号資産ETPの「共通枠組み」を検討

米証券取引委員会(SEC)が、新たなスポット暗号資産ETPを巡り市中協議(リクエスト・フォー・コメント)を準備していることが分かった。対象には予測市場、レバレッジ型ファンド、非公開資産のETFなどが含まれ、SECはこうした「複雑な商品」を単一の枠組みで扱う方針とされる。個別の申請ごとに審査する従来方式から、ルールベースの一括枠組みへ移行する動きで、審査の予見可能性が高まれば新商品の投入が加速する可能性がある(Coin Gabbar)。

テーマ深堀り:地政学リスクと機関マネー——相反する2つの力

足元の相場を読み解くうえで最も重要なのは、「地政学リスクによる短期の売り」と「機関投資家による中長期の買い」という、方向の異なる2つの力が同時に働いていることだ。

短期の値動きを支配しているのは明確に地政学リスクである。米軍のイラン攻撃が長期化し、ホルムズ海峡を巡る供給不安が原油高につながるなか、株式・暗号資産といったリスク資産からは資金が逃避しやすい。トランプ大統領の対中発言が加わったことで、9月の米中首脳会談に向けた不透明感も意識され、豪ドル安に象徴されるようにリスク回避の連鎖が広がった。ビットコインが50日移動平均線を割り込んだことで、テクニカル面でも短期的な下押し圧力がかかりやすい地合いになっている(CoinDesk)。

一方で、業界の構造を見ると、機関投資家の関与はむしろ深まっている。相場が下落する局面でもビットコインETFには純流入が続き、Tロウ・プライスのような伝統的な大手運用会社が新たなETFを投入し、シタデル証券のような大手マーケットメーカーが取引所へ出資する——こうした動きは、暗号資産が一過性のブームではなく「金融インフラの一部」として組み込まれつつあることを示している。ETFという器を通じて年金や機関のマネーが継続的に流入する構造は、短期のボラティリティとは別の時間軸で相場を下支えする可能性がある。

日本の読者にとっての意味も大きい。国内では2026年7月15日に成立した金融商品取引法改正で暗号資産が正式に「金融商品」と位置づけられ、開示義務やインサイダー規制の整備が進む。地政学リスクが相場を揺らす局面ほど、こうした制度整備や機関マネーの流入といった「構造的な変化」と、目先の値動きを切り分けて見る冷静さが求められる。短期の下落に一喜一憂するのではなく、資金フローと制度の両輪がどこへ向かっているかを見極めることが重要だ。

識者の見方:慎重論と構造的な強気論が交錯

市場では、目先の相場に慎重な見方と、産業としての成熟を評価する見方が交錯している。慎重派は、イラン情勢の長期化と米中摩擦の再燃という2つの地政学リスクが同時に進行している点を警戒する。ビットコインが50日移動平均線を割り込み、恐怖・強欲指数が「恐怖」圏にとどまるなか、「地政学の不確実性が晴れるまでは戻りが売られやすく、値幅が大きくなりやすい」との声が出ている。

一方で構造的な強気論も根強い。相場下落局面でもビットコインETFへの資金流入が続いていること、Tロウ・プライスのアクティブ運用型ETFやシタデルの出資など伝統的金融の関与が一段と深まっていることを踏まえ、「短期の調整はあっても、機関マネーと制度整備という中長期の追い風は損なわれていない」との見方だ。ただし双方に共通するのは、目先はイラン情勢と月末のFOMCという不確実性を見極める必要があり、過度な楽観も悲観も禁物という慎重なスタンスである。

今後の注目イベント・指標

週明け以降の最大の焦点は、7月28〜29日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。金融政策の決定は日本時間30日未明に公表され、今回は経済見通し(SEP)の公表はない。次回の米消費者物価指数(CPI)は8月12日発表予定で、当面は指標の空白期間となるため、イラン情勢や米中関係といった地政学材料が相場を主導しやすい。ほかに米企業の決算発表シーズンや、米現物ETFの資金フロー、SECの暗号資産ETP枠組みを巡る動きにも注目したい。週末は流動性が薄く、地政学ニュースに対して値動きが増幅されやすい点にも留意が必要だ(CoinDeskcrypto.news)。

まとめ

本日朝の要点は、(1) BTCが6万3,000ドルを割り込み50日移動平均線を下回った、(2) 米軍のイラン攻撃6日目とトランプ氏の対中発言でリスク回避が加速、(3) Tロウ・プライスが初のアクティブ運用型マルチトークンETFを上場、(4) 相場下落でもビットコインETFには資金流入が続く——の4点だ。短期は地政学リスクが主導する不安定な地合いだが、機関マネーの流入と制度整備という構造的な追い風は着実に続いている。週末の薄商いと月末のFOMCをにらみ、目先の値動きと中長期の潮流を切り分けて見ていきたい。

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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