おはようございます。10月6日朝、ビットコインは8万5,969ドル。24時間はほぼ横ばいですが、1週間で3.3%上げてきました。
金利先物を見ると、面白いことが起きています。10月28日のFOMCでの利上げ観測は2割を切るところまで落ちた一方、12月9日の会合は7割台半ばが利上げを織り込んでいる。「利上げは消えた」のではなく「12月に移った」というのが市場の本音のようです。今朝はここを中心に。
主要マーケット動向
ビットコインは8万5,969ドル(24時間+0.08%、7日+3.30%、30日+7.59%)。時価総額1兆7,274億ドル、ドミナンス59.0%。イーサリアムは2,717ドル(24時間+0.49%、7日+1.62%、30日+9.19%)でシェア11.3%。市場全体は2兆9,300億ドル。Fear & Greed指数は67の「Greed」で、前日70・1か月前76から少しずつ熱が抜けています。
戻ってきた理由ははっきりしています。10月2日発表の9月米雇用統計が、非農業部門雇用者数が前月比2.9万人増(予想9.0万人増)、失業率4.2%へ悪化という内容でした。平均時給も前年比3.0%で、2021年5月以来の低い伸び。労働市場が明確に緩んだわけです。昨朝お伝えした利上げ観測16%という水準からは少し戻しましたが、方向は変わっていません。
ところが米国債は売られました。10年債利回りは5.341%へ0.07ポイント上昇、30年債は6%を視野に入れる水準です。それでもダウ平均は5万1,304ドル(+127ドル、+0.25%)、ナスダックは2万7,461(+271、+1.00%)とプラス引け。ドル円は158円台前半、WTI原油は11月限89.93ドルと続落しました。
引っかかるのは昨夜23時の9月ISM非製造業景況指数で、本体54.9(予想55.0)に対し仕入れ価格指数が74.0。2022年7月以来の最高水準です。ここは次の節で詳しく見ます。
重要ヘッドライン
- CFTCが暗号資産市場の規制案を初めて提示──10月5日、レバレッジ・証拠金取引を対象とする「Regulation CTX」と、それを扱う取引所の新登録区分「Regulation CAM」を提案。パブコメは60日間。ただし現物に包括的権限はなく、レバレッジを伴わない現物取引は州の資金移動業規制の下に残ります。包括法案のCLARITY法案が9月に米上院で停滞し、当局が行政レベルで先に動いた構図です。
- ビットコインETFは3週連続プラスだが流入ペース9割減速──9月28日〜10月2日の純流入は2億4,108万ドルで、前週の23億9,000万ドルから約90%の減速。IBITが4億5,018万ドル流入で全体を支え、FBTCは1億6,794万ドル、GBTCは5,458万ドルの流出。運用総額1,110億9,000万ドルです。
- イーサリアムETFは1億3,800万ドルの純流出──9月は8億3,243万ドルの流入だったので、月が変わって流れが切り替わりました。ETHの価格自体は堅調で、ETFの資金とスポットが同じ方向を向いていない局面です。
- イーサリアム財団が「zkAPI」をメインネット稼働──AI向けの匿名決済システム。すぐの価格材料ではありませんが、ゼロ知識証明の実用レイヤーが本番環境に出た点は記録しておきたいところです。なお国内では、暗号資産ETFの解禁と申告分離課税20%の適用が2028年1月を軸に調整されています。
- ステーブルコインに12月末の期限──米国債の清算義務化が12月末に期限を迎え、償還オペレーションへの影響が懸念されています。地味ですが年末に効いてくる可能性のある話です。
テーマ深掘り:利上げは消えたのか、12月に先送りされただけなのか
数字を並べます。10月28日のFOMCについて、CMEフェドウォッチは据え置き80.6%・利上げ19.4%。予測市場では利上げ21%。グラスノードの集計でも、10月28日の利上げ確率は9月28日の66%から10月2日に22%へ落ちました。ここまでは素直な「利上げ観測の後退」です。
問題は12月です。同じ予測市場で、12月9日のFOMCの利上げ確率は75〜77%。市場は「利上げはなくなった」とは言っていません。「10月はやらないが、12月にはやる」と言っている。10月の確率が急落した分、そのまま12月へ押し出された形です。
この見方を補強するのが昨夜のISMの中身でした。本体54.9(前月55.4)は小幅な鈍化ですが、仕入れ価格74.0は4年ぶりの高さで、新規受注も予想以上に低下。雇用は緩んでいるのにサービス業のコストは上がっている。こうなるとFRBは「雇用が緩んだから緩和」という単純な対応がしにくい。ウォーシュ議長が9月の会見で「概ね完全雇用と整合的に行動しているので、物価の安定に集中できる」と述べていたことを思うと、2.9万人増はその前提に少し傷をつけた程度なのかもしれません。
債券市場がそれを裏打ちしています。利上げ観測が後退したのに10年債は上昇し、30年債は6%を視野に入れた。短期の政策金利見通しが下がっても長期金利が下がらないのは、市場がインフレの持続性を疑っているサインです。実質金利が高止まりする環境では、キャッシュフローを生まない資産の相対的な魅力は上がりません。暗号資産にはここがいちばん効きます。
価格との噛み合いも微妙です。足元は8万6,000ドル近辺で膠着。直近高値が9月21日の8万7,397ドルで、その上8万8,000ドル前後にショートの清算が集まる価格帯、9万ドル付近にもう一つの塊があると指摘されています。9月21日はまさにこの帯に突っ込んで1日で6,500ドル上昇し、7億5,000万ドル規模のショートが強制決済されましたが、4日で2,000ドル以上押し戻された。10月3日にも同じ方向を試し、市場全体で4億7,800万ドルの清算が出たあと伸びきらなかった。強制買いで突き上げたあと買い手が入れ替わらず戻るパターンが、2回続いています。
