【8月4日夕】BTC6.4万ドル接近、日米協調介入で円急伸し巻き戻し警戒

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日中のアジア市場でビットコイン(BTC)は一時6万4,000ドルに接近し、前日に失った6万3,000ドル台を回復した。一方、投資家の視線は日本に集まっている。先週末の日米協調による円買い介入で円相場が急伸し、2024年8月に暗号資産市場を襲った「円キャリー取引の巻き戻し」の記憶がよみがえったためだ。国内では海外取引所ビットゲット(Bitget)の日本撤退も伝わった。8月4日夕方の市場を、日本の投資家目線で整理する。

主要マーケット動向:BTCは6.4万ドル接近、アジア株はAI警戒で軟調

BTCは日本時間8月4日夕方(18時台)時点で6万4,000ドル前後で推移し、24時間で約2%高となった。月曜の取引で6万2,250ドル近辺まで下押しした後、着実な買いに支えられて一時6万4,100ドルまで値を戻している(CoinDesk)。円換算では1BTCあたり約1,000万円の水準だ(1ドル=約156円換算)。

主要アルトコインはまちまち。イーサリアム(ETH)は1,865ドル前後(約29万円)と小幅高ながら、直近7日間では約1%安と主要通貨で唯一の下落。リップル(XRP)は1.08ドルへ約1%上昇し週間では約2%高、BNBは591ドル近辺へ1.5%高と主要通貨のなかで週間騰落率トップ(約5%高)につけた。ソラナ(SOL)は74ドル近辺へ約1%高、トロン(TRX)は0.33ドル、ドージコイン(DOGE)は0.07ドルとなっている(CoinDeskFortune)。

株式市場では、アジア太平洋地域が軟調だった。MSCIアジア太平洋指数は0.7%安と2営業日続落し、韓国の総合株価指数(KOSPI)は一時2.1%高から一転して1.1%安、半導体関連指数も約1%下げた。人工知能(AI)関連銘柄の高値警戒が重しとなった。もっとも米ナスダック100先物は0.4%高と底堅く、決算で通期見通しを引き上げたパランティアが時間外で14%急伸した半面、アマゾンはベゾス氏の株式売却が伝わり時間外で1.6%安となった(CoinDesk)。

重要ヘッドライン

ストラテジー、今年3度目のBTC売却 ― 保有は84万BTC超を維持

ビットコイン保有で知られるストラテジー(旧マイクロストラテジー)は、7月27日から8月2日にかけて1,638BTCを約1億500万ドルで売却したと米証券取引委員会(SEC)に届け出た。2026年に入って3度目の売却で、平均売却価格は6万3,957ドルと、同社の平均取得単価7万5,419ドルを下回る水準だった。手取り金はビットコインの買い増しではなく、優先株配当とSTRC(優先株)の自社買い戻し(8,120万ドル分)に充てられた(CoinDeskValue the Markets)。保有量は84万2,138BTCで、5週間以上買い増しを見送っている。マイケル・セイラー会長は、これらの動きでドル準備を40億ドルに引き上げたと説明し、「50億ドル売却承認」との一部報道は6月末に示した資本管理の枠組みを指すもので新たな売却決定ではないと否定している(news.bitcoin.com)。

ビットゲットが日本撤退へ ― 年末までに全ポジション閉鎖

海外大手取引所ビットゲット(Bitget)は、日本居住者向けの暗号資産取引サービスを終了すると発表した。日曜に新規登録の受け付けを停止し、11月1日以降は該当口座を「決済専用(クローズオンリー)」に切り替え、12月31日までに残りのポジションを強制的に閉鎖する。同社はコインゲッコー基準で取引高5位(過去24時間で約7億1,470万ドル)とされる(CoinDeskCoinGecko)。背景には、7月中旬に成立した暗号資産を金融商品として位置づける改正法がある。新ルールは来年施行の見通しで、無登録営業には約940万円(約6万2,800ドル)の罰金と最長10年の懲役が科される。金融庁(FSA)は無登録の海外業者に厳格な姿勢を続けており、業界の再編が進んでいる。

サークル株が急落、モルガン・スタンレーが目標株価を大幅減額

ステーブルコインUSDCを発行するサークル(Circle、CRCL)の株価が下落した。モルガン・スタンレーが投資判断を「アンダーウエート」に引き下げ、目標株価を従来の106ドルから38ドルへ約64%引き下げたためだ。同社はUSDCの供給見通しを2027年に約33%、2028年に約44%下方修正し、準備金収入の鈍化を理由に挙げた。株価は約6%下げ、年初来では約30%安となっている。一方、同じ日にTDコーエンは「買い」で新規カバレッジを開始し目標株価82ドルを提示しており、アナリストの見方は大きく割れている(CoinDeskcrypto.news)。

