XRP(リップル)とは|1,000億枚の全量発行とエスクロー・2026年10月時点の立ち位置をCFPが解説

アルトコイン

「ビットコインとイーサリアムは、まあ分かりました。で、XRPはどうなんですか」

相談の席でこの質問が出る頻度は、体感で上位に入ります。国内の取引所で早くから扱われていて、価格も一枚あたり数百円。手を出しやすい。そのうえ「送金が速い」「銀行が使う」という話をどこかで聞いている。

ただ「じゃあ何を見て判断するのか」を一緒に整理していくと、ビットコインやイーサリアムとはかなり違う論点が出てきます。今週はちょうど、その違いが表に出た週でもありました。

XRPとは何か──設計思想がビットコインと逆

XRPは、XRP Ledger(XRPL)という台帳の基軸通貨です。XRP Ledger Foundationの公式ドキュメントによれば、台帳が動き出した時点で1,000億XRPの全量が発行済みで、その後に新規発行される仕組みはありません。2012年9月に、うち800億XRPが開発の対価としてRipple社に渡っています。

ここがビットコインと決定的に違う点です。ビットコインは2,100万枚の上限に向かって採掘で少しずつ発行されていく。XRPは最初に全部あって、手数料として少しずつ焼却されていくだけ。発行の民主性という観点で批判を受けるのはここが理由ですが、裏返せば「誰がいくら持っているか」が最初から台帳に見えている。どちらが優れているかではなく、設計が逆だということです。

時価総額879億ドル、でもFDVは1,392億ドル

CoinMarketCapの10月11日時点のデータでは、XRPは1.39ドル、時価総額は約879億ドルで第5位。24時間で-1.0%、1週間で-7.2%、30日では+3.8%。ただし年初からは-25.9%、1年前からは-43.8%です。

注目してほしいのは別の数字です。流通供給量が約631億XRP、総供給量が約1,000億XRP。つまり約369億XRP、全体の約37%がまだ市場に出ていない。完全希薄化後時価総額(FDV)は約1,392億ドルで、時価総額の1.6倍近くあります。

この差の大部分が、2017年にRipple社が550億XRPをエスクロー(時限ロック)に入れた分です。公式ドキュメントは「流通供給に入る量をより予測可能にするため」と説明しています。毎月一定量が解除され、使われなかった分は再ロックされる運用です。

相談では必ず説明する部分です。株式の潜在株式数と同じ発想で、将来出てくる供給が今の価格にどこまで織り込まれているかは、正直わかりません。織り込み済みと見る人もいれば、構造的な売り圧力と見る人もいる。ただ「上限1,000億枚だから希少」という理解だけで止まるのは危ないと思います。

今週の2つの出来事

1. XRP Ledgerに10年もののバグが見つかっていた

10月9日、XRPL公式ブログが「xrpld 3.4.1の脆弱性開示レポート」を公開しました。内容は率直に言って重いものです。

支払い処理で複数のオファー(売り注文)の金額を合算する際に整数オーバーフローが起き、合計額が小さな値に巻き戻る。結果として売り手には満額が支払われるのに買い手からは巻き戻った少額しか引かれず、存在しないはずのXRPが使える形で生まれてしまう可能性があった。しかも「XRPは新規に作られない」ことを保証する不変条件チェック自体が同じ未検査の計算を使っていたため、これを捕まえられなかった。

報告は9月22日にバグ報奨金プログラム経由で入り、Cayden Liao氏とVeria AIのクレジットが記されています。当初「重大」判定だったものをRippleXが再現して最高度に引き上げ、9月25日にxrpld 3.4.1として緊急リリース。アメンドメント(投票による機能有効化)を通さず各サーバーの更新で即時適用する形をとり、レポート自身が「取引処理の変更としては初めて」と書いています。公開ネットワークで悪用された証拠はない、とも明記されています。

受け取り方は分かれるでしょう。「見つけて直せたのだから健全」とも言えます。報奨金プログラムが機能したという意味ではその通りです。ただ、2015年に入った計算コードが10年以上気づかれずに残っていた事実の重さは別途あります。修正ソースコードを一時非公開にした判断にも、オープンソース原則との整合で議論が起きました。

2. XRPを473百万枚持つ会社がナスダックに上場する

もう一つはEvernorthという会社です。10月9日にSPAC(Armada Acquisition Corp. II)との合併を完了し、約4億7,300万XRPと約3億ドルの現金を抱えた状態で、10月12日からナスダックにティッカーXRPNで上場する見込みと報じられています。

