【10月5日夕】日経7万円回復もBTCは8万6千ドル手前、米3倍レバレッジETP承認をどう読むか

【10月5日夕】日経7万円回復もBTCは8万6千ドル手前、米3倍レバレッジETP承認をどう読むか ETF動向

「3倍のレバレッジがかかったビットコインのETFが米国で承認されたと聞いたんですが、買ったほうがいいんですか」。きょうの午後、こういう質問をいただきました。承認されたのは事実です。ただ、承認の中身と、商品の性質と、実際に買えるかどうかは全部別の話です。夕方の相場とあわせて整理しておきます。

きょうの数字(10月5日18時台・日本時間)

ビットコインは1BTC=8万5,950ドル前後。24時間で+0.85%、1週間で+4.0%、30日で+7.9%です。イーサリアムは2,716ドルで24時間+0.5%、30日で+10.5%。ETHのほうが1カ月のリターンは勝っています。暗号資産全体の時価総額は2.93兆ドル、ビットコインの占有率は59.0%でした。

為替を1ドル157円台半ばで置くと、BTCは円換算で1,350万円あたりです。

気になるのは別の数字です。ビットコインは年初来でまだマイナス3割前後。2025年に付けた12万6,000ドル台の高値からも、だいたい3割下に沈んだままです。「8万6,000ドルまで戻った」と「高値から3割下」は同じ相場を指しています。どちらを使うかで印象がまるで変わるので、両方書いておきます。

東京・アジア市場──日経平均は一時7万円を回復

日経平均株価は前日比1,637円40銭高の6万9,946円86銭で引け、取引中には一時7万円台を回復しました。半導体関連と指数寄与度の大きい数銘柄が指数を1,000円以上押し上げた、という典型的な形です。先週末の米雇用統計が弱く、早期利上げ観測が後退したことがリスク選好につながりました。

一方で重石もありました。米長期金利の高止まりと、円が157円台半ばまで戻したことです。株高と金利高の同居は、暗号資産にとってあまり居心地のいい環境ではありません。今朝の記事で触れた「政策金利観測は下がるのに長期金利は上がる」というねじれは、夕方の時点でもほどけていません。

日本の長期金利も高い水準です。新発10年国債の利回りは10月1日時点で3.095%、30年は4.175%。国内で「無リスクで3%」が成立している局面で、値動きの荒い資産にどれだけ配分するか。暗号資産の話というより、ポートフォリオ全体の設計の話です。欧州時間はドイツとユーロ圏のサービス業PMI確報(予想52.9、53.0)が中心で、サプライズの出にくい日程でした。

テーマ深掘り:3倍レバレッジ型の暗号資産ETPが承認された──これをどう読むか

米SECは10月2日、Cboe BZXの規則変更を承認しました。これによりVolatility Shares社のVS Trustが、3倍レバレッジ型の上場商品を6本、上場できる道が開きました。対象にはビットコイン3倍(ティッカー候補BITH)、イーサリアム3倍(同ETHK)、金3倍などが含まれます。

まず、誤解しやすい点を3つだけ。

ひとつ。承認されたのは「取引所の上場規則」です。証券としての登録(registration effectiveness)はまだ別の手続きで、10月5日の時点で登録の発効も売買開始日も決まっていません。目論見書の草案にも「登録が有効になるまで売却できない」と明記されています。つまり今日の時点では、買えません。

ふたつ。現物ではなく先物を使う設計です。2024年に承認された現物ビットコインETFとは、中身がまったく違います。先物ベースのため、ロールコストや期先・期近の価格差が長期のリターンに効いてきます。

みっつ。そして、ここがいちばん大事なところですが、「3倍」は1日あたりの値動きに対する3倍です。累積で3倍になるという意味ではありません。SEC自身が、日次レバレッジ商品は数週間から数カ月の単位で表示倍率から大きく乖離しうる、特にボラティリティが高い局面では、と注意喚起しています。目論見書には、長期のリターンは「大きさだけでなく符号(方向)までも異なる場合がある」とまで書かれています。

これは理屈で確認できます。ある資産が1日目に+10%、2日目に−10%動いたとします。元の資産は100→110→99で、−1%。3倍商品は100→130→91で、−9%。倍率が3倍なら損失も3倍、ではなく、往復でえぐれ方が加速する。この性質をボラティリティ・ディケイ(減価)と呼びます。横ばいでレンジを行き来する相場がいちばん効きます。

では完全に無価値な商品なのか。そうは思いません。1日〜数日の方向に賭ける短期トレーダーにとっては、証拠金を自分で管理するより資金効率がよく、追証や強制ロスカットの事務から解放される面があります。期待していた層には歓迎される話でしょう。

ただ、相談を受ける立場から言うと、日次レバレッジ商品を「長期保有して値上がりを待つ」用途に使うのは設計と合っていません。ここは断定します。積立に組み込むのも噛み合いません。使う前に「何日持つつもりなのか」を自分に確認してほしい、という話になります。答えが「わからない」なら、おそらく向いていない商品です。

制度の方向性としての評価は、正直、割れるところだと思います。選択肢が増えるのは市場の成熟の一面でもあり、同時に、仕組みを理解しないまま個人が買える導線が増えるという意味にもなる。SECは「上場規則の要件を満たしている」と判断しただけで、すべての投資家に適した商品だとは言っていません。ブローカーが個人顧客に推奨する場合はレギュレーションBI(最善の利益規則)が引き続きかかります。なお、この承認に対する相場の反応はほとんどありませんでした。