デリバティブも落ち着きません。建玉総額3,799億ドルは24時間で12.4%増えた一方、7日間では13.3%減少。1週間かけて落としたポジションを直近1日で積み直した形です。24時間の清算額8,493万ドルはロング4,066万ドル・ショート4,427万ドルとほぼ半々で、両方が小刻みに削られている。方向感が出ていない証拠だと思います。
整理すると、10月の利上げ回避はすでに価格に入っている。だから上へ行くには別の材料が要るのに、12月の確率が75%台で残るかぎりそれは出にくい。もっとも、正直わかりません。10月8日未明のFOMC議事録で意見の割れ方が見えれば、織り込みは一気に動きます。
相談を受ける立場から、ひとつだけ。「利上げ観測が後退したから買い」「12月に利上げだから売り」という単線的な判断は、いまは機能しません。10月の利上げ確率が66%から2割台へ落ちる過程で、ビットコインは8万4,000ドル台から8万6,000ドル台へ2,000ドル程度しか上がっていないのです。マクロの確率が40ポイント以上動いて価格は2%強。それだけレバレッジの偏りやETFの資金、長期金利が同時に効いているということです。ビットコインという資産の性質を踏まえた上で、どの程度の割合なら動揺せず持ち続けられるか。そちらを先に決めるほうが、確率の読み合いより実りがあると思います。
識者の見方:強気・弱気の両論
強気側の見立てはこうです。8万8,000ドルを超えて定着し、そこに現物ETFへの安定した資金流入が重なれば、今回の上昇は清算に押し上げられただけではなく実需を伴った動きだと確認できる。ETFは流入ペースが9割減速したとはいえ3週連続プラスで、IBIT単体では4億5,000万ドルを集めた。1か月で8%上げた地合いはまだ崩れていない──という組み立てです。
弱気側の見立ては、過去2回のパターンを重く見ます。清算帯への突入は9月21日と10月3日に2度試されて2度失速した。強制買いが終わると買い手がいなくなる構造で、3度目も同じになる可能性は高い。加えて12月の利上げ確率は75%台で残り、長期金利の上昇が株と暗号資産の両方に効く。1年前の2025年10月6日に12万6,000ドル台の最高値を付けたことを思えば、現在値はそこから約32%下。年間3割安という事実を重く見るべきだ──という読みです。
どちらも同じデータを違う側から見ています。流入が続いているのも、ペースが9割落ちたのも事実。両方が本当です。
今後の注目イベント・指標
- 10月6日(火) 15:35 植田和男日銀総裁が全国証券大会で挨拶。ドル円158円台のなか、円安への言及があるかどうか。同日21:30に米8月貿易収支。
- 10月8日(木) 3:00(日本時間) 9月FOMC議事録。今週最大の材料。委員会内で利上げ継続派と据え置き派がどう分かれていたかが読めれば、12月の織り込みが動きます。
- 10月8日(木) 14:00 9月景気ウォッチャー調査。9日(金)はオプションSQと8月家計調査。
- 10月28日(水) FOMC。現在の織り込みは据え置き8割。
- 12月9日(水) FOMC。織り込みは利上げ75〜77%。いまの相場が本当に見ているのはこちらです。
- 12月末 米国債の清算義務化の期限。ステーブルコインの償還への影響が論点。
まとめ
今朝お伝えしたかったのは、「利上げ観測の後退」という見出しを一段深く読むと話が変わる、ということです。10月の利上げがない確率は8割。けれど12月は75%台で残っている。市場は利上げを取り消したのではなく、期日を1か月半ずらしただけなのかもしれません。その証拠が昨夜の債券市場で、政策金利の見通しが下がったのに10年債は5.341%へ上がりました。インフレは、まだ終わったことになっていない。
ビットコインの8万6,000ドルは、その綱引きのちょうど真ん中です。すぐ上の8万8,000ドルにはショートの清算が集まり、過去2回はそこを突いて戻ってきました。3度目があるのかは私にもわかりません。わかるのは、建玉が1週間で13%減ったあと1日で12%積み直され、ロングとショートがほぼ均等に削られているという、落ち着かない状態だけです。だからこそ、保有比率を先に決めておくことが効いてきます。ETHのように性質の違う資産を組み合わせる考え方もありますし、何も動かさないという選択も立派な判断です。昨夜の値動きは昨日夕方の記事でも触れています。
今日は15時35分に植田総裁の挨拶、明日未明にFOMC議事録。無理に先回りしないほうがいい週だと思います。それでは、よい一日を。
出典
- Yahoo Finance|Bitcoin and ethereum prices today, Monday, October 5, 2026
- DeFi Rate|Fed Rate Decision Odds: Oct. 28 FOMC Hike or Hold
- CoinDesk|U.S. CFTC joins SEC in proposing crypto regulations
- 24/7 Wall St.|Bitcoin Is Back at Its September High and Short Sellers Are Stacked Right Above It
- 財経新聞|米9月ISM非製造業景況指数は予想下回る、ドル買い後退
- OANDA証券|米9月雇用統計とPCEが示す変調
- Bitcoin News|ビットコインETF、資金流入額が2億4100万ドル
- CRYPTO TIMES|今日の仮想通貨(2026年10月5日)
- 株探|今週の重要イベント(10月5日~11日)
価格・指標データはCoinMarketCap(日本時間10月6日6時台時点)。米国株・金利は日本時間10月6日未明の取引終盤時点。本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本を割り込む可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。/あきFP(CFP認定者・IFA)


