【10月12日夕】東京休場でBTC8万3千ドル台に膠着、韓国株-3.65%|金融庁がICチップ本人確認への前倒しを要請

マーケット速報

祝日の相場というのは、だいたい退屈です。今日もそうでした。東京はスポーツの日で休場、米国も債券市場がコロンバスデーで閉まっている。動かす人がいないので動かない。ビットコインは8万3,000ドル台で、朝からほとんど同じ場所に立っています。

ただ、こういう日に相談を受けると質問の質が少し変わります。値動きの話ではなく「結局これ、何を待っているんですか」という聞き方になる。今週は答えがはっきりしていて、14日の米CPIです。それまで誰も大きく動けない。今日の膠着はそういう膠着でした。

今日の相場:BTCは8万3,457ドル、ETHが小幅に巻き返す

日本時間10月12日18時台のCoinMarketCapのデータでは、ビットコインは8万3,457ドル。24時間で+0.60%、ただし1週間では-2.90%です。円換算だとドル円158円台前半で約1,322万円あたり。イーサリアムは2,556ドルで24時間+2.24%、1週間では-5.91%と、こちらのほうが傷が深い。

暗号資産の時価総額合計は2.83兆ドルで、24時間+0.85%、1週間で-3.86%。ビットコインドミナンスは59.35%と、前週の59.15%からわずかに上がっています。アルトコインシーズン指数は64で、過去1年の最高値圏。この2つは普通なら逆方向に動くので、やや珍しい並びです。

Fear & Greed指数は57の「中立」。前週は67、前月は68でしたから、10月に入って一段ずつ冷えています。極端な恐怖ではない。ただ、9月までの熱はもうありません。

気になるのはデリバティブです。建玉(オープンインタレスト)が4,026億ドルで、1週間で+10.9%。価格は同じ期間に-2.90%ですから、値段が下がっているのにポジションは増えている。資金調達率の平均は+0.0036%とごくわずかなプラスなので、偏りが極端というわけではありませんが、CPIを前に両建てのレバレッジが積み上がっている絵には見えます。24時間のビットコイン清算額は4,092万ドルで、前日比+868%。金額自体は小さいものの、増え方は急です。

アジア・欧州市場:韓国株が-3.65%、東京は休場

東京が休みだったぶん、アジアの主役は韓国でした。KOSPIは6,384.24で-3.65%(-241.69ポイント)。ハイテク株の売りと、中東発の原油・インフレ懸念が重なったと報じられています。外国人投資家の売り越しが続いているという指摘もありました。

ほかは方向感がまちまちで、上海総合3,797.24(-0.43%)、香港ハンセン24,271.20(+0.25%)、台湾加権49,301.96(ほぼ横ばい)、豪ASX200は8,783.17(+0.76%)、インドSENSEX 71,854.94(-0.85%)。週末に中東の地政学リスクが意識されたぶん、金曜の米株高を素直に引き継げなかった、という整理がいちばん実態に近いと思います。

ドル円は158.40前後、一時158.48まで。円安が続いているので、ドル建てが横ばいでも円建ては下がりにくい。逆に、円高に振れたときの円建ての下落幅は大きくなります。10月9日夕の記事でも触れましたが、円建てで見ている人は為替とコインの二重のリスクを持っている、という前提は忘れないほうがいい。

今夜の米国市場:債券は休場、焦点は14日のCPI

今夜はコロンバスデーで米債券市場が休場、株式は通常取引です。金利の値付けがない日は暗号資産も手がかりを失いがちで、薄商いのなかで上下に振れても、方向を示すサインとしては信用しないほうがいいでしょう。

本番は14日22時30分(日本時間)の9月CPIです。CoinDeskがまとめた市場予想では、総合が前月比+0.6%(前回+0.4%)、前年比+3.6%(前回+3.4%)。コアは前月比+0.2%(前回+0.3%)、前年比+2.5%(前回+2.4%)となっています。総合の加速はほぼエネルギー由来で、コアは落ち着いている、という形の予想です。

前提を押さえておくと、FRBは9月16日のFOMCで政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%にしました。採決は12対0の全会一致で、声明は「インフレは高止まりしている」「委員会は物価の安定を実現する」と書いています。利下げ局面ではなく、利上げを一度やった直後です。米10年債利回りは10月9日時点で5.24%、10月8日には一時5.35%と24年ぶりの水準をつけました。

背景にあるのは原油です。ホルムズ海峡の混乱が長引き、WTIは90ドル台、ブレントは100ドル超。HSBCはこの海峡を「構造的に損傷した」と表現しています。エネルギー起点のインフレは中央銀行がいちばん扱いにくい種類のもので、だから金利が下がらない。暗号資産にとっては、この構図が一番の重石です。

週後半には15日のPPIと小売売上、同日23時30分にウォーシュ議長とIMFゲオルギエワ専務理事の対談。27〜28日にはFOMC。今週の数字がそこへの見方を決めます。

テーマ深掘り:金融庁が「ICチップ読み取りへの前倒し」を要請──2027年4月に画像提出は廃止

東京が休場の日なので、相場以外の論点をひとつ掘ります。相談の現場でこれから確実に増える話です。

金融庁は10月9日、「現下の情勢を踏まえたサイバーセキュリティ対策の強化と各種取引申込等における対応について」を公表しました。暗号資産交換業者を含む金融機関への要請で、中身は3点。外部委託先の管理やインシデント対応を含めた対策の点検、非対面の本人確認で提出された書類画像・顔画像に不自然な点がないかの再確認、そして本人確認を「書類画像の送信」から「ICチップの読み取り」へ法令の期限を待たずに早期移行すること、です。

