日曜夕方の暗号資産市場は、米独立記念日の連休が続くなかで薄商いとなり、7月4日の急伸から一服した。ビットコイン(BTC)は6万2,700ドル前後で高止まりする一方、ソラナ(SOL)が約3%反落するなど、アルトコインは週末に息切れの兆しを見せている。デリバティブ市場に目を移すと、オプションの建玉が6万6,000〜6万8,000ドル付近に「上値の壁」を描いており、スポットの反発ムードとは対照的な慎重さがにじむ。本稿(夕刊)では、値動きの主役が現物からオプションへ移りつつある週末相場を読み解く。
主要マーケット動向:BTCは6万2千ドル台で足踏み、アルトに息切れ
暗号資産情報サイトThe Currency Analyticsのリアルタイム気配値によると、7月5日の日本時間16時台時点で、ビットコインは6万2,733ドル前後(24時間で約+0.6%)で推移している。前夜に6万3,000ドルを回復した勢いは続かず、狭いレンジでの高止まりに転じた(The Currency Analytics)。国内円建てでは、1ドル=約161円(Wise)で換算しておおむね1,010万円前後となる。
アルトコインは週末にかけてまだら模様となった。イーサリアム(ETH)は1,763ドル前後(約+0.5%)、BNBは571ドル前後(約+0.2%)と小幅高で底堅い一方、ソラナ(SOL)は80.4ドル前後まで約3%反落し、直近の急伸分を吐き出した。リップル(XRP)は1.14ドル前後(約-0.3%)と、朝方に1.18ドルへ上値を伸ばした後は伸び悩んでいる(The Currency Analytics、CaptainAltcoin)。暗号資産全体の時価総額はおよそ2.17兆ドルで横ばい圏を保っている(CaptainAltcoin)。
背景は変わらず、7月2日発表の弱い6月米雇用統計を受けた追加利上げ観測の後退(9月利上げ確率は約45%へ低下)とドル安基調だ。ただし米株式市場が連休で休場のため、株との連動やETF出来高といった通常のシグナルが欠けている。手掛かりがオプション建玉と現物の勢いに限られる週末は、値動きが上下に増幅されやすい点に留意したい(The Currency Analytics)。
重要ヘッドライン
XRP、対BTCで「ゴールデンクロス」 XRP Ledgerは新規ウォレットが急増
XRPは対ビットコインで短期の「ゴールデンクロス」(2時間足で50期間移動平均が200期間移動平均を上抜け)を形成し、6月中旬からの対BTC下落トレンドを反転させた。オンチェーン分析のサンチメントによると、XRPの30日・365日のMVRV(時価総額と実現時価総額の比率)は約-45%・-47%と12年超の取引履歴で最低水準にあり、極端な悲観が逆張り買いを呼び込みやすい局面と解釈されている。実需面でも、XRP Ledgerでは1日で4,941の新規ウォレットが作成され、3カ月ぶりの強い伸びを記録した(U.Today)。ただしテクニカル指標は短期の需給を映すもので、単独で方向性を断定する材料ではない。
米ビットコインETF、10日ぶり資金流入も年初来では50億ドル超の流出
朝刊の続報として、米国の現物ビットコインETFは7月2日(木)に2億2,170万ドルの純流入を記録し、2カ月ぶりの大きさで10営業日続いた資金流出(累計27.3億ドル)に歯止めをかけた。牽引したのはフィデリティのFBTC(約1億6,600万ドル)とアークのARKB(約9,180万ドル)で、最大手ブラックロックのIBITは逆に4,043万ドルの流出だった。もっとも年初来の純流出は依然として約54億ドルに達しており、CoinDeskは「一日の反発は今年の売りに比べれば大海の一滴で、持続的な流入トレンドへの転換が本物の回復には必要」と釘を刺す(CoinDesk、Farside Investors)。連休でデータが途切れているため、週明けの再開分が焦点となる。
ヴィタリック氏「Lean Ethereum」構想、EVM刷新で量子耐性・高速化へ
イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は、プロトコルを抜本的に見直す「Lean Ethereum(リーン・イーサリアム)」構想を提示した。中核は、現在の実行環境であるEVM(イーサリアム仮想マシン)を将来的に「RISC-V」や「leanISA」といったより効率的な実行環境の上で動く”コンパイラ標的”へと位置づけ直す長期計画だ。あわせて、取引の再実行を再帰的なSTARK証明による検証へ置き換え、量子コンピュータに耐性を持つ暗号方式や1〜2ラウンドで確定するコンセンサス、多次元のガス料金体系を導入するとしている。実装は3〜4年をかけた段階的なもので、量子耐性の中核完成は2029年前後が目標。2026年内にイーサリアムの仕様が変わるものではない(CryptoTimes、Blockworks)。前夜の朝刊で触れた「サトシ資産凍結」論争と同様、量子時代への備えが主要プロトコルの中期テーマに浮上している。
