おはようございます。あきFPです。週末のビットコインは一度8万ドルを割り込み、そこから買い戻されて8万ドル台に戻っています。FOMCは明日から。今週は日米欧の金融政策が3つ重なる、今年でも指折りの週になります。
主要マーケット動向
10月26日午前6時55分時点(CoinMarketCap)で、ビットコインは8万278ドル。24時間でほぼ横ばい(+0.02%)、7日で-1.0%、30日で-4.2%です。1年前と比べると-27.9%。
ただ「横ばい」という数字は、週末に起きたことを隠してしまいます。24日にはBinanceで7万9,220ドル、週間の安値は7万9,107ドルまで下げました。1か月ぶりの水準です。そこから8万ドル台へ押し戻された、というのが実際の動きでした。
イーサリアムは2,332ドル。24時間-0.17%、7日-1.4%ですが、30日では-13.0%と、BTCの-4.2%に比べて明らかに重い。ソラナも1か月で16%下げています。市場全体の時価総額は2.68兆ドル、ビットコインドミナンスは60.12%で、5月に付けた年内最高の60.57%に近い水準。資金が中心に戻ったというより、周辺から抜けたまま戻っていない、と言ったほうが近いかもしれません。
前週末の米国市場(23日終値、DZHフィナンシャルリサーチ集計)は、ダウが652ドル82セント安の5万2,215ドル16セント、ナスダックが53.52ポイント安の2万5,955.34。米10年債利回り4.99%、ドル円156円87銭、WTI原油先物(12月限)は3ドル80セント高の103ドル27セント。原油高と金利上昇を嫌気した下げでした。VIXも14.84から19.03へ上昇。
デリバティブ側は、むしろ静かです。建玉(オープンインタレスト)は3,299億ドルで、24時間-4.2%、30日で-16.8%。年内の最低圏まで落ちています。24時間のBTC清算額は1,163万ドルで、前日比-95%。平均ファンディングレートも+0.005%まで下がりました。レバレッジはかなり抜けた状態、と読めます。
重要ヘッドライン
- 米ビットコイン現物ETFから2営業日で7億7,350万ドルの純流出。22日が6億3,549万ドル、23日が1億3,794万ドル(Farside Investors集計)。22日の流出は6月下旬以来の規模です。
- 中東情勢が再び緊迫。24日、イランによる攻撃の可能性を示す情報を受け、米国が中東の大使館・基地から一部人員を退避させたと報じられました。週末に株式・債券市場が閉まっている時間帯は、暗号資産が真っ先に売られる対象になりがちです。
- 原油が100ドル台で定着。WTIは20日に107ドル89セントを付け、1週間で13.1%上昇。インフレ再加速への警戒が効いています。
- 円ステーブルコインGYENが終了。Coinbaseは20日、GMO-Z.com Trust Company発行のGYEN残高をUSDCへ自動転換すると発表。26日に送金を停止し、30日までに手数料なしで転換するとしています(CRYPTO TIMES)。国内の円建てステーブルコインについては金融庁フォーラムの議事録を読んだ記事でも触れています。
- JPモルガンがビットコインの10年後を21万ドルと試算。21日、同社としては初の長期予測。短期の売買材料ではありませんが、大手が長期の数字を出し始めたこと自体は記録しておきたいところです。
テーマ深掘り:8万ドルは「ETFと企業の平均取得コスト」の帯
今朝いちばん押さえておきたいのは、8万ドルという数字がただのキリ番ではない、という点です。
Glassnodeのデータでは、8万ドル〜8万1,500ドルが、現物ETFとビットコイン保有企業の平均取得コストの帯にあたります。Binanceで最も厚い買い注文が並んでいるのも8万ドル付近。つまりこの価格帯は「長期で持っている人たちが、自分の平均コストを守るために買う水準」として機能してきました(24/7 Wall St.)。
ところが22日、その買い手が売り手に回りました。IBITから2億5,400万ドル、FBTCから2億1,700万ドル。この2本で流出額の約74%を占め、流入はモルガン・スタンレーのMSBTの約200万ドルだけ(CRYPTO TIMES)。先週はIBITに1年ぶり最大の6.6億ドルが流入した直後でしたから、転換の速さには正直驚きました。
もっとも、週を通した集計では、米ビットコイン現物ETFはまだ2億2,820万ドルの純流入です。2日間の数字だけで「機関投資家が降りた」と結論づけるのは早い。純資産総額は1,077億ドルで、1か月前の1,112億ドルからは減っていますが、1週間前の1,078億ドルとほぼ同じです。
気になるのは、その上に乗っているレバレッジの位置です。Coinbaseのデータでは、レバレッジ買いの最も厚い集積は平均8万1,993ドル。そのうち64%が、現在値より上で建てられています。50日移動平均が8万1,798ドル、20日移動平均が8万2,539ドル。8万1,500ドル〜8万2,500ドルのあたりに、テクニカルの節目と含み損のポジションが重なって詰まっている。ここを超えられないと、戻りは売られやすい形です。