コールドカード不正流出、5日目に ― 被害は累計約1億1,400万ドルへ

朝の記事でも触れたハードウェアウォレット「コールドカード」のファームウェア不具合に絡む不正流出は、5日目に入った。第4波では709のアドレスから約449BTCが送られ、累計の流出は約1,816BTC(約1億1,400万ドル)に達したとされる。分析を手がけるギャラクシー・リサーチは、一連の犯行が同一の主体によるものかは確認できていないとしている(CoinDesk)。自己保管を行う利用者は、ファームウェアの状態と資産の退避手順を改めて確認したい。

BlackRockがトークン化マネーの提供拡大、機関マネーはRWAへ

資産運用大手ブラックロックが、ブロックチェーン上のマネー・マーケット商品を新たに投入し、トークン化された現金(トークナイズド・キャッシュ)の提供を拡大した(CoinDesk)。実物資産のトークン化(RWA)は、ステーブルコインの競合になりうる分野として注目されており、前述のサークルへの警戒感の一因にもなっている。

テーマ深掘り:日米協調の円買い介入 ― 「2024年の悪夢」は繰り返すのか

夕方の市場で最大の関心事は、先週末の日米協調による円買い介入だ。米財務長官スコット・ベッセント氏は日曜、「無秩序な円の動き」に対応するため、先週金曜に米国が日本と協調して為替介入を実施したと確認した。ドル円相場は1986年以来の円安水準となる一時1ドル=約164円まで下落した後、月曜には156円台半ばへ急反発した。ベッセント氏はX(旧ツイッター)で「さらなる協調介入をためらわない」と述べ、円の大幅な過小評価を是正する日本の措置を米国が強く支持すると表明した(CoinDesk)。

市場が身構えるのは、2024年8月の記憶があるからだ。当時、日本銀行が政策金利を0.25%へ予想外に引き上げると円が急伸し、円建てで資金を調達して高リスク資産に投資していた「円キャリー取引」の巻き戻しが発生。BTCは約6万2,000ドルから4万9,000ドルへ、わずか1週間で約20%下落した。円高がリスク資産の急落につながった典型例である。

ただし、今回は「同じ轍を踏むとは限らない」との見方も強い。日銀は先週、政策金利を1%で据え置いた。植田和男総裁はAI需要と円安の2点を、インフレ率を2%超へ押し上げる要因として挙げている。そしてCoinDeskの分析によれば、BTCとドル円の過去52週の相関はマイナス0.90に達している。これは「円安とともにBTCが下落してきた」ことを意味し、円キャリー取引の理屈とは逆だ。つまり、BTCを動かしてきたのは円というより「ドル全体の強さ」だった可能性が高い。実際、介入報道後も日本の超長期金利は上昇を続け、30年物国債利回りは4%に接近する一方、BTCは6万3,000ドル台で底堅く推移している。

日本の投資家にとっての含意はこうだ。第一に、急激な円高局面ではレバレッジ取引の強制手仕舞いが連鎖しうるため、短期的なボラティリティ(変動率)拡大には引き続き警戒が要る。第二に、しかし相関データが示すように、為替そのものよりも米金利・ドル動向のほうが構造的な影響が大きい。円相場のニュースに過度に振り回されず、今週の米雇用統計まで含めたマクロ全体を見る視点が求められる。

識者の見方:底堅さと警戒感の綱引き

強気派は、①アジア時間にBTCが6万4,000ドルへ切り返した底堅さ、②BNBやXRPなど主力アルトの週間プラス、③介入後もBTCが6万3,000ドル台を維持している点を支えとみる。円高=暗号資産安という単純な連想が、相関データによって否定されつつあることも安心材料とする立場だ。

一方、慎重派は、コールドカード問題が5日たっても収束せず自己保管への不安が残ること、サークル株の急落が示すステーブルコイン事業の逆風、そして米議会の暗号資産市場構造法案(CLARITY法案)が夏季休会で停滞すれば「もう一段の下げ」があり得るとのバーンスタインの指摘を警戒材料に挙げる(CoinDesk)。薄商いのなか、BTCが6万3,000ドルを維持できるかが目先の分水嶺となる。

今後の注目イベント・指標

本日夜(日本時間23時/米東部時間午前10時)に6月の米JOLTS(求人件数)が公表される。市場予想は約742万件で、前回の759.4万件からの小幅減が見込まれる(CoinDesk)。以降、水曜のADP雇用統計、木曜の新規失業保険申請件数、金曜の米雇用統計と続く。あわせて日米の追加介入の有無、サークルやギャラクシー、主要マイニング企業の決算、CLARITY法案の審議動向にも注意したい。

まとめ

アジア時間のBTCは6万4,000ドルに接近し底堅さを見せたが、投資家の視線は先週末の日米協調介入で急伸した円に集まった。2024年の巻き戻しショックへの警戒は根強い一方、相関データはBTCの主因が「ドルの強さ」にあることを示唆する。国内ではビットゲットの日本撤退が金融庁による規制強化の流れを映し、サークル株の急落はステーブルコイン事業の逆風を浮き彫りにした。今夜のJOLTSから週末の雇用統計まで、マクロ指標を冷静に見極めたい。

本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘や特定銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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