おはようございます。あきFPです。10月21日朝のマーケットを整理します。
主要マーケット動向
ビットコインは日本時間21日午前7時時点で8万2,890ドル。24時間で+1.20%です。ただ、1週間では-0.63%、30日で+2.48%。つまりほとんど動いていません。8万2,000〜8万3,000ドルという狭いレンジに入ってから、もう何日も同じ景色が続いています。
イーサリアムは2,456ドルで+2.41%。24時間だけ見ればBTCより強いのですが、7日で-2.13%、30日では-6.52%。戻りの鈍さが目立ちます。BTCドミナンスは60.05%まで切り上がり、ETHは10.80%。資金がBTCに寄る構図は先週後半から変わっていません。暗号資産全体の時価総額は2.77兆ドルで、24時間+1.37%です。
前夜の米国市場はちぐはぐでした。ダウは52,497ドルで+1.02%(531ドル高)、ラッセル2000は+1.65%。内需系と小型株が買われています。一方でナスダックは26,424の-0.02%とほぼ横ばい、S&P500は7,712の+0.29%。ヘルスケアが最高値を更新する一方、ハイテクは前日の安値から戻しただけで出遅れた、という日でした。米10年債利回りは5.116%(-1.9bp)、30年は5.425%。ドル円は158.16円で、日本の国債入札が堅調だったことを受けて円がやや強含み。WTIは101.79ドル(-1.80%)、金は12月物で4,142.60ドルです(Investrade)。
日本株は厳しい一日でした。日経平均は841円安の64,075円、TOPIXは4,009。AI関連と半導体株が売られ、グロース250指数は-2.7%。一時は下げ幅が1,000円を超えています(OANDA)。
センチメントは、Fear & Greed指数が51の「Neutral」。前日49、1週間前55、1か月前は72の「Greed」でしたから、熱はきれいに抜けました。デリバティブ建玉は3,947億ドルで24時間+5.38%、BTCの清算額は24時間7,536万ドル。荒れている水準ではありません。
重要ヘッドライン
- IBITに6億6,516万ドルが流入。ブラックロックの現物BTC ETFの19日の純流入額で、2025年10月7日以来、1年超ぶりの最大です。米現物BTC ETF全体では5億2,660万ドルの純流入。こちらは約1か月ぶりの大きさでした(The Block)。
- ETH現物ETFは1億330万ドルの純流出。4営業日連続の流出です。BTCとETHで資金の向きが逆を向いたままで、この点は先週の週間まとめから継続しています。
- スイスのFINMAが同国初の個人向けビットコイン現物ETFを承認。SIX上場の既存ETPは債券型でしたが、今回は投資信託法の枠組みでBTCを直接保有する形です。分散義務には例外が認められました。発行体名は公表されていません(The Block)。
- ブラックロックが下落バッファー付きのBTC ETFを申請。「iShares Bitcoin Managed Protect ETF」で、IBITへのオプションを使い、下落を一定幅で抑えつつ上昇余地を残す設計。BTC自体は保有しません(The Block)。
- MSCIが「非事業会社」除外ルールを正式決定。11月30日の取引終了時点で発効し、対象リストは11月11日に公表されます。デジタル資産が総資産の過半を占める企業への暫定措置は11月の見直しで終了。5月時点データの試算ではストラテジーとメタプラネットが該当していました(CoinPost)。
- EUがUSDCを初の「重要な電子マネートークン」に指定。欧州銀行監督機構(EBA)がMiCAに基づき決定し、11月12日から準備金・流動性・償還体制を直接監督します。あわせて、ホワイトハウスの暗号資産担当顧問パトリック・ウィット氏の退任も伝わりました(Caleb & Brown)。
テーマ深掘り:ETFには資金が入っているのに、価格が動かない
今日いちばん考える価値があるのは、この食い違いだと思います。1年超ぶりに大きい6.6億ドルがIBITに入った翌日、BTCは8万2,000ドル台。1%強上がっただけです。
まず規模の問題があります。IBITの純資産は663億ドル。6.6億ドルはその1%程度で、市場全体の24時間現物出来高1,395億ドルやデリバティブ建玉3,947億ドルと並べると、価格を押し上げる力としては小さい。同じ19日にフィデリティとグレースケールからは資金が抜けていて、ETF全体の純流入は5.3億ドルに縮んでいます。
そして、週単位で見ると景色が変わります。先週のデジタル資産投資商品は合計5億9,330万ドルの純流出でした。BTC商品が2億2,840万ドルの流出、ETHが3億2,010万ドルの流出。1日の大口流入は、前週までの流出を埋めるところまでしか効いていない、という読み方のほうが素直です。
