【10月5日朝】利上げ観測16%でも長期金利24年ぶり高水準、BTC8万6千ドル手前

【10月5日朝】利上げ観測16%でも長期金利24年ぶり高水準、BTC8万6千ドル手前 マーケット速報

おはようございます。あきFPです。10月5日(月)朝、ビットコインは8万6千ドル手前。週末はほとんど動いていません。ただ、その静けさの裏側で、米国の金利と原油がかなり妙なことになっています。今朝はそこを掘ります。

主要マーケット動向

ビットコイン(BTC)は1BTC=8万5,886ドル。24時間+1.40%、1週間+1.43%、30日+7.90%。先週金曜に一時8万7,219ドルまで乗せたあと押し戻され、8万5千ドル台で足踏みしている形です。イーサリアム(ETH)は2,705ドルで24時間+0.74%、1週間+0.80%。30日では+10.29%とBTCを上回るのに週単位では負ける──この状態が9月後半から続いています。

暗号資産全体の時価総額は2.92兆ドル(24時間+1.19%)。BTCドミナンスは59.06%で、1週間前の58.6%からじわりと上昇。アルトコインシーズン指数は61で、30日前の36からは大きく上がったものの、この1週間は64→61と足が止まっています。

センチメントは、CoinMarketCapのFear & Greed指数が69で「Greed(強欲)」。前日67、1週間前72、1か月前75。80台の「極度の強欲」まで行かずに失速した、という読み方が正確でしょう。

見落としたくないのがデリバティブ側です。建玉(オープンインタレスト)は3,447億ドルで24時間-20.07%、30日-24.08%。平均ファンディングレートも30日で-60.83%。要するにレバレッジがかなり抜けています。この1か月の上昇は借金で押し上げたものではなかった、ということ。崩れにくいかわりに、上に行くスピードも鈍い地合いです。

重要ヘッドライン

  • 米9月雇用統計が大幅に下振れ──非農業部門雇用者数は+2万9,000人。市場予想の9万人前後に対して、3分の1以下でした。失業率も4.1%→4.2%へ。これで10月のFOMCでの追加利上げ観測は16~17%まで沈みました(1週間前は64~71%)。Yahoo Finance
  • それでも米長期金利は24年ぶりの高さ──10年債利回りは5.34%まで上昇し、2002年4月以来の水準。30年債も5.63%です。利上げ観測が消えたのに長期金利が上がる、という教科書と逆の動きが起きています。Invezz
  • ブレント原油が102ドル台──金曜に+4.40%の102.31ドル、6月末比で約42%上昇。米空母セオドア・ルーズベルトが9月27日に出港し、中東展開中の2グループに合流する見込みという報道が材料。Vantage Markets
  • SECが暗号資産のカストディ規則案を公表(10月2日)──投資顧問業者やファンドが一定の条件下で暗号資産を自己保管できる道を開く内容。意見募集は官報掲載から60日間。The Crypto Times
  • 米ビットコイン現物ETFは小幅な流入に戻る──10月1日+1億270万ドル、2日+3,170万ドル。9月30日に1億4,870万ドルの流出が出て、9日続いた流入が途切れました。9月26日までの週は約24億ドルで2025年10月以来最大でした。Farside Investors
  • ドル円は158円台、東京コアCPIは2.70%──9月の東京都区部コアCPIは予想2.40%を上回り、10か月ぶりの高さ。日銀の政策金利は1.25%、次回会合は10月30日。Vantage Markets

テーマ深掘り:政策金利の観測は下がり、長期金利は上がる──この「ねじれ」をどう読むか

今朝いちばん考えるべきなのは、価格ではなくこのねじれだと思います。

9月16日のFOMCで、FRBは政策金利を3.75~4.00%へ引き上げました。採決は12対0、ドットプロットは年内もう1回の利上げを示していました(CNBC)。ところが金曜の雇用統計で、その「もう1回」の確率は16%台まで落ちた。普通ならここで長期金利も素直に下がります。景気が弱いなら将来の金利は低いはずだからです。

下がりませんでした。10年債は5.34%、30年債は5.63%に張り付いたまま。ドル指数も102で18か月ぶりの高さです。

理由はきれいに3つに分かれます。ひとつ目はインフレ期待。原油が6月末から4割上がり、米国の軽油価格は9月に1ガロン6.40ドルの過去最高を記録しました。エネルギーは時間差で物価全体に効いてきます。ふたつ目はタームプレミアム──財政赤字と国債発行の重さに対し、長い期間のお金を貸すなら上乗せをもらう、という投資家の要求。3つ目がいちばん厄介で、CPIが目標を上回っているのに利上げを止める中央銀行を債券市場が信用していない可能性です。「短期金利を上げないなら、その分は長期のインフレで払ってもらう」という値付け。

