上半期最終日の朝を迎えた暗号資産市場は、ビットコイン(BTC)が5万9,000ドル台で重い値動きを続け、1〜6月を記録的な不振で締めくくる公算が大きい。前夜の米国市場では、中東情勢の緊張緩和を受けて株価が持ち直す一方、暗号資産には資金が戻らず、米現物ビットコインETFは6月として「ローンチ以来最悪の月」を確定させた。そして明日7月1日、欧州連合(EU)の包括的な暗号資産規制「MiCA」の移行期間がついに終了し、域内のルールが一変する。本稿(朝刊)では、前夜の米国市場とETFフロー、迫るMiCA全面適用、国内で進む業界再編、そして上半期の総括と週後半の米雇用統計までを整理する。
主要マーケット動向:BTCは5万9,000ドル台で膠着、上半期は連敗で終える見通し
ビットコインは前夜の米国市場でも6万ドルの大台を回復できず、5万9,000ドル台で膠着した。米経済メディアFortuneによると、2026年6月29日(月)の取引でBTCは1BTC=5万9,496.48ドルで寄り付き、午前9時(米東部時間)時点では5万9,860.62ドル前後で推移した(Fortune)。Yahoo Financeも同日のBTCを5万9,800ドル前後、前日(日曜)比0.7%安と伝えており、複数のソースが5万9,000ドル台での推移を確認している(Yahoo Finance)。CoinDeskは「中東(イラン)情勢の緊張緩和で株式は上昇したが、暗号資産には波及せず、BTCは5万9,700ドルへ下落した」と報じた(CoinDesk)。1ドル=約161円で換算するとおよそ963万円にあたり、心理的節目の1,000万円は引き続き下回っている。
イーサリアム(ETH)も弱含みで、同日は1ETH=1,569.67ドルで寄り付き、午前には1,572.89ドル前後で推移した(Yahoo Finance)。市場心理を示す「Crypto Fear & Greed Index(恐怖・強欲指数)」は週末時点で15前後と、「極度の恐怖(Extreme Fear)」の領域に沈んだままだ。株式が中東リスクの後退で買い戻される一方、暗号資産だけが取り残される構図が鮮明だ。
6月29日が四半期末・上半期末にあたる点も見逃せない。BTCは4〜6月期(第2四半期)を下落で終える見通しで、1〜3月期に続く2四半期連続のマイナス、すなわち上半期連敗となる公算が大きい。薄商いのなか四半期末のリバランス売りも重なり、上値の重い展開が続く(CoinDesk)。
重要ヘッドライン
米ビットコインETF、6月は「過去最悪の月」――純流出は約40億6,000万ドル
6月相場を一貫して圧迫してきた米現物ビットコインETFの資金流出は、月間ベースで歴史的な規模に達した。Bloombergによると、米上場の現物ビットコインETFの6月の純流出は約40億6,000万ドルに上り、2024年1月のローンチ以来最悪の月となった。これは2025年2月に記録した従来の最大記録(約35億6,000万ドル)を上回る(Bloomberg、Crypto Briefing)。流出を主導したのはブラックロックのIBIT(iシェアーズ・ビットコイン・トラスト)で、6月だけで約30億ドルを占めた。6月26日には単日で4億4,450万ドルの資金が流出し、ローンチ以来最大の1日となった(Farside Investors)。Farsideのデータでは6月24日が4億6,900万ドル、25日が6億9,170万ドルの純流出と、月末にかけて流出が加速した。もっとも、ローンチ以来の累計では約516億ドルの純流入を維持しており、長期マネーが一斉に逃げ出したわけではない点は押さえておきたい。
明日7月1日、EUのMiCA移行期間が終了――域内ルールが一変
欧州連合(EU)の包括的な暗号資産規制「MiCA(暗号資産市場規則)」の移行期間が、明日7月1日に終了する。これ以降、MiCAの認可(ライセンス)を得ずにEU域内の顧客へ暗号資産サービスを提供する事業者は、EU法違反となり、サービス提供を停止しなければならない(CoinDesk、crypto.news)。MiCA以前は1,200社超が各国の登録制度のもとで活動していたが、2026年6月下旬時点でMiCAの認可を得たのは約230社にとどまり、約8割が淘汰された計算になる。世界最大手バイナンスはギリシャでのライセンス申請を取り下げてEU域内で一部サービスを停止し、コインベースやOKXが利用者の取り込みを狙う構図は前日朝刊で詳報したとおりだ。明日はその「期限」当日にあたり、欧州の暗号資産事業は大きな節目を迎える。
国内:SBIがbitbank買収で国内最大手へ、業界再編が加速
国内では、SBIホールディングスが暗号資産交換業者bitbank(ビットバンク)を完全子会社化する大型再編が動き出した。SBIは6月24日、bitbankの全株式を約467億円(約2億8,860万ドル)で取得することで合意したと公表。投資子会社SBICAH GKを通じて取得し、既存のSBI VCトレードと統合する(CoinDesk、Bitcoin Magazine)。統合後の口座数は約292万、預かり資産は約1.1兆円(約68億ドル)規模となり、取引高でbitFlyerやコインチェックを上回って国内最大級の規制対応事業者になる見通しだ。背景には、6月11日に衆院を通過した金融商品取引法(金商法)改正による規制強化がある。調査会社Architect Partnersは「登録業者の約9割が赤字で、27社の登録業者のうち最大で半数が消える可能性がある」と指摘し、コンプライアンス負担の増大が再編を加速させると分析している。
