週明けの暗号資産市場は、ビットコイン(BTC)が6万5,000ドル台を回復し、底堅さを増した。週末に伝わった米国とイランの和平合意が6月19日にスイスで正式署名へと進む見通しとなり、ホルムズ海峡の再開で原油が急落。インフレ懸念の後退がリスク資産への資金回帰を促した。アジア時間の取引では主要アルトコインも上昇し、本日稼働したXRPレジャーの大型アップグレードや、日本の3メガバンクによる共同ステーブルコイン構想など、需給・制度の両面で前向きな材料が重なった。本稿(夕刊)では、日中の値動きと国内の動き、そして16〜17日のFOMCを控えた夜間の見どころを整理する。
主要マーケット動向:BTCは6.5万ドル台、リスク選好が回復
ビットコインは6月15日午前6時台(日本時間)時点で約6万5,550ドルで取引され、過去24時間で上昇した(Analytics Insight)。アジア時間の値動きを伝えたFXStreetも同日朝にBTCが約6万5,600ドルと報じており、両ソースはおおむね一致する(FXStreet)。6月上旬に地政学的緊張のピークで付けた約5万9,130ドルの安値からは、約10%の戻りとなった。朝刊で伝えた6万4,000ドル台からさらに水準を切り上げた格好だ。
イーサリアム(ETH)は約1,717ドルで推移し、こちらも24時間で小幅上昇した(Analytics Insight)。アルトコインはリスク選好の回復を映して上昇が目立ち、ハイパーリキッド(HYPE)が約7.5%高、ソラナ(SOL)が約3.6%高で70ドル台を回復、XRPも約3.2%高となった(Analytics Insight)。FOMCを前にステーブルコインに退避していた資金が、主要銘柄へ戻り始めている兆しも指摘されている。ただし日足・週足では依然として主要移動平均線を下回っており、テクニカル上は戻り局面との見方が引き続き強い。
重要ヘッドライン
① 米イラン和平、6月19日にスイスで正式署名へ
週末に大枠合意した米国とイランの和平について、正式な署名式が6月19日にスイスで行われる見通しとなった。両者は電子的に署名する見込みで、ホルムズ海峡は今後30日以内にイランの監督下で再開されるとされる(Al Jazeera、NBC News)。トランプ大統領は6月14日にホルムズ海峡の無料通航の再開を認可。これを受けてWTI原油は約3.2%下落して1バレル84.88ドル、ブレントも約3.4%安となった(Analytics Insight)。原油安はインフレ圧力を和らげ、暗号資産を含むリスク資産には追い風となる。19日の署名が滞りなく進むかが、当面の相場の持続力を左右する。
② XRPレジャー「3.2.0」、本日稼働——メモリ使用を最大40%削減
XRPレジャー(XRPL)の大型アップグレード「バージョン3.2.0」が、本日6月15日にメインネットで有効化された。中核サーバーソフトの名称を「rippled」から「xrpld」へ改称するとともに、ノードのメモリ使用量を30〜40%削減し、運用コストと参加のハードルを下げる内容だ(Coingape、Coinspeaker)。バリデータやノード運用者は新版への更新が必要となる。米国の現物XRP・ETFは6月12日までに6週連続の資金流入を記録しており、BTC・ETHのETFが流出基調にあるのとは対照的だ(Analytics Insight)。
③ 現物ビットコインETF、5日ぶり純流入で下げ止まり
朝刊でも触れた通り、米国の現物ビットコインETFは6月13日に8,590万ドルの純流入を記録し、5営業日続いた流出に歯止めをかけた。ブラックロックのIBITが5,800万ドル、フィデリティのFBTCが4,200万ドルを集めた(Analytics Insight)。直近では13営業日で累計約44億ドルが流出し、現物ETF上場以来で最大級の解約局面となっていた。運用資産残高は流出開始時の約1,043億ドルから約804億ドルへ縮小しており、1日の流入で構造が反転したと判断するのは早計だが、機関投資家の需要が正常化に向かう兆しと受け止められている。
テーマ深堀り:3メガバンク、円建てステーブルコイン共同発行へ
国内で注目を集めるのが、3メガバンクによる共同ステーブルコイン構想だ。三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行は、2026年度末(2027年3月)までに共同でステーブルコインを発行する方針で、運用枠組みを検討する協議会を設けたと報じられている(Decrypt、CoinMarketCap)。
報道によれば、3行が共同委託者となる信託の枠組みで発行し、信託銀行などが受託者を務める形が想定される。当初は円にペッグし、年内に米ドル版が続く見通しだ。基盤には三菱UFJとNTTデータが開発した分散型台帳プラットフォーム「Progmat(プログマ)」を用いるとされる(Decrypt、CoinMarketCap)。この構想は、金融庁の監督下で2025年11月に始まった実証実験「Project Pax」を土台としており、コンソーシアムは2028年までに企業間(B2B)のステーブルコイン取引で1兆円規模を目指すという。
日本では2023年施行の改正資金決済法でステーブルコインの発行枠組みが整い、銀行・信託・資金移動業者による発行が制度上可能になっている。今回の構想は、その制度を大手銀行が本格活用する動きとして位置づけられる。決済・送金コストの削減や、企業間決済の効率化が期待される一方、既存の銀行送金網との棲み分けや、利用者保護・マネーロンダリング対策の運用設計が今後の論点となる。先に参議院を通過した暗号資産の金商法移管とあわせ、日本の制度整備は決済・投資の両面で着実に前進している。
識者の見方:強気・弱気の綱引き
強気派は、米イラン和平による原油安とインフレ圧力の後退、ETF資金流入の復調を評価する。あるアナリストは、買い圧力が続き19日の署名が順調に進めば、BTCは7万ドル台をうかがう展開もあり得ると指摘する(Analytics Insight)。一方、慎重派は今回の上昇を「本格反転ではなく、リスク回避の巻き戻しによる戻り」と見る。6万5,800〜6万6,200ドルの抵抗帯を明確に上抜けられるかが目先の試金石で、6万4,200ドルを割り込めば6万3,000ドル台への押し戻しもあり得るとの見立てだ(Analytics Insight)。和平とFOMCという二大イベントの結果待ちで、上下双方のシナリオに備える姿勢が求められる。
今後の注目イベント・指標
最大の焦点は16〜17日のFOMC(結果は日本時間18日未明)で、ケビン・ウォーシュ新議長にとって初の政策決定会合となる。金利の据え置きはほぼ織り込み済みで、論点は会見でのインフレ認識とドットチャート(金利見通し)だ。市場では2026年中に少なくとも1回の利上げを織り込む見方も浮上しており(CryptoNews)、タカ派的なトーンが出れば相場の重しとなりかねない。あわせて19日の米イラン署名式、現物ETFの日次資金フロー(Farside Investors等)、国内の金商法改正の施行準備を引き続き注視したい。
まとめ
夕方のBTCは6万5,000ドル台を回復し、米イラン和平の正式署名(19日)に向けた原油安とリスク選好の改善が相場を支えた。本日はXRPレジャーの大型アップグレードが稼働し、国内では3メガバンクの共同ステーブルコイン構想が決済インフラの将来像として注目を集める。もっとも、16〜17日のFOMCを控え、ウォーシュ新議長のインフレ認識次第では神経質な値動きも想定される。週前半の二大イベントを冷静に見極めたい。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



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