この「法令の期限」というのが2027年4月1日です。犯罪収益移転防止法の施行規則改正により、運転免許証などの画像を送る方式(いわゆるeKYCのホ方式・ヘ方式)は、その日に使えなくなります。携帯電話契約では2026年4月1日に先行して廃止されていて、金融分野が1年遅れで続く形です。

理由として挙げられているのは、インターネットに接した顧客向けサービスや内部システムへの不正アクセスで、本人確認書類の画像を含む顧客情報が流出する事案が相次いだことです。画像は、流出すれば他人が別の口座を開く材料になります。ICチップの読み取りならカードの実物と暗証番号が必要なので、画像の使い回しが効かない。発想としてはそういうことです。

読者にとっての実務的な意味は3つあります。

ひとつ目。これから新しく口座を開くなら、マイナンバーカードを用意しておいたほうが手続きが速い可能性が高い。ある調査では、国内主要9社のうち8社が10月上旬時点でまだ書類画像の提出を受け付けていましたが、2027年4月までに順次止まります。前倒しの要請が出ているので、各社の対応はこれから加速するはずです。

ふたつ目。すでに口座を持っている人の既存口座が無効になる話ではありません。対象は新規の本人確認です。ただ、住所変更や再認証のタイミングでICチップ読み取りを求められることは増えるでしょう。マイナンバーカードの電子証明書の有効期限(発行から5回目の誕生日)が切れていると、そこで詰まります。期限切れに気づいていない人は、正直かなり多い。

三つ目。この要請は、先週の正規販売ルートのハードウェアウォレットに通信チップが仕込まれていた事案──約147億円が流出したとされる件──とは別物ですが、向いている方向は同じです。暗号資産で損失が出る経路は、相場よりも手続きと保管のほうが多い。CFP認定者として相談を受けていていちばん実感するのはそこで、値動きの相談で来た人の話を聞くと、本当に危ないのは二段階認証をSMSのままにしていることだったりします。制度対応は退屈ですが、価格は戻ることがあっても、流出した身元情報は戻りません。

ETFフローとチャート:機関の買いが止まっている

構造面の補足です。10月5〜9日の米国現物ETFは、ビットコインが6億7,890万ドル、イーサリアムが5億4,220万ドルの流出で、合計12億2,110万ドルが抜けました。ビットコインETFは3週続いた週間流入が途切れ、イーサリアムETFは9日まで9営業日連続の流出。運用資産残高はビットコイン1,088.7億ドル(前週1,111億ドル)、イーサリアム146億ドルです。企業側でも、Strategyの10月1〜4日の購入は334BTC・2,870万ドルにとどまりました(保有84万8,000BTC、平均取得7万5,440.70ドル)。買い続けてはいるけれど、ペースは明らかに落ちている。

チャート面では、CryptoQuant寄稿者のDarkfost氏が、取得価格帯(保有者が買った価格の分布)の最大の集積が8万4,000〜8万5,000ドルにあると指摘しています。8万3,000ドルの位置では、投下資本の53%がそれより上の価格で入っている計算になるそうです。取得価格帯の集積は「やれやれ売り」が出やすい場所なので、抜けるには出来高が必要になります。下は7万7,000〜7万9,000ドルが支持帯として挙げられていました。

強気と弱気、両方の言い分

強気側の論拠。価格は30日で+7.94%とプラス圏を保っている。Fear & Greedは中立まで下がっただけで、投げ売りの水準ではない。コアCPIの予想は前月比+0.2%と減速方向で、ここが予想を下回れば金利が緩む。アルトコインシーズン指数が64まで上がっているのも、資金が完全に逃げていない証拠だと読めます。

弱気側の論拠。1週間で-2.90%、昨年10月6日の最高値12万6,080ドルからは約34%下。ETFからは週に12億ドル抜け、企業の買いも鈍っている。政策金利は上がったばかりで、長期金利は24年ぶりの高さ。無リスクで5%取れる環境で無利息の資産を持つ理由を説明するのは、年々難しくなっています。原油が下がらない限り、この前提は変わりません。

どちらが正しいか、正直わかりません。言えるのは、今の相場は「暗号資産固有の材料」ではなく「金利と原油」で動いているということです。14日のCPIが予想を上回れば金利が上がって重くなり、下回れば息をつく。それだけの話に見えます。

CFP・IFAとして見ている点

相談で最近いちばん多い質問は、「今のうちに買い増したほうがいいか」ではなく「持ち続けていいのか」です。3週連続で下げたあとは、だいたいこの質問に変わります。

私が確認するのは3つだけです。全資産に対する暗号資産の比率が当初決めた範囲に収まっているか。この先1年に使う予定のお金が入っていないか。税制の扱いを前提に、含み益・含み損の状態を把握できているか。この3つが大丈夫なら、CPIの予想を当てる必要はありません。当てられる人を私は知りません。

逆に、比率が膨らんでいる人やレバレッジを使っている人は、CPIの前に整理しておく価値があります。建玉が1週間で10.9%増えている相場で、数字が外れたときに動く幅は小さくないからです。仕組みの整理はビットコインの基礎解説、先週の流れは10月10日の週間まとめに書いています。

今夜は材料が乏しい日です。薄商いの値動きに意味を読み込みすぎないほうがいい、というのが今日の結論になります。

情報の出典(2026年10月12日確認)

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産・金融商品の取得や売却を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本が保証された商品ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。記載した価格・指標・制度の内容は執筆時点(2026年10月12日)の情報に基づくもので、その後変更される場合があります。最新の情報は金融庁、国税庁および各社の公式サイトでご確認ください。また、個別の税務判断については税理士にご相談ください。

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