【6月26日朝】BTC5.8万ドルへ2026年安値、PCE4.1%で利上げ観測台頭

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前夜の米国市場で、暗号資産はインフレ統計の悪化を受けて急落した。米連邦準備制度理事会(FRB)が最も重視する5月の個人消費支出(PCE)物価指数が前年同月比4.1%と約3年ぶりの高水準に達し、利下げ期待は完全に後退、むしろ「年内利上げ」観測が一段と強まった。ビットコイン(BTC)は一時5万8,000ドル台前半(日本円で約941万円)まで売られて2026年の安値を更新し、暗号資産市場全体で約14億8,000万ドル規模のロスカット(強制清算)が発生した。本稿(朝刊)では、PCEショックの中身と前夜の海外市場、そして本日27日に控える大型オプション清算など当日の注目材料を整理する。

主要マーケット動向:BTCは5.8万ドル台へ、2026年安値を更新

ビットコインは2026年6月25日の米国時間に一時5万8,188ドルまで下落し、2024年10月以来の安値を付けた。その後はやや買い戻され、日本時間26日早朝(25日15時53分UTC)時点でcrypto.newsの表示は1BTC=約5万9,527ドルで推移している(crypto.newsYahoo Finance)。1ドル=約161.8円で換算すると約963万円にあたり、1,000万円の節目を引き続き下回っている。

値動きを期間別にみると、ビットコインは1週間前比で約−5.3%、1カ月前比で約−20.8%、1年前比では約−42.5%と、調整が長期化している。2025年10月6日に付けた史上最高値12万6,198ドルからは半値以下の水準だ(Yahoo Finance)。

イーサリアム(ETH)も軟調で、25日の取引で一時約4.7%安の1,567ドルまで下落した。1カ月前比では約−22.8%、1年前比では約−33.9%と、2025年8月の最高値4,953ドルから大きく水準を切り下げている。主要アルトコインも総じて売られ、リップル(XRP)は約1.03ドル、ソラナ(SOL)は約66ドル、BNBは約558ドルで推移。暗号資産全体の時価総額は約2.13兆ドルへと2.2%目減りした(crypto.news)。

為替は引き続き円安基調が続いている。ドル円は26日にかけて一時161.95円まで上昇し、2024年7月以来の高値圏で推移した。これを明確に上抜けると約40年ぶりの高値となるため、政府・日銀による為替介入への警戒感も高まっている(みんかぶFX)。ドル建てで暗号資産が下落しても、円換算では下げ渋りやすい点に留意したい。

重要ヘッドライン

① 5月PCEが4.1%、約3年ぶり高水準でインフレ再燃が鮮明に

米商務省経済分析局(BEA)が25日発表した5月のPCE物価指数は前年同月比4.1%と、4月の3.8%から加速し、2023年3〜4月以来約3年ぶりの高水準となった。前月比でも0.4%上昇。変動の大きい食品・エネルギーを除くコアPCEは前年比3.4%(前月比0.3%)で、こちらも2023年10月以来の高さとなった(CNBCFXStreet)。市場予想(前年比4.2%)はわずかに下回ったものの、FRBの目標2%の2倍を超える水準であり、インフレの粘着性が改めて意識された。

② PCEショックで約14.8億ドルのロスカット、ロング勢が直撃

ビットコインの6万ドル割れをきっかけに、暗号資産市場では過去24時間で約14億8,000万ドル規模の強制清算が発生した。清算されたトレーダーは約21万7,700人にのぼり、うち買い建て(ロング)が約12億1,000万ドルと大半を占めた。通貨別ではビットコインが約6億6,500万ドル、イーサリアムが約3億5,900万ドル、XRPが約5,050万ドルと続いた(crypto.newsCoinGlass)。レバレッジの巻き戻しが下落を加速させた構図だ。

③ 「年内利上げ」観測強まる、BofAは3回利上げを予想

PCEの上振れを受け、市場では利下げどころか利上げを織り込む動きが強まっている。一部報道によれば、9月までに少なくとも1回の利上げが実施される確率は約70%とされる(TradingKey)。バンク・オブ・アメリカ(BofA)は従来の「据え置き」予想を撤回し、年内3回の利上げを見込むと予想を修正した(crypto.news)。金利上昇とドル高は、利息を生まない暗号資産にとって逆風となりやすい。

