ビットコイン(BTC)は前夜の米国時間に一時8万1,000ドルを回復したものの、株高に追随できず7万8,000ドル台へ反落した。焦点だった7月の米PCE(個人消費支出)物価指数は総合が市場予想をわずかに上回り、利上げ観測がくすぶる展開に。取引終了後に発表されたエヌビディアの決算は大幅な増収増益で市場予想を上回ったが、暗号資産は先週の急騰の反動と重なり、上値の重い一夜となった。米金融政策の節目となるジャクソンホール会議を控え、今日はポジション調整を意識した相場が続きそうだ。
主要マーケット動向:一時8.1万ドル回復も上げ続かず
BTCは日本時間8月27日朝の時点で約7万8,000ドル台で推移している。CoinDeskの価格表示では8月26日に約7万8,490ドル、KuCoinの日次レポート(8月26日00:00 UTC時点)では7万8,521.7ドル(前日比マイナス0.58%)と、いずれも前日比で小幅安となった。前夜のアジア〜欧米時間に一時8万1,000ドルまで上伸したが、米株の上昇に追随できず速やかに7万8,000ドル近辺へ押し戻された。KuCoinによれば、過去24時間の暗号資産全体の清算額は約5億6,600万ドルで、うちショートの清算が約3億3,100万ドルを占めた。8万ドル突破局面ではショートの買い戻しが原動力の一つだったが、その勢いが一巡し、高値圏の持ち高整理が進んでいる形だ。
イーサリアム(ETH)は約2,442〜2,445ドルと前日比1%前後の下落で、2,500ドル台から押し戻された(CoinDesk、KuCoin)。アルトコインではXRPが24時間で6%超下げて約1.38ドルとなったが、週間では約44%高という急騰の反動局面にある。ソラナ(SOL)は約96ドルと約2%安で推移した。市場心理を示すKuCoinのFear & Greed指数は65(前日74)へと低下し、強気ながら過熱感が和らぎつつある。米株はナスダック総合が0.66%高の2万6,151、S&P500が0.32%高の7,677と底堅く、米10年債利回りは約4.68%、30年債は約5.21%へ低下した(KuCoin、8月26日)。
BTCは8月に入って月間で約23%上昇し、2017年以来の強い8月となる勢いを保っている(CoinDesk、Investing News)。もっとも、日足の相対力指数(RSI)は70を上回り、短期的な過熱を示す水準にある点には留意が必要だ(CoinDesk、8月26日)。
重要ヘッドライン
7月PCE、総合は予想上振れ・コアは横ばい
米商務省が8月26日に発表した7月のPCE物価指数は、総合が前月比0.2%・前年同月比3.7%と、いずれも市場予想を0.1ポイント上回った。FRBが重視するコア(食品・エネルギー除く)は前月比0.2%・前年同月比3.3%で、前月から横ばいの市場予想通りだった(CNBC、Fox Business、8月26日)。総合の小幅な上振れは、9月の利上げ観測をやや強める材料と受け止められた。CMEのFedWatchでは、9月会合で25bpの利上げに動く確率が約38%、据え置き(3.50〜3.75%)が約60%と織り込まれている(CoinDesk、8月26日)。
エヌビディア決算、売上高96億ドル超で予想上回る
半導体大手エヌビディアが8月26日の米市場引け後に発表した2026年5〜7月期(FY2027 第2四半期)決算は、売上高が前年同期比106%増の962億ドルと、市場予想の約922億ドルを上回った。1株利益は2.22ドル(予想2.09ドル)、粗利益率は75.0%。次四半期のガイダンスも1,080億ドル(±2%)と強気だった(24/7 Wall St.、Motley Fool、8月26日)。BTCとエヌビディア株は2025年以降おおむね0.5超の高い相関を示しており、AI関連のリスク選好は暗号資産にも波及しやすい(CoinDesk)。
ブラックロック、IBITの現物スワップ最低額を100万ドルに引き下げ
報道によると、ブラックロックは現物ビットコインを上場投資信託(ETF)「IBIT」の持ち分と交換する際の最低額を、従来の2,500万ドルから100万ドルへ引き下げた。自己保管に伴う盗難リスクの高まりを背景に、大口保有者がETFへ移行する動きを後押しする狙いとされる(CoinDesk、8月26日)。現物ETFへの資金流入は継続しており、米上場のビットコイン現物ETFは8月25日に約3億1,430万ドル、イーサリアム現物ETFは約1億7,980万ドルの純流入を記録した(KuCoin/Farside集計)。
金曜に64億ドル規模のBTCオプション満期、変動材料に
デリバティブ取引所Deribitでは、8月28日(金)に約64億ドル規模のビットコイン・オプションが満期を迎える見通しで、需給の偏りが短期の値動きを増幅させる可能性が指摘されている(CoinDesk、8月25日)。同日にはジャクソンホールでのFRB議長講演も重なり、週末にかけてボラティリティが高まりやすい局面だ。
テーマ深堀り:PCE上振れとエヌビディア好決算の「綱引き」