国内初の信託型円ステーブルコイン「JPYSC」始動、企業間決済を照準
国内では、SBIホールディングスとStartale Groupが共同開発した信託型の日本円建てステーブルコイン「JPYSC」が、6月24日にSBI VCトレードの口座内限定で提供を開始した。発行はSBI新生信託銀行が「信託型(3号電子決済手段)」として担う。個人向けで先行するJPYCが1件あたり100万円の送金上限を持つ資金移動業型なのに対し、信託型のJPYSCは同上限がなく、企業間の大口決済やクロスボーダー取引を主戦場に据える点が特徴だ。規制・税務の整理を経て、将来はパブリックブロックチェーン上での流通に移行する計画とされる(SBIホールディングス、日本経済新聞)。国内ステーブルコインは、2025年のJPYC発行に続き、信託型が立ち上がる新段階に入った。
テーマ深掘り:オプションが映す「慎重な楽観」——現物の反発と乖離するデリバティブの警戒
週末相場を読み解くうえで見逃せないのが、現物(スポット)とオプション(デリバティブ)が発するメッセージの温度差だ。ビットコインは弱い雇用統計を追い風に5営業日で6万ドル割れから6万3,000ドルへ切り上げたが、オプション市場はこの反発をなお割り引いて見ている。
The Currency Analyticsがデリビットの建玉データを基に伝えたところによると、大口のビットコイン・オプションには「ロング・コール・コンドル」と呼ばれる戦略が組まれている。6万4,000ドルと7万ドルで買い、6万6,000ドルと6万8,000ドルで売る構造で、価格が6万6,000〜6万8,000ドルの帯に収まると利益が最大化する。これが結果的に当面の上値抵抗(天井)を描く形となり、逆に下値では6万ドル、それを割ると5万7,000ドル台が意識される。加えて、1週間物の25デルタ・プットコール・スキューは25%から約16%へ低下したものの依然プラス圏にあり、パニックは和らぎつつも「下落に備える保険料」を払う投資家がなお多いことを示す(The Currency Analytics)。
やや専門的だが、要点はシンプルだ。現物の買い戻し(ショートカバー)主導で価格は戻したものの、プロの投資家は上値を追うより下値ヘッジを優先している。連休の薄商いはこの綱引きを増幅しやすく、6万8,000ドルを明確に上抜ければ本格的なブレイクアウト、逆に6万6,000ドル近辺で跳ね返されれば「慎重派が正しかった」との評価に傾く。オンチェーンでも「損失を抱えるBTCが利益を抱えるBTCを上回った」との指摘があり(CoinDesk)、需給は神経質なまま。乖離の答えは、週明けに米国勢が戻り流動性が回復して初めて出る。
識者の見方:反発の持続力を巡り強弱交錯
強気派は、XRPの対BTCゴールデンクロスや記録的な含み損水準、ETF資金の流入転換を「6月の投げ売りが一巡した証左」とみる。弱い雇用統計による利上げ観測の後退はリスク資産全般の追い風であり、下値では押し目買いが入りやすいとの見立てだ。
一方で慎重派は、オプションが描く6万6,000〜6万8,000ドルの上値の壁と、なおプラス圏のプットコール・スキューを警戒する。SOLの約3%反落は、薄商いで膨らんだアルト高が早くも巻き戻された可能性を示唆する。ETFも年初来では54億ドルの純流出が残り、一日の流入で基調転換を語るのは早計だ。7月14日の6月米CPIとその先のFOMCを見極めるまでは、様子見が優勢との声が根強い。強弱の綱引きは、週明けの流動性回復を待って決着する公算が大きい。
今後の注目イベント・指標
まずは週明け7月6日(月)に米国勢が連休から復帰し、途切れていたETF資金フローのデータが再開する。薄商いで膨らんだ値動きが持続するかが最初の関門だ。7月14日発表の6月米CPI(消費者物価指数)は、ケビン・ウォーシュ議長率いるFRBの金融政策を占う最重要指標となる(米労働統計局)。金融政策では7月28〜29日のFOMCが控える。国内では7月13〜14日に東京で開催されるWeb3カンファレンス「WebX2026」に企業・規制当局の動向が集まりそうだ。
まとめ
日曜夕方のBTCは6万2千ドル台で足踏みし、SOLの反落などアルトに息切れがみられた。現物は弱い雇用統計を追い風に反発した一方、オプション市場は6万6千〜6万8千ドルに上値の壁を描き、慎重さを崩していない。国内では信託型円ステーブルコイン「JPYSC」が始動し、イーサリアムは長期の刷新構想を提示するなど、値動きの裏で制度・技術の地殻変動も進む。方向感の答えは週明けの流動性回復とCPI待ちだ。
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。



コメント