週末の暗号資産市場は、安値圏でかろうじて下げ止まった。ビットコイン(BTC)は6万ドル前後での神経質な攻防が続き、6月としては記録的な軟調月となっている。前夜の米国市場では現物ETFからの資金流出が一服しつつあるものの、インフレ再燃と利下げ期待の後退という重荷は解消していない。市場心理を示す指標は依然「極度の恐怖」に沈む。本稿(朝刊)では、週末の海外市場とセンチメント、米住宅ローンでの暗号資産活用という新たな潮流、そして週明けに控える米雇用統計やCLARITY法の行方を整理する。
主要マーケット動向:BTCは6万ドル割れの攻防、6月は18%超の下落
ビットコインは2026年6月26日(金)の米国市場で軟調に推移した。米Yahoo Financeによると、26日のニューヨーク時間の寄り付きは1BTC=5万9,706.75ドルと前日始値比2.1%安で始まり、午前8時15分(米東部時間、ET)には5万9,379.60ドルへ水準を切り下げた(Yahoo Finance)。1ドル=約161.8円で換算するとおよそ960万円台にあたり、心理的節目の1,000万円は引き続き下回っている。週末(27日〜28日)は取引参加者が減って商いが薄くなりやすく、6万ドルを挟んだ膠着が続いた。
イーサリアム(ETH)も同様に弱く、26日の寄り付きは1,564.86ドルで、午前8時15分には1,543.32ドルまで下落した(Yahoo Finance)。
月間の下落幅は大きい。同社集計では、BTCは6月1日からの約4週間で18.8%安、ETHは21.9%安と、6月は暗号資産にとって厳しい1カ月となった。市場心理も冷え込んだままで、Alternative.meなどが算出する「Crypto Fear & Greed Index(恐怖・強欲指数)」は6月26日時点で16と、ゼロに近い「極度の恐怖(Extreme Fear)」の領域にある(Alternative.me、BTCC)。
重要ヘッドライン
現物ETFの資金流出に一服感、ピーク比で大幅縮小
6月の相場を最も重く圧迫してきた米現物ビットコインETFの資金流出に、鈍化の兆しが出ている。Farside Investorsのデータを基にした各種集計によると、週次の純流出額は6月初旬にピークの約17億2,000万ドルに達した後、足元では約2億2,600万ドル前後まで、ピーク比で約87%縮小した(Investing.com、BeInCrypto)。6月の累計では一時4週連続の流出で50億ドルを超えたが、流出のペースそのものは和らいでおり、市場では「投げ売りの最悪期は過ぎたのか」を見極める局面に入りつつある。ただし流入超への転換が定着したわけではなく、月初のフロー動向が引き続き試金石となる。
米CLARITY法、上院通過のタイムリミットが接近
暗号資産の規制区分を明確化する米「CLARITY法案」は、上院本会議での審議入りが可能な状態にあるが、可決の見通しは不透明感を増している。Galaxy Researchのアレックス・ソーン氏は2026年内成立の確率を従来の75%から60%へ引き下げ、足元ではほぼ「五分五分」との見方を示す。予測市場Polymarketでも年内成立は48%前後で取引されている(CCN)。Stifelのアナリストは「2026年内に成立させるには、7月末まで、できれば6月中に上院を通過させる必要がある」と指摘しており、夏季休会前のスケジュールが焦点となる。同法案はデジタル商品の現物市場をCFTCの管轄とし、SECとの線引きを定めるもので、米国の制度整備の試金石と位置づけられている。
米住宅ローンで暗号資産を「資産」に、初の事例も
米国では、暗号資産を住宅ローン審査の資産として認める動きが具体化している。連邦住宅金融局(FHFA)のパルト局長は、政府系住宅金融機関のファニーメイとフレディマックに対し、米規制下の取引所で保有する暗号資産を、ドルへ換金せずとも準備金・資産として住宅ローン審査で考慮するよう求める方針を打ち出した(Fox Business、National Mortgage Professional)。実際に住宅ローン会社BetterとCoinbaseは、ファニーメイが裏付ける初の暗号資産担保型の伝統的住宅ローンを組成したと報じられている(Yahoo Finance)。価格下落局面でも、暗号資産を金融システムへ組み込む制度面の動きは着実に進んでいる。
日本:金融庁、金商法移行とETF制度の検討続く
国内では、金融庁が暗号資産を金融商品取引法(金商法)の枠組みへ移す制度改革を継続している。暗号資産現物ETFについても、政令改正により組成が可能になるとの整理が示されており、税制を含めた制度設計の議論が進む(CoinPost)。前日報じられたSBIによるbitbankの完全子会社化など、逆風下でも国内では業界再編と制度整備が同時並行で進んでいる。
テーマ深堀り:6月の弱気相場、その正体と「底入れ」論
6月の急落は、単一の材料ではなく複数の重荷が重なった結果だ。第一にマクロ環境。FRBが重視する5月の個人消費支出(PCE)物価指数が約3年ぶりの高水準に達し、年内の利下げ期待は後退、一部では「利上げ」観測すら浮上した。金利が高止まりするとの見方は、利回りを生まない資産であるビットコインには逆風となる(Yahoo Finance)。
第二に資金フロー。現物ETFからの継続的な流出が需給を圧迫した。月初には単週で記録的な流出を記録し、機関投資家の資金が暗号資産から流出した。第三にセクター間の資金移動で、AI・半導体関連株などへ資金がシフトした面も指摘される。これらが重なり、BTCは年初来の高値圏から大きく水準を切り下げた。
一方で、流出ペースの鈍化や恐怖指数の極端な低下は、しばしば相場の転換点近辺で観測される現象でもある。Galaxy Digitalは2026年を「混沌の年」と位置づけつつ、中長期では強気シナリオを描いており、底打ち価格のシナリオ分析を公表している(CoinPost)。価格水準だけでなく、ETFフローの転換とマクロ指標の落ち着きが、反転には不可欠な条件となる。
識者の見方:強弱両論が交錯
強気派は、足元の弱さを「仕込み場」と捉える。マイクロストラテジー(Strategy)のマイケル・セイラー会長は、CLARITY法の成立をビットコイン採用の「転換点」になり得ると評価しており、制度整備が中長期の追い風になるとの立場だ(Yahoo Finance)。住宅ローンでの資産認定など、実需に直結する制度の前進も中長期の支援材料とみる。
一方、弱気派は下値リスクを警戒する。恐怖指数が一時11まで沈んだ局面では、市場では「5万ドルの下値支持線」を巡る議論も出ており、ETF流出の再加速やマクロ悪化が重なれば一段安の余地が残るとの見方もある(cryptonews.net)。当面は6万ドル前後の攻防が、強弱の分水嶺となりそうだ。
今後の注目イベント・指標
週明けは月末・四半期末(6月30日)のリバランスに伴う値動きに留意したい。米国では独立記念日(7月4日)の休場を控え、6月分の雇用統計が前倒しで7月2日(木)に発表される見込みで、市場予想は非農業部門雇用者数が約17.2万人増、失業率4.3%とされる(Kiplinger)。FRBの7月会合での金利据え置き観測と合わせ、結果次第でリスク資産全体が振れやすい。CLARITY法の上院での進展、月初のETF資金フローも引き続き要注目だ。
まとめ
週末のビットコインは6万ドルを挟んだ膠着で、6月は18%超安と記録的な軟調月となった。ただETF流出の鈍化、制度整備の前進など、悪材料一色ではない兆しも見え始めている。週明けは月末リバランスと7月2日の米雇用統計が当面の焦点。極端に冷えたセンチメントが反転のばねになるか、見極めの局面が続く。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



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