どれが主因かは正直わかりません。たぶん混ざっています。ただ、BTCにとってこの3つは意味が全然違います。

1つ目と3つ目なら、BTCにはむしろ追い風になり得ます。通貨の購買力が削られることへのヘッジ、という文脈です。2つ目──単に「安全資産の利回りが5%超ある」だけなら逆風。無リスクで5.3%取れる世界で、キャッシュフローを生まない資産を持つ理由を説明するのは、しんどい。

そして今朝のBTCは、両方の力が同時にかかった状態で8万6千ドル手前を保っている。これ自体が情報です。レバレッジが30日で24%抜けたのに価格が下がっていない。買い手が現物とETFに入れ替わった、という見方の裏づけになります。ETFの純資産総額はBTCで1,111億ドル、1か月前の997億ドルから増えました。

CFP・IFAとして相談を受ける立場から、ひとつ付け加えます。この局面でいちばん危ないのは、ビットコインを持つことではなく長期金利5%超の世界を前提に組み替えていないポートフォリオ全体のほうです。債券の含み損、変動金利の住宅ローン、「現金は遊ばせておくもの」という感覚。暗号資産の比率を1%動かすより、そちらの点検を先にしたほうが効く方は実際に多い。順番の話として申し上げておきます。

識者の見方:強気・弱気の両論

強気側。アナリストのAndrew Kamsky氏は、今年の10月は季節性より強いスタートだと指摘します。10月3日までで+1.40%、過去平均は-0.66%。オンチェーンでは、CryptoQuantのDarkfost氏が月間のCoin Days Destroyed平均が457へ下がった点(8月下旬は688)に注目しています。長期保有者が積極的に利益確定している形跡は薄い、という読み。ETFの累計純流入も576億ドルを超え、年初来はプラス圏に戻りました。

弱気側。8万7,000ドルの壁は繰り返し弾かれています。アナリストのNiels氏は、この価格帯に大きなロスカット集中帯があり、拒否が続けば8~10%の調整につながりうると警告。下値のめどとして7万8,000~8万ドルを挙げる声もあります。実際、金曜には4億3,357万ドルの清算が発生し、その74.2%がロング(3億2,177万ドル)。上を試して失敗した跡が数字に残っている形です。マクロでは、CoinSharesのJames Butterfill氏が、FRBが2027年までの緩和期待を取り下げたことでドルが支えられ、流動性が締まる点を指摘しています。

どちらも筋は通っています。違いは「長期金利5%超をインフレの話と読むか、割引率の話と読むか」だけ、という気もします。

今後の注目イベント・指標

  • 10月7日(水):米EIA週間石油在庫統計。原油100ドル超が一時的かどうかの手がかり
  • 10月14日(水):米9月CPI。今週の最大の関門です。上のねじれの「主因」が、ここでかなり絞られます
  • 10月27~28日(火・水):FOMC。追加利上げ確率は16~17%。声明文で長期金利にどう触れるかが焦点
  • 10月30日(金):日銀金融政策決定会合。政策金利1.25%、東京コアCPIが2.70%まで戻り再び思惑が出やすい
  • 11月3日(火):米中間選挙。上院の構成次第で市場構造法案(CLARITY法)の行方が大きく変わります
  • 2027年1月18日:米GENIUS法の施行日。ステーブルコイン発行に連邦または州のライセンスが必要になります

まとめ

今朝のビットコインは8万5,886ドル。週末としては動いていません。でも、動いていないことを「何もなかった」と読むのは、たぶん間違いです。利上げ観測が16%まで消えたのに、米長期金利は24年ぶりの高さに張り付き、原油は100ドル超、ドルは18か月ぶりの強さ。追い風と向かい風が同じ強さで吹いていて、その真ん中でBTCが8万6千ドル手前を保っている。そういう朝です。

この均衡がどちらに崩れるかは、10月14日のCPIがかなり決めると思います。インフレが思ったより落ちていれば「長期金利は財政の話だった」、落ちていなければ「中央銀行の信認の話だった」になる。前者ならBTCには厳しく、後者なら悪くない──直感と逆かもしれませんが、私はそう整理しています。外れる可能性はあります。

今週は、ポジションを動かす週というより、CPIまで持ち値と比率を確認しておく週ではないでしょうか。レバレッジが市場全体で24%抜けているのは、裏を返せば残っている人は無理をしていないということ。自分がその「無理をしていない側」にいるかどうか。それだけ今日のうちに見ておけば十分だと思います。

ビットコインの仕組みを押さえ直したい方はビットコイン(BTC)とは|仕組み・2,100万枚の上限、イーサリアムとの違いが気になる方はイーサリアム(ETH)とはをどうぞ。2028年を目指して議論が進む暗号資産の申告分離課税20%の論点も、今のうちに押さえておく価値があります。前回の朝刊は【10月2日朝】利上げ観測が急低下、BTC8万4千ドル台回復です。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の暗号資産の売買を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく元本が保証されない資産です。投資判断はご自身の資産状況とリスク許容度に照らして行ってください。

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