ビットコイン(BTC)は日本時間8月2日朝、6万2,900〜6万3,000ドル台(1ドル=約159.5円換算で約1,003万円前後)でこの週末を静かに推移し、「魔の8月」入りを迎えた。前週末7月31日の米国市場ではBTCが軟調に転じ、米上場のビットコイン現物ETFからは約2億6,500万ドルの資金が流出。一方で米議会では暗号資産の市場ルールを定める「クラリティ法」が8月7日の休会を前に最後の関門を迎えており、来週は7日の米雇用統計とあわせて重要日程が続く。土日の薄商いのなか、朝の要点を整理する。
主要マーケット動向:BTCは6.3万ドル台で膠着、ETF資金は再び流出
BTCは、CoinMarketCapの集計で8月1日時点に6万2,869ドル、24時間で3.25%安、時価総額は約1兆2,600億ドル、24時間出来高は約298億ドルとなった(CoinGabbar/CoinMarketCap集計、CoinMarketCap)。土日は欧米の主要市場が休場で薄商いとなりやすく、週末を通じては6万2,900〜6万3,000ドル台での小動きにとどまった(Coinpedia)。円換算では1BTCあたり約1,000万円前後にあたる。
イーサリアム(ETH)は1,865ドル前後で、7月に一時回復した2,000ドルの節目を再び下回ったままだ。リップル(XRP)は1.06ドル、ソラナ(SOL)は72.8ドル前後で、主要アルトはおおむね横ばい圏で推移した(Coinpedia、CoinMarketCap)。市場心理を映す恐怖・強欲指数は27の「Fear(恐怖)」圏にあり、慎重ムードが続く(Alternative.me)。
資金フローの弱さも重しだ。ロンドンのFarside Investorsの集計によると、米国のビットコイン現物ETFは7月31日に純流出2億6,540万ドルを記録し、ブラックロックのIBITが1億2,270万ドル、フィデリティのFBTCが5,480万ドル、グレースケールのGBTCが5,260万ドルの流出となった(Farside Investors、Crypto Times)。7月は月間では小幅な純流入で辛うじてプラス圏を確保したものの、流入規模は細く、機関投資家の需要が本格回復には至っていないことを裏づける。ETF資金は近年のBTC価格変動の主因の一つとされ、週明けの流れが8月相場の下支えを左右する。
重要ヘッドライン
ストラテジー、Q2に約82億ドルの純損失 BTC保有は84.4万枚に
マイケル・セイラー氏率いる米ストラテジー(旧マイクロストラテジー、MSTR)は7月30日、2026年第2四半期(4〜6月)決算を発表し、約82億ドル(約1.3兆円)の純損失を計上した。これは同四半期のBTC下落に伴う会計上の評価損(時価評価=mark-to-market)が主因で、キャッシュの流出を伴わない非現金項目だ(CoinPost、Yahoo Finance、Investing.com)。一方でBTC保有戦略はむしろ加速しており、四半期中に平均約7万5,500ドルで8万3,901BTCを積み増し、総保有量は84万3,775BTC(全供給量の約4%相当)に達した。損益計算書の悪化とバランスシート上のBTC積み増しが同時進行する構図で、企業のBTC財務戦略が価格変動をどこまで許容できるかが改めて問われている。
米ビットコイン現物ETF、7月31日に2.65億ドル流出
前述のとおり、米ビットコイン現物ETFは7月最終営業日に約2億6,500万ドルの純流出となった(Farside Investors、COINOTAG)。FRBが7月29日に政策金利を据え置いた後、米長期金利の上振れや原油高への警戒からリスク資産全般が売られやすい地合いとなったことが背景にある。対照的にイーサリアム現物ETFは相対的に堅調で、ETH優位の資金フローが続いている。
韓国、暗号資産課税を2027年1月から実施へ
韓国政府は、暗号資産の譲渡・貸与益への課税を予定どおり2027年1月から開始する方針を示した(CoinPost)。損失の繰越控除は認められない見通しで、投資家の国内取引所離れを懸念する声も出ている。日本が申告分離課税(一律20%)の導入と繰越控除の創設に向かうのとは対照的で、アジア主要国で税制の設計思想が分かれつつある点は、日本の投資家にとっても比較材料となる。
グラスノード、「市場は無関心」 米国債利回りがキャリー妙味上回る
オンチェーン分析のグラスノードは週次レポートで、米国債の利回りが暗号資産のキャリートレード(金利差取り)の妙味を上回る状況にあり、新規の買い手が現金を手元に様子見していると分析した(CoinPost)。安全資産の利回りが相対的に魅力を増すなか、リスクを取る動機が乏しい「無関心」局面にあるとの見立てだ。
