ビットコイン(BTC)は日本時間7月26日夕方も約6万4,000ドル(1ドル=約163.8円換算で約1,050万円)を挟んだ週末の膠着が続いている。土曜日で取引参加者が細るなか、方向感を欠いたまま来週28〜29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を待つ地合いだ。ただ足元では、24日に途切れた米ビットコイン現物ETFへの資金が「週間ベースでは小幅ながらプラスを確保していた」ことが確認され、需給の底堅さも見え始めた。国内では、メタプラネットのサイモン・ジェロビッチCEOが「日本のBTC保有企業が相次いで売却している」との報道に公然と反論し、話題を呼んだ。夕方時点で押さえておきたい要点を整理する。
主要マーケット動向:BTCは6.4万ドル圏で膠着、週末の薄商い続く
BTCは7月26日、暗号資産データメディアのThe Crypto Times(CoinMarketCap基準)によると約6万4,340ドルで推移し、週間ではなお約0.65%高を保っている。24日に一時6万4,000ドルを割り込む場面もあったが、その後は6万4,000ドル台を回復した(The Crypto Times)。前日25日の朝時点で1ドル=約163.8円だった為替で換算すると、1BTCは約1,050万円にあたる(三井住友銀行)。
イーサリアム(ETH)は約1,860ドル(約30万円)と、心理的節目の1,900ドルを下回る展開が続く。主要アルトコインではソラナ(SOL)が約73.8ドル(約1万2,000円)、リップル(XRP)が約1.1ドル前後(約180円)で取引された(The Crypto Times、Sunday Guardian)。この日も暗号資産の総時価総額はおおむね2兆2,800億ドル前後、BTCの市場支配率(ドミナンス)は56%台での推移が続き、資金がアルトへ広く波及しにくい「BTC優位」の構図に大きな変化はなかった。市場心理を示すCrypto Fear & Greed Indexは27前後と「恐怖(Fear)」圏に沈んだままで、週末の薄商いも重なり、値幅の乏しい一日となった。
重要ヘッドライン
米現物ETF、24日は流出も「週間ではプラス圏」を確保
米国上場の暗号資産ETFは、週の後半こそ流出が目立ったものの、週間の集計ではプラスを維持した。データ集計のFarside Investorsによると、米ビットコイン現物ETFは7月20〜24日の週で差し引き約3,379万ドルの純流入。イーサリアム現物ETFは約1億300万ドル、ソラナ関連ETFも約720万ドルの流入となり、ドージコイン関連も約35万ドルのプラスだった(The Crypto Times、Farside Investors)。
もっとも、内訳を見ると強さは一様ではない。BTC現物ETFは24日に約2億4,008万ドル、前日23日にも約2億2,510万ドルと2日連続で大きく流出し、7営業日続いた資金流入の連鎖が途切れた。24日の流出はブラックロックのIBIT(約2億1,220万ドル)が主導した。それでも週前半(22日など)の流入がこれを吸収し、週間ではかろうじてプラスに着地した形だ。米BTC現物ETFの累計純流入額は約516億ドル、運用資産残高は約788億ドルに達している(The Crypto Times、Farside Investors)。
国内:メタプラネットCEO、「BTC保有企業の売却」報道に反論
夕方に国内で最も注目を集めたのが、メタプラネット(3350)のサイモン・ジェロビッチCEOの発信だ。同氏は、かつてビットコインを準備資産として保有していた日本の一部上場企業が最近になって手放す判断をしたと報じられたことに触れつつ、「メタプラネットは違う」「ビットコインへの確信は揺らいでいない」と反論した(JinaCoin)。同社のBTC保有量は約4万3,000BTCに達し、上場企業として世界有数の規模となっている。第2四半期には2,823BTC(約2億2,500万ドル)を追加取得しており、長期的には2027年末までに21万BTCを目指す方針を掲げる(CoinPost、あたらしい経済(Yahoo!ニュース))。相場が方向感を欠くなかでの経営陣の発信だけに、国内の個人投資家の関心を集めた。
米CLARITY法案、ホワイトハウスが民主党に「決断」迫る
暗号資産の市場構造を定める米CLARITY法案(デジタル資産市場明確化法案)を巡り、ホワイトハウスが民主党側に歩み寄りを強く促している。上院共和党は7月22日に修正案の条文を公表。大統領・副大統領・議員の利益相反を制限する倫理条項を含むが、ギャレゴ、アルソブルックス両上院議員はより強力な条項を成立の条件として求めている(CoinDesk、The Crypto Times)。ジョン・スーン上院院内総務は、8月の夏季休会前に上院を通過させるのは難しいとの見方を示す一方、政権の暗号資産顧問は「8月第1週に道は残る」としており、成立の期限が迫るなか攻防が続く(The Crypto Times)。