資金フローは「静かな3週連続流入」

先週の米国の現物ビットコインETFは2億4,110万ドルの純流入で、3週連続のプラス。累計の純流入は578億ドルです。ただ前の週が24億ドルだったので、勢いは明らかに落ちています。年初来では約12億ドルにとどまり、「1年で見れば細い」というのが実像です。

イーサリアムのETFは1億3,800万ドルの純流出で、前週の6億9,000万ドル流入から反転しました。ジーキャッシュのファンドは記録上初の週間流出(約9,400万ドル)。ソラナとXRPは小幅ながら流入が続いています。資金は入っているけれど、入る先が週ごとに入れ替わっている状態です。

派生市場では建玉が3,662億ドルで24時間+2.5%。平均ファンディングレートは+0.0052%とプラス圏ですが、水準は低いままで、過熱というには遠い。センチメント指標のFear & Greedは68で「強欲」ですが、前日70、1週間前70、1カ月前76とじわじわ下がっています。価格が戻っているのに体温が上がらない。この乖離をどう読むかは人によるでしょう。

今夜と今週の注目点

今夜23時(日本時間)に米国の9月ISM非製造業景気指数。市場予想は55.0です。22時45分には9月サービス業PMI確報(予想58.7)。雇用統計が弱かった直後なので、サービス業の体温が下がっていないかが見られます。

週の本番は8日午前3時のFOMC議事録です。9月15〜16日会合の分で、この会合では0.25%の利上げが決まりました。「今後も上げるつもりがどれだけあるか」が読み取られます。同じ水曜には米10年債入札もあり、5%台の長期金利がさらに押し上げられるかの試金石になります。

利上げ確率の見方には幅があります。CMEのFedWatchをもとにした報道では10月の追加利上げ確率は18%、別の集計では25%弱。1週間前は70%でした。この振れ幅自体が、市場が指標ひとつで見方を変える状態にあることを示しています。12月の利上げは依然メインシナリオとして残っています。国内では6日15時35分に日銀の植田総裁が全国証券大会で挨拶し、同日に10年国債入札。きょうは臨時国会が召集されました。

原油も見ておく必要があります。G7は10月2日、原油とディーゼル燃料の緊急備蓄を4カ月で最大1億バレル放出することで合意しました。米国はディーゼル輸出禁止の方針も撤回。WTIは下げましたが、ブレントは102ドル台を維持しています。今朝書いたインフレ期待の経路は、まだ切れていません。

テクニカルの節目

2026年の年初値である8万7,570ドルが、いま最大の抵抗線になっています。先週の終値は8万6,532ドル(Bitstamp)で、1月下旬以来いちばん高い週足の終値でした。ただ9月21日以降、年初値の奪回に4回挑んで4回とも跳ね返されています。

サポートは8万2,500ドル前後、抵抗は8万6,700ドル前後と見るトレーダーもいます。下を割れば6万〜8万ドルのレンジに戻るリスク、上を明確に抜ければ9万3,700ドルあたりまで、という整理です。50日・100日・200日の移動平均線が収束しており、2025年以来はじめて完全な強気配列になりかけている、との指摘もあります。

いっぽうで気になる材料も。大口アドレスのショート/ロング比率はビットコインで0.62倍、イーサリアムで0.65倍と、大口はむしろ売り方に傾いています。地域別の需要も9月初旬以降で欧州が4%増、米国が3%減と分かれ、コインベース・プレミアム指数はわずかにマイナス圏。米国の買いが弱いまま欧州が買い上げている構図です。この手の構造は意外に長く続くこともあれば、あっさり崩れることもある。正直、どちらになるかはわかりません。

相談の現場から

10月は過去13年で10回上昇していて、平均の上昇率も高い月です。この数字はよく引用されます。ただ13回のサンプルで平均を語るのは、統計としてはかなり心もとない。そして今年のビットコインは年初来マイナス3割です。アノマリーと現実の距離は、いまかなり開いています。

レバレッジ商品の承認、ETFへの資金流入、移動平均線の強気配列。前向きな材料は並べられます。同時に、長期金利5%台、大口のショート偏重、米国の買いの弱さ、センチメントのじり下げ。並べる材料を変えれば絵は逆になる。

だから結論は毎回同じで、面白くない話になります。配分を先に決めて、価格ではなく自分の家計で判断する。ビットコインの仕組みやイーサリアムの位置づけをひととおり理解して、取引所のコスト構造を比べて、税制がどう変わる見込みかも頭に入れておく。そのうえで、なくなっても生活が壊れない金額に収める。3倍レバレッジの商品が増えても、この順番は変わりません。

情報の出典(2026年10月5日確認)

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産・金融商品の購入や売却を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本が保証されている商品ではありません。預金保険制度の対象外であり、取引所の破綻などにより資産を失う可能性もあります。日次レバレッジ型商品については、表示倍率が1日単位のものであり、長期保有時のリターンが表示倍率と大きく乖離する(方向すら逆になる)性質があることに十分ご留意ください。

記事中の価格・利回り・指標は執筆時点の数値です。制度・税制・商品内容は変更される場合があるため、最終的な情報は金融庁・国税庁および各社の公式サイトでご確認ください。個別の税務判断については税理士にご相談ください。

執筆:あきFP(CFP®認定者・IFA)

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