テーマ深掘り:米「クラリティ法」が正念場 8月7日の休会がタイムリミット
今週の最大の焦点は、米国の暗号資産市場構造法案「クラリティ法(Digital Asset Market CLARITY Act、H.R.3633)」の行方だ。同法案は、暗号資産をめぐる証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の管轄を整理し、どの資産をどちらが監督するかを明確にすることを狙う。すでに下院を通過し、上院の委員会も通過したが、本会議での採決日程はまだ固まっていない(Latham & Watkins 政策トラッカー、crypto.news)。
タイムリミットは目前に迫る。上院は8月7日から夏季休会に入るため、本会議で審議できる時間はわずかしか残されていない。上院多数党院内総務のスーン氏は休会前の採決を目指しているが、議事妨害(フィリバスター)を打ち切るには60票が必要だ(Yahoo Finance)。ここで壁になっているのが倫理条項をめぐる調整で、大統領を含む政府高官が暗号資産事業と利害関係を持つことを禁じる規定をめぐり、賛否を留保する民主党議員が残る。州司法長官による提訴を認める妥協案も取り沙汰されるが、条文はなお確定していない(CoinPost、bitcoin.com)。
成立確率の市場評価は低下している。予測市場ポリマーケットは7月30日時点で2026年内成立の確率を28%と、2月のピーク(82%)から大きく切り下げ、ギャラクシー・デジタルも見通しを30%へ引き下げた(bitcoin.com)。仮に法案が不成立でも、SECのアトキンス委員長は「SEC自ら規則を策定する用意がある」と述べており、立法か規則制定かの二択で制度整備は進む見通しだ(CoinPost)。日本が暗号資産を金融商品取引法の枠組みへ移す改革を進めるのと同様、米国の制度の輪郭が固まるかどうかは、機関資金の呼び水として日本市場にも波及しうるテーマだ。
識者の見方:「魔の8月」を警戒する声と、反発シナリオの両論
季節性への警戒感は根強い。過去のBTCは8月に、2022年に13.9%安、2023年に11.3%安、2024年に8.6%安、2025年に6.5%安と4年連続で下落しており、過去15年でみても8月は平均リターンがマイナス圏に沈む唯一の月とされる(Yahoo Finance)。薄い機関参加、マクロの不透明感、季節的な換金売りといった弱材料が今年もそろっているとの指摘が、弱気派の論拠だ。
一方で、下値を固めたうえでの反発を見込む声もある。あるアナリストは5万8,000〜6万2,000ドル圏での底入れを経て、8万〜9万2,000ドル方向への戻りを想定。短期保有者の平均取得コストにあたる約6万9,000ドルを明確に上抜ければ、季節的な弱さを打ち破る転換シグナルになりうるとの見方を示した(KuCoin)。強気・弱気が拮抗するなか、当面は5万ドル台後半〜6万ドル台半ばのレンジ内で方向感を探る展開を基本シナリオとみる向きが多い。
今後の注目イベント・指標
来週は米経済指標が相場の試金石となる。8月7日(金)には7月分の米雇用統計(非農業部門雇用者数)が米東部時間8時30分に発表され、同日から上院は夏季休会入りするため、クラリティ法採決の可否もこの日までが焦点だ(米労働統計局、Finance Calendar)。8月12日(水)には7月の米消費者物価指数(CPI)、19日には7月FOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨公表が控える(usinflationcalculator)。ETFの資金フロー動向とあわせ、金利観測の変化が暗号資産に波及しやすい2週間となる。
まとめ
週末のBTCは6万3,000ドル前後で膠着し、ETF流出と季節性の弱材料が上値を抑える。今日の要点は、①ストラテジーがQ2に約82億ドルの評価損を計上しつつBTC保有を84.4万枚へ積み増し、②米クラリティ法が8月7日の休会前という正念場を迎え、③来週は7日の雇用統計・12日のCPIが控えること。制度と指標の両にらみで、静かな週末が次の変動の助走となるか注視したい。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



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