DeFiの総預かり資産は年初来37%減、ステーブルコインは約3,100億ドル
分散型金融(DeFi)分野では、資金の停滞が続く。集計サイトDefiLlama系のデータによると、DeFiの総預かり資産(TVL)は年初来で約37%減の約717億ドルにとどまり、イーサリアムが約53%のシェアを占める。一方、ステーブルコインの時価総額は約3,100億ドル規模で、テザー(USDT)とサークル(USDC)の2銘柄で全体の約8割を占める(CoinLaw、DefiLlama)。ステーブルコインの供給がDeFiのTVLを大きく上回る状態が続いており、資金の多くが決済・待機用途で保有されている構図がうかがえる。
テーマ深掘り:企業のビットコイン準備金は「強さ」か「潜在リスク」か
この夕方のジェロビッチCEOの発信は、いま暗号資産市場で静かに意識され始めているテーマを象徴している。上場企業がビットコインを準備資産(トレジャリー)として大量に保有する動きは、米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)を筆頭に、日本のメタプラネット、米トゥエンティワン・キャピタルなどへと広がってきた。メタプラネット単体で約4万3,000BTCを抱え、企業のBTC保有は市場の新たな買い手として存在感を増している。
一方で、これは相場の「潜在的な変動要因」にもなり得る。多くのトレジャリー企業は株式や社債で調達した資金でBTCを買い増しており、株価とBTC価格が連動しやすい。実際、メタプラネット株はBTCの値動きに追随して推移し、7月は年初来安値からの反発局面と高値からの調整局面が交錯した(CoinPost)。相場が下落し、調達環境が悪化すれば、含み損や資金繰りを理由に保有BTCの一部売却を迫られる企業が出る可能性は否定できない。今回、一部の日本企業が実際に保有を手放したと報じられ、ジェロビッチCEOがあえて反論したのは、こうした「トレジャリー企業の連鎖売り」への市場の警戒感を意識したものとみられる。
企業のBTC保有は、長期の需給を下支えする強材料である半面、マクロ環境が悪化した局面では売り圧力に転じ得る「両刃の剣」でもある。個々の企業がどの程度の調達余力と保有方針を持つかを見極めることが、今後いっそう重要になりそうだ。なお、これは特定企業やビットコインの購入・売却を推奨するものではなく、あくまで需給構造を理解するための整理である。
識者の見方:強気・弱気の綱引き
強気派は、24日の2日連続流出はあくまで7営業日続いた流入の一服にすぎず、週間ではETFフローがプラスを維持した点を重視する。BTC現物ETFの累計流入が約516億ドルに達し、機関投資家の関与そのものは途切れていない。メタプラネットのように保有方針を明確にする企業の存在も、中長期の下支え要因になり得るとの見方だ(Farside Investors)。
一方、弱気派は当面のマクロ逆風と需給の脆さを警戒する。恐怖指数は27と慎重ムードが続き、DeFiのTVLは年初来37%減と資金の停滞が鮮明だ。来週のFOMCを前に金利の先高観がくすぶるなか、利回りを生まないBTCには逆風が吹きやすい。トレジャリー企業の保有BTCが下落局面で売りに回るリスクや、米CLARITY法案の停滞による制度整備の遅れも、心理を冷やす材料として意識される。強気・弱気のいずれに傾くかは、来週の金融政策とその後の資金フロー次第だ。
今後の注目イベント・指標
最大の焦点は7月28〜29日のFOMCだ。政策金利の発表は米東部時間29日午後2時(日本時間30日午前3時)で、続いてケビン・ウォーシュ議長の記者会見が予定される。市場は据え置き(誘導目標3.50〜3.75%)を広く見込むが、「利上げ」の可能性を意識する向きもあり、声明とウォーシュ議長の発言が注目される(FedRateCalc)。同じ週にはマイクロソフト・メタ(29日)、アップル・アマゾン(30日)など米巨大テックの決算が集中し、リスク資産全体のセンチメントを左右する。あわせて、8月休会前のCLARITY法案の行方、現物ETFの週明けの資金フローにも目を配りたい。
まとめ
7月26日夕の要点は、(1) BTCは約6.4万ドル(約1,050万円)で週末の膠着が続き、恐怖指数は27と様子見ムード、(2) 米現物ETFは24日に2日連続の流出が出たものの週間ではプラスを確保、(3) メタプラネットのジェロビッチCEOが「BTC保有企業の売却」報道に反論し、企業トレジャリーの持続性が改めて意識された、の3点だ。週明けのFOMCと米巨大テック決算という「マクロの山場」を前に、方向感を欠く相場がどちらに動き出すかが当面の焦点となる。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



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