今週の暗号資産相場は、インフレ指標とAI関連の企業業績という2つの綱引きのなかにある。7月PCEの総合が予想を上回ったことで、9月利上げの可能性が意識され、長期金利の再上昇が警戒された。一方、引け後に発表されたエヌビディアの好決算は、AIを起点としたリスク選好を下支えする材料だ。米調査会社の見方では、PCEが長期金利の再上昇を招かず、エヌビディア決算がハイテク株のリスク許容度を保てば、BTCが再び8万ドルを回復し「高値圏での調整(もみ合い)」との解釈が優勢になりやすい。逆に、インフレの上振れが金利上昇と株安を誘発すれば、7万7,000ドル割れから調整が深まる展開も否定できない、との指摘がある(KuCoin、8月26日)。
需給面では、現物ETFへの資金流入が続いていることが下支えとして機能している。米インド系取引所Giottusのビクラム・スブラジ最高経営責任者(CEO)は「注目は7月のPCEとGDP、そしてジャクソンホールに移った」としつつ、直近の上昇を追いかけるのではなく、分割エントリーや小口・低レバレッジでの対応を勧めている(CoinDesk、8月26日)。過度なレバレッジではなく現物とETF資金が主導しているという構図は、急落リスクを和らげる一方、短期的な過熱の巻き戻しには注意が必要な段階といえる。
識者の見方:強気と警戒が交錯
強気派は、今回の上昇が過度な先物レバレッジではなく現物・ETF資金に支えられている点を重視する。米上場ETFへの純流入が続き、企業の保有需要も底堅いことから、押し目では買いが入りやすいとの見方だ。一方で警戒派は、日足RSIが70超と過熱を示すこと、XRPの44%急騰でレバレッジが再び積み上がっていること、金曜に64億ドル規模のオプション満期が控えることを挙げ、短期的な巻き戻しに身構える。加えて、9月に利上げの可能性が約38%織り込まれるなか、ジャクソンホールでのウォーシュFRB議長の発言次第では金利観が振れやすい。市場全体としては「強気トレンドは崩れていないが、高値圏の値幅調整は避けにくい」との慎重な楽観が中心だ(CoinDesk、KuCoin、8月26日)。
今後の注目イベント・指標
本日8月27日から29日にかけてジャクソンホール経済シンポジウムが開催され、28日にはウォーシュFRB議長の講演が予定される。27日には米第2四半期GDP改定値、週次の新規失業保険申請件数、ECB理事会議事要旨、韓国中銀の政策金利発表が並ぶ。28日には米雇用統計のベンチマーク改定(速報)、金曜には約64億ドルのBTCオプション満期が控える。9月FOMC(16〜17日)に向け、金利観を左右する材料が続く一週間だ(CoinDesk、KuCoin)。
まとめ
前夜のBTCは一時8万1,000ドルを回復したが株高に追随できず7万8,000ドル台へ反落。7月PCE総合の上振れで利上げ観測がくすぶる一方、エヌビディアの好決算がリスク選好を下支えする綱引きの構図だ。現物ETFへの資金流入は続き下値は堅いが、RSIの過熱やオプション満期を控え短期の調整には注意したい。今日はジャクソンホールと米指標をにらんだ展開となりそうだ。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*
主要参照ソース
- CoinDesk「The 3 catalysts that could define bitcoin’s next move」(2026年8月26日): https://www.coindesk.com/daybook-us/2026/08/26/the-3-catalysts-that-could-define-bitcoin-s-next-move
- KuCoin「Crypto Daily Market Report – August 26, 2026」: https://www.kucoin.com/news/articles/crypto-daily-market-report-august-26-2026
- CNBC「Fed’s preferred inflation gauge shows core prices rose 3.3% annually in July」(2026年8月26日): https://www.cnbc.com/2026/08/26/feds-preferred-inflation-gauge-shows-core-prices-rose-3point3percent-annually-in-july.html
- 24/7 Wall St.「NVIDIA (NVDA) Q2 2026 Earnings」: https://247wallst.com/companies/nvda/earnings/2026/Q2
- Farside Investors / KuCoin(米現物ETF資金フロー、8月25日): https://farside.co.uk/btc/



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