下は7万7,600ドル。GlassnodeのTrue Market Mean(実質的な市場平均取得価格)で、現在値から3%ほど下。8万ドルを明確に割れば、次に意識されるのはここです。
相談を受ける立場から一つだけ付け加えると、「平均取得コストの帯だから下がらない」という読み方はしないほうがいいと思っています。コスト帯が支えになるのは、そこにいる人が売らない間だけです。22日に起きたのは、まさにその人たちが売った日でした。支持線は「厚い買い注文がある場所」ではなく、「そこで売るつもりのない資金が、どれだけ長く居座れるか」で決まります。そしてそれは、価格チャートからは見えません。
識者の見方:強気・弱気の両論
強気側は、レバレッジがすでに抜けている点を重く見ます。建玉は年内最低圏、24時間の清算額は前日比-95%、ファンディングも+0.005%まで低下。急落を増幅させる燃料が減っているという見方です。週間ではETFはまだ純流入で、8万5,000ドルを超えれば10万ドルを目指すという声もあります。Fear & Greed指数は44の「中立」。1か月前の73(強欲)から大きく冷えており、少なくとも過熱の反対側にはいます。
弱気側は、金融政策の方向そのものを問題にします。モルガン・スタンレーのMichael Gapen氏は「リスクは、FRBが我々の予想以上に利上げを迫られる方向にある」と述べ、RSMのJoseph Brusuelas氏はディスインフレの兆しがほとんど見えないとして、さらに複数回の利上げを見込んでいます。ロイターの調査(16〜20日)では、28日のFOMCは100人中94人が据え置きを予想する一方、12月の利上げは100人全員が予想。政策金利は現在3.75〜4.00%で、約6割の予想が4.00〜4.25%でのピークを見ています(Mitrade)。原油100ドル超とホルムズ海峡の不確実性が加わっており、「インフレが戻る前提」での利上げ継続が、リスク資産には逆風です。
どちらが正しいかは分かりません。両者が同じ材料(インフレと金利)を見て逆の結論を出している以上、28日のFOMCと29日のコアPCEが出るまで、どちらの論も検証されないままです。先週の整理は週間まとめと23日朝の記事にもあります。
今後の注目イベント・指標
- 10月27日(火)…FOMC初日。米耐久財受注(9月)、米消費者信頼感(10月)、米新築住宅販売(9月)
- 10月28日(水)…FOMC声明とウォーシュ議長会見。据え置き予想が9割超のため、焦点は12月利上げへの示唆
- 10月29日(木)…日銀会合初日。米7〜9月期GDP速報と9月コアPCE、ECB理事会とラガルド総裁会見
- 10月30日(金)…日銀決定と植田総裁会見、東京都区部CPI(10月)、米雇用コスト指数(7〜9月)
- 今週中…アルファベット、マイクロソフト、アマゾンの決算。AI関連の設備投資計画が株式市場のリスク許容度を左右します
- 10月31日(土)…中国製造業・非製造業PMI(10月)
- 11月3日(火)…米中間選挙。暗号資産関連法案(CLARITY法案)の行方にも直結します
日程の詳細は財経新聞のまとめが整理されています。
まとめ
週末の値動きは、「8万ドルで止まったけれど、止めたのが誰なのか分からない」という状態です。ETFからは2日で7億7,000万ドルが抜けた。それでも価格は8万ドル台に戻っている。買い手が現物の長期資金なのか短期の押し目買いなのかは、今朝の時点では判別できません。たぶん今週のうちに答えが出ます。
その答えを出すのが、28日のFOMCと29日のコアPCEです。据え置き自体はほぼ織り込まれているので、動くとすれば12月利上げへの示唆の強弱でしょう。そして翌日には日銀とECBが続きます。日米欧の金融政策が3日間に並ぶ週で、ポジションを大きく傾けておく理由は、少なくとも私には見つかりません。
相談でよく聞かれるのが「下がったから買い増すべきか」ですが、お答えしているのは順序を逆にする話です。先に決めるのは、下がったときにどこまで耐えられるかという金額のほう。8万ドルが7万7,600ドルまで3%下げたとき、ご自身のポートフォリオで何円の含み損になるか。その数字を見て平気でいられる範囲が、今の相場で持っていい量です。価格の予想より、こちらのほうがずっと当てやすい。取引所の比較記事でも触れた積み立ては退屈ですが、こういう週にはそれなりに効きます。
では、今日もよい一日を。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の暗号資産の売買を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本が保証される商品ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。価格・指標はいずれも2026年10月26日午前時点のものです。