では誰が売っているのか。ここは正直わかりません。建玉が増えて清算額は小さいので、レバレッジの投げではなく現物の利益確定だろう、という推測くらいはできます。プレスト・リサーチのMin Jung氏も、流入の背景は不明としつつ「BTCだけが横ばいで他のリスク資産は最高値圏にある」構図を指摘していました。
FINMAの承認とブラックロックのバッファー型ETF申請も、同じ方向を指しています。買うための「配管」は着々と増えている。でも、配管が太くなることと、今日お金が流れることは別の話です。CFP認定者として相談を受けていると、「ETFに資金が入っているなら上がるはずでは」という質問をよくいただきます。フローは条件であって、引き金ではない。しかも1日単位のフロー数値は、この市場でもっともノイズが多いデータの一つです。先週の10月20日朝から流出が流入に反転したこと自体は事実ですが、1日で判断するのはやめたほうがいい、というのが正直な感想です。
なお、MSCIの除外ルールはETFとは別チャネルの話ですが、株式インデックスから落ちれば売りは機械的に出ます。BTC保有企業の株で間接的に持っている方は、11月11日のリスト公表までに自分のポジションを確認しておいたほうがいいかもしれません。
識者の見方:強気・弱気の両論
強気側。ゼウス・リサーチのDominick John氏は「ブラックロックへの流入は、マクロの逆風とBTCの荒い値動きにもかかわらず機関投資家の需要が底堅いことを示している」と述べています。テクニカル面でも、BTCの週足は50週指数平滑移動平均の上を維持しており、RSIに弱気ダイバージェンスは出ていません。レンジの中での往復が続くうちは、下方ブレイクよりも持ち合いが基本線という見方です。
弱気側。QCPキャピタルは、株式市場のデレバレッジが広がった場合「それが続けば8万ドルのサポートを脅かしうる」と警告しています。実際、先週のナスダックは週間-4.5%、S&P500は-1.9%。AI関連株の調整が長引けば、暗号資産がそれを無視できるとは考えにくい。Min Jung氏も、FRBの金利見通しがはっきりするまでボラティリティは続くとしています(CoinDesk)。
どちらも筋が通っています。強気側は「資金の出し手」を見て、弱気側は「引き揚げ要因」を見ている。両方が同じ強さでぶつかっているから、いまはレンジなのだと思います。
今後の注目イベント・指標
直近1週間の予定です(外為どっとコムほか)。
- 10月21日(水) 日本・9月貿易統計
- 10月22日(木) 米・新規失業保険申請件数、9月景気先行指数
- 10月23日(金) 日本・9月全国CPI/米・10月製造業&サービスPMI速報、ミシガン大学消費者態度指数(確報)
- 10月27〜28日 FOMC。政策金利は現行3.75〜4.00%で、予測市場では据え置きが85%前後、25bp引き上げが13〜14%。9月CPIが前年比3.7%(予想約3.6%)、PPIが前月比+1.3%(予想+0.6%)と上振れた直後ですが、今回は見送り濃厚という織り込みです
- 10月29〜30日 日銀金融政策決定会合+展望レポート。第一生命経済研究所は10月会合での利上げ見送りを予想しています
- 11月3日 米中間選挙。CLARITY法案の行方に直結します
- 11月11日 MSCI対象リスト公表(発効は11月30日取引終了時点)
- 11月12日 EBAによるUSDCの直接監督開始
国内の制度面では、金融庁フォーラムの議事録で示された工程表も引き続き注目です。
まとめ
IBITに1年超ぶりの大口流入が入ったのに、BTCは8万2,000ドル台でほとんど動きませんでした。驚くことではないと思います。1日6.6億ドルは、週単位では5.9億ドルの流出を埋める程度の規模でしかなく、フローと価格が1対1で動くという前提そのものが、たぶん間違っているのです。
いま相場を押さえているのは、10年債5.1%という高い金利と、AI関連株の調整です。10月28日のFOMCと30日の日銀会合を通過するまで、この重しは外れにくい。レンジの上も下も、材料待ちで止まっている状態といっていいでしょう。
とはいえ、スイスの個人向けETF承認やバッファー型の申請のように、買う側の選択肢は静かに増え続けています。こういう変化は毎朝の価格を追っていると見えにくく、半年か1年か、もう少し長い目で振り返ったときに効いてくる類の話です。今日のところは、配管が増えたという事実だけ頭の片隅に置いておくくらいでいいのではないでしょうか。相場の方向については、正直わかりません。わからないときに無理に動かないことも、立派な判断だと思います。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の暗号資産の売買を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本を大きく下回る可能性があります。投資判断はご自身の責任でお願いします。