BIS、ステーブルコインに警鐘――「通貨というよりETFに近い」
国際決済銀行(BIS)は6月29日、ステーブルコインについて「実際の通貨というよりETF(上場投資信託)に近く、為替(FX)リスクを生んでいる」と警鐘を鳴らした(CoinDesk)。ステーブルコインは法定通貨に連動するよう設計された暗号資産だが、裏付け資産の運用や償還の仕組みは投資ファンドに近く、通貨としての「単一性(どの発行体のものでも等価で受け取れる性質)」を欠くというのがBISの問題意識だ。MiCA全面適用や米国の規制整備が進むなか、中央銀行の総本山が改めて慎重姿勢を示した形だ。
テーマ深堀り:記録ずくめの「上半期」――ビットコイン、歴史的な不振の半年
上半期最終日の朝刊で振り返っておきたいのが、2026年1〜6月のビットコインの歩みだ。結論から言えば、今年の上半期は歴史的な不振の半年だった。年初におよそ8万ドル超で始まったBTCは、2月に2割超の急落を演じ、4月にいったん戻りを試したものの上値が重く、6月に再び崩れて5万8,000ドル台まで下落した。年初来の下落率はおよそ3割に達し、これは2022年に次ぐ「過去2番目に悪い上半期」とされる(Yahoo Finance/Decrypt)。
不振の背景には複数の逆風が重なった。第一に、米現物ビットコインETFからの記録的な資金流出。第二に、米連邦準備制度(FRB)が政策金利を据え置き、利下げ観測が後退したことで、金利を生まないビットコインの相対的な魅力が低下した。第三に、限られたリスクマネーがAI(人工知能)関連株へ流れる「資金シフト」だ。韓国が約5,180億ドル規模のAI半導体投資計画を打ち出すなど世界の成長マネーはAIインフラへ向かっており、暗号資産は「リスク資本の獲得競争で劣勢にある」との指摘もある(CoinDesk)。加えて、中東(米・イラン)情勢の地政学リスクもリスク回避を促した。
重要なのは、これらの逆風の多くが「暗号資産固有の問題」ではなく、株式を含む広いリスク資産サイクルやマクロ環境と連動している点だ。裏を返せば、金利の先行きやAI相場、地政学リスクが変われば、資金がビットコインへ還流する余地もある。下半期初日のユーロ圏インフレ率や週後半の米雇用統計は、その転換点を探る最初の試金石になる。
識者の見方:「底入れ」か「下値模索の継続」か
相場の見方は強気・弱気で大きく割れている。強気派では、ビットコイン推進派として知られるサムソン・モウ氏が「ビットコインの底は入った」との見方を示した。同氏は、悲観が極まった現在の水準こそ反転の起点になり得ると主張する(CoinDesk)。米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)のマイケル・セイラー会長も、株価が下落するなかでなお追加のビットコイン購入を示唆しており、長期保有勢の強気姿勢は崩れていない(CoinDesk)。
一方で慎重派は、記録的なETF流出、ストラテジーによる一部売却観測、そしてAI株への資金流出という構造要因が解消していない点を重視する。CoinDeskも、モウ氏の「底入れ」発言に対して「アナリストの見方は依然として割れている」と伝えており、楽観論が市場のコンセンサスになったわけではない(CoinDesk)。底入れを確認するには、ETFフローの反転や明確な需要の回復といった「数字の裏付け」が必要だというのが、慎重派の立場だ。
今後の注目イベント・指標
下半期入りの今週は、マクロ指標が立て込む。米東部時間6月30日には米JOLTS求人件数(5月、予想728万件)、7月1日にはユーロ圏インフレ率(6月速報、予想3.0%)、米ADP雇用統計(6月、予想11.8万人)、米ISM製造業景況指数(6月、予想53.7)が発表され、同日FRBのウォーシュ議長がECBフォーラムで講演する。最大の山場は7月2日の米雇用統計(6月)で、非農業部門雇用者数は予想11.4万人(前月17.2万人)、失業率は4.3%が見込まれている。雇用が市場予想を下回れば利下げ観測が強まり、リスク資産の支援材料になり得る。このほか7月1日はMiCA全面適用に加え、ロビンフッドの新製品発表会、7月2日にはトークン化企業セキュリタイズのNYSE上場も予定されている(CoinDesk)。
まとめ
上半期最終日の朝、ビットコインは5万9,000ドル台で重く、年初来でおよそ3割安という記録的な不振で上半期を終えようとしている。米ETFは6月として過去最悪の資金流出を記録し、株式が中東リスクの後退で戻すなかでも暗号資産だけが取り残された。明日はMiCAが全面適用され、国内ではSBIによる業界再編が動き出すなど、規制と再編が市場の構図を塗り替えつつある。下半期の初日に向け、ユーロ圏インフレ率と週後半の米雇用統計が最初の手掛かりとなる。
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免責事項:本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。記載した価格・数値は本文中に明記した時点のものであり、その後変動します。



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