暗号資産市場は12日のアジア時間、ビットコイン(BTC)が6万2,800〜6万3,500ドル台での値固めを続けた。前夜の朝刊で取り上げた5月CPIに続き、11日に発表された5月の米卸売物価指数(PPI)が前年比6.5%とおよそ2年半ぶりの高い伸びとなり、インフレ再燃への警戒が改めて強まっている。本日は約22億ドル規模のBTCオプションが満期を迎え、夜には米ミシガン大学消費者態度指数(速報値)の発表も控える。本稿(夕刊)では、日中の値動きと夜の米指標、日本企業・国内制度の続報を整理する。
主要マーケット動向:BTCは6.3万ドル近辺で小動き、オプション満期を意識
ビットコインは12日のアジア時間、6万2,800〜6万3,500ドル台のレンジで推移した。CoinGeckoでは同日時点で6万2,857ドル(24時間で約3%高)、CryptoTimesの集計では6万3,583ドル(同約1.2%高)と、ソースにより水準差はあるものの、前日に下値を固めた6万1,000ドル台からは距離を保っている(CoinGecko、CryptoTimes)。為替は1ドル=160.2〜160.3円で推移しており(Trading Economics)、円換算ではおおむね1,010万円前後の水準となる。
イーサリアム(ETH)は1,660〜1,675ドル(約27万円)で小幅高。アルトコインはソラナ(SOL)が67.09ドル(24時間で約2.7%高)と堅調だった一方、XRPは1.11〜1.14ドルと方向感を欠き、上昇の裾野は限られている(CryptoTimes)。本日12日は、Deribitで約3万5,000枚・想定元本約22億ドル相当のBTCオプションが満期を迎えるため、満期に向けた持ち高調整が値動きを抑える一因になったとみられる(CoinGape)。
重要ヘッドライン
① 5月PPIが前年比6.5%、約2年半ぶりの高い伸び
米労働統計局(BLS)が11日に発表した5月の生産者物価指数(PPI、最終需要)は前月比1.1%上昇、前年同月比では6.5%と、2022年11月(7.4%)以来およそ2年半ぶりの大きな伸びとなった。市場予想を上回る結果で、上昇分の約8割をエネルギー(最終需要エネルギーが10.7%上昇、うちガソリンが23.4%上昇)が占めた(BLS、CBS News)。前夜のCPI(ヘッドライン4.2%)に続く卸売段階の物価加速で、消費者段階へ波及する「川上インフレ」への警戒が強まった。
② 本日12日、約22億ドルのBTCオプションが満期
Deribitのデータによると、本日12日に約3万5,000枚・想定元本約22億ドル相当のBTCオプションが満期を迎える。XRPオプションも約730万ドル分が満期となり、最大苦痛(マックスペイン)価格は1.15ドル付近とされる(CoinGape)。月次・週次の大型満期は一時的にボラティリティを高めやすく、満期通過後の方向性が注目される。なお満期そのものは需給の節目であり、中長期のトレンドを決める材料ではない点には留意したい。
③ メタプラネット、保有4万BTC超で世界3位の規模を維持
国内の上場企業メタプラネット(証券コード3350)は、ビットコインを4万0,177BTC(一時の時価で約25.6億ドル規模)保有し、上場企業の保有量で世界3位の座を維持している。同社は「555ミリオン・プラン」のもと、2026年末までに10万BTC、2027年末までに21万BTCの保有を目標として掲げている(The Block、Bitcoin Treasuries)。企業のBTC保有戦略は株価と暗号資産価格の連動性を高める一方、価格下落局面では含み損リスクも抱えるため、評価は分かれている。
④ 国内:詐欺・資金洗浄の摘発相次ぐ、金商法改正案は参院へ
国内では暗号資産を悪用した犯罪の摘発が相次いだ。マッチングアプリやSNSを起点とした投資詐欺の被害や、匿名性を高めて資金洗浄を行う「ミキシング」サイトの管理者が国際共同捜査で逮捕されたと報じられた(日本経済新聞)。一方、前夜の朝刊で取り上げた暗号資産を「金融商品」へ位置づけ直す金融商品取引法(金商法)改正案は、衆議院通過を経て参議院での審議に移っており、分離課税(20%)とETF解禁に向けた制度整備の行方が引き続き注目される(crypto.news)。
テーマ深堀り:PPI急伸でインフレ再燃懸念——FOMCを前にFRBのジレンマ
夕刊で最も重みを増したテーマは、米国のインフレ指標の上振れだ。前夜のCPIに続き、11日発表の5月PPIが前年比6.5%とおよそ2年半ぶりの高い伸びを示したことで、物価の上昇圧力が消費者段階だけでなく卸売・生産段階にも広がっている構図が鮮明になった(BLS)。
注目すべきは、上昇の主因がエネルギー、とりわけガソリン価格(前月比23.4%上昇)に集中している点だ(CBS News)。エネルギーは変動が大きく、一時的な押し上げの可能性もある。しかし最終需要財が前月比2.8%と統計開始以来最大の伸びを記録するなど、価格上昇の裾野が広がっている兆候も見られ、関税や石油化学関連のコスト上昇が背景にあると指摘されている。
この物価環境は、利下げを探る米連邦準備制度理事会(FRB)にとってのジレンマを深める。インフレが高止まりすれば利下げ開始は後ずれせざるを得ず、利回りを生まないBTCにとっては逆風となりやすい。一方で、物価高による景気減速懸念が強まれば、将来的な金融緩和観測がかえって資産価格を支える可能性もある。来週16〜17日のFOMCを前に、PPIの上振れは「利下げ期待の後退」と「景気鈍化への警戒」という相反する解釈を市場に突きつけており、暗号資産を含むリスク資産は神経質な値動きを強いられている。
識者の見方:強気・弱気の両論
強気派は、BTCが一連のインフレ指標の上振れにもかかわらず6万2,000ドル台を維持している点に底堅さを見いだす。日本の制度前進や企業のBTC保有拡大といった構造的な買い手の存在も、中長期の下支え要因として評価する。一方で弱気派は、PPI・CPIがそろって高止まりするなかFRBの利下げは当面見込みにくく、現物ETFからの資金流出が続く限り上値は重いと指摘する。本日のオプション満期や夜の米指標を消化するまでは、方向感の乏しい展開が続くとの慎重論も根強い。
今後の注目イベント・指標
直近では、日本時間今夜に発表される米ミシガン大学消費者態度指数(6月速報値)が焦点となる。市場予想は前月の44.8から46.0への小幅改善だが、1年先の期待インフレ率が4.7%から4.8%へ上昇するとの見方もあり、インフレ心理の動向が注目される(Trading Economics)。最大の山場は来週6月16〜17日のFOMCで、ケビン・ウォーシュ新議長にとって初の会合となる。声明と記者会見で、高止まりするインフレと利下げ時期への姿勢がどう示されるかが相場を左右する。
まとめ
12日のアジア時間、BTCは6万3,000ドル近辺で値固めを続けたが、11日のPPIが前年比6.5%と約2年半ぶりの高い伸びを示し、インフレ再燃への警戒が強まった。本日は約22億ドルのBTCオプション満期、夜にはミシガン大消費者態度指数の発表を控える。国内ではメタプラネットの保有拡大や金商法改正案の参院審議が進む。来週のFOMCを前に、相場は神経質な値動きが続きそうだ。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



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