CEOはRipple出身のAsheesh Birla氏。出資者にはArrington Capital、SBIグループ、Ripple、Pantera Capital、Kraken、GSRが並びます。単にXRPを積むのではなく、機関向け貸付や流動性供給、XRPLのバリデータ運営まで含めて「XRPエコノミーに資本を配分する」という建て付けです。

構図はビットコインの保有企業で何度も見てきたものと同じで、同じリスクも持ちます。株価が保有資産の価値に対してプレミアムで取引されている間は資本調達で一株あたり保有量を増やせますが、ディスカウントに転じると逆回転する。保有企業の株を買うのは、原資産を買うのとは別の賭けです。ここは混ぜないほうがいい。

ETFという入り口は、もうある

アメリカでは現物XRP ETFが2025年11月から取引されています。Bitwise XRP ETF(NYSE Arca、ティッカーXRP)は2025年11月19日設定、経費率0.34%。同社の公式サイトによれば2026年10月8日時点の純資産は約5億8,132万ドル、保有XRPは約4億1,996万枚。信託の受託者はBNY Mellon、暗号資産のカストディはCoinbase Custodyです。

読み方として一つ。約5.8億ドルという規模は、XRPの時価総額879億ドルに対して0.7%程度です。ビットコインの現物ETFが運用残高1,088億ドル(CoinMarketCap、10月11日時点)にあるのと比べると桁が違う。「ETFができたから機関投資家が入ってくる」という話は、少なくとも現時点の残高には、まだそこまで現れていません。

なお日本の投資信託・ETFでXRPに投資できる商品は、2026年10月時点では存在しません。金商法への移行が完了した先の論点です。

日本から見たXRP──制度と税金

国内では複数の交換業者がXRPを扱っています。たとえばSBI VCトレードは取扱銘柄一覧にXRPを掲載し、現物のほか積立やレバレッジのアイコンも並んでいます。選び方は目的別の取引所比較で整理しました。

制度面では、金融庁の国会提出法案ページのとおり「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」が2026年4月10日に提出され、7月15日に成立しています。暗号資産が資金決済法から金商法の枠組みへ移る流れです。施行はまだで、政令待ちの部分が残ります。

税金は誤解が多いので念を押します。2026年分の利益は、まだ雑所得・総合課税です。20%の申告分離課税は、現在の見通しでは2028年の取引分からと考えられています。そして2026年分の損失は、他の所得と相殺できず翌年に繰り越すこともできません。詳しくは年内にやることリストに書きました。

強気の見方と、弱気の見方

強気側の論拠は三つに整理できます。決済・送金インフラとしての実需、SEC訴訟が2025年に双方の控訴取り下げで終結し(民事制裁金1億2,500万ドル)法的な不確実性が下がったこと、そしてETFと保有企業という制度的な入り口が揃ってきたこと。CoinMarketCapのアルトコインシーズン指数も61(1か月前は37)で、資金がビットコイン以外に向かいやすい地合いではあります。

弱気側も三つ。未流通の約369億XRPという供給構造。10年もののバグが残っていたという技術的信頼の問題。そして一番大きいのは、送金・決済という用途がステーブルコインと正面から競合し始めていることです。Ripple自身がRLUSDを持ち、9月の解説記事でも規制対応を前面に出しています。企業が国際送金で何を使うかという競争で、ボラティリティのある資産が選ばれるかどうかは、率直に言って見えていません。

相談を受ける立場からの整理

IFAとして相談を受けるとき、XRPについて私が確認するのは「これは何に対する賭けなのか」という一点です。

決済インフラの普及に賭けるなら、見るべきはRippleの顧客数やRLUSDの残高で、日々の価格ではありません。供給構造の解消に賭けるなら、エスクローの動きを追う話になる。アルトコイン全体の資金流入に乗るつもりなら、それはXRP固有の分析ではなく地合いのタイミングの話です。どれでもいいのですが、混ざっていると、下がったときに自分が何を間違えたのか分からなくなります。

そして金額。暗号資産の基礎でも書いたとおり、価格が半分になっても生活設計が揺らがない範囲に収めること。XRPが良い悪いではなく、年初から-25.9%、1年で-43.8%という実績値を見れば当然の前提だと思います。今が買い時かどうかは、私には分かりません。

情報の出典(2026年10月11日確認)

※Evernorthの上場日程および保有XRP数は、2026年10月11日時点で報じられている内容です。上場後の実績値は各社の開示でご確認ください。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産・金融商品の取得や売却を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本が保証された商品ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

記載した制度・税制・各社のサービス内容は2026年10月11日時点の公表情報に基づくもので、今後変更される可能性があります。最新の情報は金融庁、国税庁および各社の公式サイトでご確認ください。また、個別の税務判断については税理士にご相談ください。

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