いよいよ7月1日、欧州連合(EU)の包括的暗号資産規制「MiCA」の移行期間が満了し、域内のルールが本日から一変する。市場の地合いは依然として重く、前夜の米国市場でビットコイン(BTC)は6万ドルの大台を回復できないまま、1〜6月を記録的な不振で締めくくった。米現物ビットコインETFは6月の純流出額が確定し、2024年1月の上場以来「最悪の月」となった。本稿(朝刊)では、前夜の米国市場とETFフローの最終集計、本日施行のMiCAが突きつける現実、そして週内の米雇用統計までを整理する。
主要マーケット動向:BTCは5万9,000ドル台で月末越え、上半期は連敗で終える
ビットコインは6月最終盤も6万ドルを挟んで膠着し、心理的節目を下回ったまま新たな月へ移った。暗号資産メディアBlockchainReporterの市況データ(2026年6月30日12時15分UTC=同日21時15分JST時点)によると、BTCは1BTC=5万9,101ドル前後、24時間で0.26%安・1週間で5.33%安と、6月を「今サイクル最悪の月」として終えた。総時価総額は約2兆700億ドル、市場心理を示すCrypto Fear & Greed Indexは15で、前日のサイクル最安値12からはわずかに改善したものの「極度の恐怖(Extreme Fear)」圏にとどまる(BlockchainReporter)。米経済メディアの価格データでも30日のBTCは5万9,000〜5万9,800ドル台で推移しており、複数のソースが6万ドル割れの水準を確認している(Yahoo Finance)。1ドル=約161円で換算すると、およそ950万円前後にあたる(為替は概算)。
イーサリアム(ETH)は1ETH=1,575ドル前後で、24時間ではわずか0.46%安と、BTC(同0.26%安/週間5.33%安)より週間の下げ幅が小さく、6月後半にかけては相対的に底堅さを見せた。主要アルトの明暗は鮮明で、ソラナ(SOL)は約73.4ドルと週間で6.19%高、上位銘柄で唯一の力強いプラスとなった。一方でドージコイン(DOGE)は週間9.43%安、リップル(XRP)は約1.03ドルで週間6.27%安と、リスク選好の収縮を映した(BlockchainReporter)。BTC・ETHはともに4〜6月期を下落で終え、1〜3月期に続く2四半期連続安、すなわち上半期の連敗が確定した。
重要ヘッドライン
MiCA移行期間が本日満了、無認可業者は域内から締め出しへ
本日7月1日、MiCAの経過措置(グランドファザリング)がEEA(欧州経済領域)30カ国で一斉に終了する。欧州証券市場監督機構(ESMA)は延長しない方針を明確にしており、無認可のまま域内顧客にサービスを提供する事業者は、本日以降その根拠を失う。報道によれば、2026年5月時点でCASP(暗号資産サービスプロバイダー)の正式認可を得たのは23加盟国で約210社にとどまり、域内に登録された1,200社超のうち認可取得は5社に1社に満たない(Finance Magnates、CCN)。
米現物ビットコインETF、6月の純流出が過去最悪に
米現物ビットコインETFは6月の純流出額が約40億6,000万ドルに達し、2024年1月の上場以来で最悪の月となったと複数メディアが報じた。これは従来の最大流出だった2025年2月の約35億6,000万ドルを上回る。流出の約75%(約30億ドル)はブラックロックのIBITに集中し、5月と6月の連続した記録的流出で年初来の資金フローはマイナスに転じた(SpazioCrypto、Farside Investors)。
イーサリアム財団が人員2割削減、ETHは下値堅い
イーサリアム財団は全体の約20%(54人規模)にあたる人員削減を実施したと伝わり、組織再編の報道が続いた。それでもETHはこの数日、ETF流出の逆風下でBTCより小幅な下落にとどまっており、市場では「悪材料はすでに相当程度織り込まれた」との見方も出ている(BlockchainReporter)。
米6月雇用統計を7月2日に控える
今週の最大のマクロ材料は、米労働省が日本時間7月2日夜に発表する6月の雇用統計だ。市場予想は非農業部門雇用者数が約11.5万人増、失業率は4.3%で横ばい。5月は17.2万人増と予想を上回っており、結果次第でFRBの利下げ観測が揺れる(Kiplinger、BLS)。
テーマ深堀り:MiCA「本番初日」が映すステーブルコインの分断
本日のMiCA全面適用で最も実務的な影響が大きいのが、ステーブルコインの取り扱いだ。時価総額1,800億ドル超で世界最大のUSDT(テザー)は、欧州当局の認可を受けていない。テザーのアルドイノCEOは2026年4月、準備金の60%を欧州の銀行預金で保有するというMiCAの要件は同社のビジネスモデルと根本的に相容れないとして、申請を見送る考えを示していた。これを受け、コインベース(2024年12月)、クラーケン(2025年初頭)、クリプトドットコムなど主要取引所はEEA向けのUSDT建てペアを段階的に削除し、バイナンスもEEAでジオフェンシング(地域制限)を適用してきた(ForkLog、DailyCoin)。
最大手バイナンス自身の認可も焦点だ。ESMAの登録簿(2026年6月12日時点)ではバイナンスはMiCA認可を取得しておらず、同社はギリシャの規制当局が申請を適合と判断したとしつつも、手続きはESMAの審査段階で「停滞している」と説明している(Yahoo Finance)。認可を欠く事業者は本日以降、EUの規制下にある資本や銀行・大口ファンドへのアクセスを失い、リテール顧客のみならず機関投資家からも事実上孤立しかねない。欧州は世界で最も整備された暗号資産ルールを手にする一方、移行コストを誰が負うのかという現実が、本日から問われることになる。
識者の見方:「悪材料出尽くし」か「構造的逆風」か
強気派は、Fear & Greed Indexがサイクル最安値の12から15へ反転し、1週間ぶりにセンチメントが改善した点に注目する。複数日にわたり20を下回る「極度の恐怖」が続いた局面は、過去には相応の戻り局面に先行してきたとの指摘もある。ソラナやハイパーリキッドのように、地合いが弱いなかでも独自の強さで買われる銘柄が出ている点も、選別物色の芽と見る向きがある(BlockchainReporter)。
一方の弱気派は、ETFからの記録的な資金流出が年初来フローをマイナスに沈め、機関投資家の需要そのものが細っている点を重視する。流出はインフレ指標や金利観測、地政学といったマクロ要因に起因し、暗号資産固有の問題ではないとの分析もあるが、裏を返せばマクロが好転するまで上値は重いということだ。MiCA施行による短期的な流動性の分断も、当面の重しになりうる。
今後の注目イベント・指標
直近の焦点は、本日施行のMiCAをめぐる欧州各社の対応と、日本時間7月2日夜の米6月雇用統計だ。あわせて、米CLARITY法案は上院が7月13日まで休会に入っており、再開後の審議の行方が市場心理を左右する。国内では、メタプラネットの株主優待拡充(7月13日利用開始)や金融庁の制度改正の動きも引き続き注視したい。
まとめ
上半期はBTC・ETHともに連敗で終え、6月のETF流出は過去最悪を記録した。本日施行のMiCAは欧州に「整備されたルール」と「移行コスト」を同時にもたらす。センチメントは底入れの兆しもあるが、雇用統計などマクロ材料を見極める局面だ。煽られず、一次情報で確認する姿勢が求められる。
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*本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。*



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