④ 本日27日に約93億ドルのビットコイン・オプション清算

デリビット(Deribit)のデータによれば、本日27日(金)には約93億3,000万ドル相当(建玉15万7,611枚)のビットコイン・オプションが満期を迎える。最大の損失が発生する「マックスペイン」は7万2,000ドルとされ、現値を大きく上回っている(CoinDeskcrypto.news)。現値がマックスペインから大きく乖離しているため、満期に向けたヘッジ調整でボラティリティが高まる可能性がある。

⑤ 米現物BTC・ETF、月間流出が過去最大級に

機関投資家の需要減退も続いている。米現物ビットコインETFは過去30日間で約64億ドルの純流出を記録し、2024年1月の上場以来で最大の月間流出となった。Strategy(旧マイクロストラテジー、MSTR)株は12%超下落して100ドルを割り込み、ビットコインの6万ドル割れと連動した(crypto.news)。ただし6月23日には現物ETF全体で約3,920万ドルの小幅な純流入に転じる場面もあり、機関売りのペースが鈍化しつつあるとの見方もある。

テーマ深掘り:「インフレ再燃」が暗号資産に重しとなる構図

今回のPCEショックは、暗号資産の値動きが2026年に入って一段と「マクロ連動」を強めていることを改めて示した。注目すべきは、インフレ加速の主因が中東情勢にある点だ。複数の報道は、米国が主導したイランとの軍事的緊張が原油・ガソリン価格を押し上げ、これがインフレ統計を直接的に押し上げたと指摘している(CBS News)。供給要因によるインフレは金融政策で抑え込みにくく、FRBが高金利を長期化させる「higher-for-longer」シナリオを正当化しやすい。

暗号資産にとって、この環境は二重の逆風となる。第一に、金利上昇とドル高は、配当や利息を生まないビットコインの相対的な魅力を低下させる。安全資産である米国債の利回りが上がれば、リスクを取って暗号資産を保有する動機が薄れ、現金や債券へ資金が回帰しやすい。第二に、レバレッジを効かせた投機ポジションが、ボラティリティの上昇局面で連鎖的に清算され、下落を増幅させる。今回の14.8億ドル規模の強制清算はその典型例だ。

一方で、見落とすべきでない構造変化もある。米CNBCのアナリストは「これは最悪の強気相場であり、最良の弱気相場だ」と評し、ビットコインのボラティリティが過去の弱気相場と比べて低下している点を指摘した(Yahoo Finance)。ETFを通じた機関投資家の参入で投資家層が厚みを増し、市場の流動性が高まった結果、暴落の「深さ」が以前より抑えられているという見立てだ。日本の読者にとっては、目先の急落の背景にあるマクロ要因と、市場構造の長期的な変化の両面を冷静に見極めることが重要となる。

識者の見方:押し目買いの好機か、一段安の前兆か

強気派は、現在の水準を長期的な買い場とみる。著名アナリストのDaan Crypto Tradesは「正確な底を当てようとするのではなく、6万ドル近辺で少しずつ買い増していく」と述べ、週足200週移動平均線が歴史的に魅力的な価格帯を示してきたと指摘した。一方で弱気派は一段安に警戒する。別のトレーダーLennaert Snyderはビットコインの空売りで大半の利益を確定したとしたうえで、「新安値を更新するなら5万5,000ドル、さらに4万ドル台でも構わない」と述べている(crypto.news)。予測市場ポリマーケットでは、ビットコインが5万ドルを割り込む確率を約66%、4万5,000ドル割れを約46%と織り込んでおり、市場心理は慎重に傾いている。強弱両論が交錯するなか、当面はマクロ指標とFRB高官発言が方向性を左右しそうだ。

今後の注目イベント・指標

直近では、本日27日(金)の約93億ドル規模のビットコイン・オプション満期がボラティリティの起点となり得る。来月にかけては、7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での金利判断と、それに先立つ6月分の雇用統計・消費者物価指数(CPI)が最大の焦点だ。インフレ再燃が確認されれば利上げ観測が一段と強まり、暗号資産の上値を抑える可能性がある。中東情勢と原油価格の動向も、インフレ経路を左右する変数として引き続き注視したい。

まとめ

5月PCEの4.1%という約3年ぶりの高インフレが、利下げ期待を吹き飛ばし、ビットコインを2026年安値へと押し下げた。約14.8億ドルの強制清算、過去最大級のETF流出、そして本日27日の大型オプション満期と、目先は神経質な展開が続きそうだ。日本の投資家は、円安による下支えとマクロ環境の逆風、双方を踏まえて冷静に向き合いたい。

*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*

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