【10月19日朝】ETH投信の流出額がBTCを逆転、2,365ドルで下値を試す

イーサリアム(ETH)

主要マーケット動向

週明け月曜の朝です。ビットコインは8万1,088ドル。24時間では0.16%高とほぼ横ばいで、土日の二日間を8万ドル台前半で淡々と消化しました。1週間では2.81%安、30日ではマイナス0.12%。ひと月かけて行って、戻ってきた。そういう形です。

対照的なのがイーサリアムでした。2,365ドル。24時間は0.38%安と小動きですが、1週間で6.37%安、30日では9.91%安です。同じ地合いのなかで、BTCとETHの下げ方がはっきり分かれている。BTCドミナンスは60.3%まで上がり、この1年の最高水準(5月5日の60.57%)に迫ってきました。1週間前は59.45%ですから、週末のあいだにも資金はBTCへ寄っています。

市場全体の時価総額は2.7兆ドルで、1週間では3.61%減。Fear&Greed指数は47の「中立」です。前日48、1週間前58、1か月前は73の「強欲」でしたから、熱はゆっくり抜けている最中。デリバティブの建玉は3,607億ドルで24時間に10%、30日で22%減り、資金調達率の平均も+0.0040%とほぼゼロ近辺です。相場が崩れているというより、レバレッジが静かに抜けていく局面と言ったほうが近い。昨日の朝刊で触れた「出来高が細ったままのドミナンス上昇」は、週末も続いた格好です。

前の晩の米国市場、といっても直近の取引は金曜16日です。ダウは5万2,002.41ドルで175.28ドル安(0.34%安)、S&P500は7,659.44で1.09%安、ナスダックは2万6,140.04で572.99ポイント安(約2.1%安)。AI関連の過剰投資への警戒から半導体が売られ、マイクロン、インテル、AMDがそろって5%超下げました。VIXは21.5%上昇して19.99、米10年債利回りは5.08%前後、ドル円は157〜158円台。株が2%下げてもBTCは1%下げない、という先週半ばからの構図は、ひとまず維持されています。

重要ヘッドライン

  • ETH現物ETFの週間流出が、BTC現物ETFを上回った ─ 10月12〜16日の週、米ETH現物ETFから約3億2,010万ドルが流出し、BTC現物ETFの2億2,840万ドルを上回りました。ETH側は3週連続で、3週間の合計はおよそ10億ドルです。
  • 流出の9割超がブラックロック1本に集中 ─ ETHAだけで約2億9,900万ドル、カテゴリー全体の93.4%。もっともフィデリティのFETHには火曜・木曜に小口の流入があり、全員が同じ方向を向いているわけではありません。
  • Glamsterdamの最終テストネットが10月26日 ─ イーサリアム財団はHoodiでの起動を10月26日17時42分(UTC)と公表。ガス上限を6,000万から2億へ、約3.3倍に引き上げて試します。メインネットの実施日はまだ決まっていません。
  • MSCIが「事業実体の乏しい企業」の除外ルールを正式採用 ─ 16日発表。既存構成銘柄22社が影響を受け、日本企業ではメタプラネット(3350)が唯一の該当候補。最終リストは11月11日公表、適用は11月30日の取引終了後です。
  • 3メガバンク共同のステーブルコイン、国際送金の実証を完了 ─ みずほ・三菱UFJ・三井住友を含む5社が7月17〜23日に実施した実証結果を16日に公表。2026年度中の実取引開始を目指すとしています。
  • 米大手証券の取り扱いが広がる ─ シュワブは15日に全顧客への提供開始を表明、インタラクティブ・ブローカーズは13日からETHのステーキングを開始。手数料や出金上限、保護の範囲は従来の証券口座とは別物です。

テーマ深掘り:イーサリアムだけが置いていかれるのはなぜか

今朝いちばん気になるのは、ETHの弱さが「相場全体の地合い」では説明しづらくなってきたことです。

分かりやすいのが資金フローでした。BTCのETFは残高が約1,078億ドル、ETHは約146億ドル。規模が7倍以上違うのに、先週の流出は絶対額でETHのほうが大きかった。しかも3週連続で、前の週(10月5〜9日)は約5億4,200万ドル。3週合計はおよそ10億ドル、残高の7%前後が消えた計算になります。

引き金はどこか。タイミングだけ見れば、14日に出た9月の米CPIが前年比3.7%と予想の3.6%を上回り、同じ日にBTCのETFがその週最大の流出を記録しています。インフレが粘るなら追加利上げ、という連想は働いたでしょう。ただ、この順番だけで「CPIが流出を起こした」と断定するのは行き過ぎだと思います。

もうひとつ気になるのが、材料が出ているのに効いていない点です。Glamsterdamは10月26日にHoodiで最終テストに入ります。ePBS(EIP-7732)、ブロックレベルのアクセスリスト(EIP-7928)、ガス価格の見直し(EIP-8037)が入り、ガス上限は6,000万から2億へ。処理能力の天井を3倍以上に引き上げる、技術的にはかなり大きな更新です。それでも価格はこの1か月で10%近く下げている。

筋が通りそうな理由は二つ。ひとつは、メインネットの日付がまだ決まっていないこと。いつ効くか分からないアップグレードに、相場は値段をつけにくい。もうひとつは、容量が増えても需要が伴わなければ手数料と焼却されるETHはむしろ減る、という構造です。L1の処理能力を広げることが、短期的にはETHの希少性を弱める方向に働きうる。

CFP認定者として相談を受けていると、この手の「技術は進んでいるのに価格が反応しない」局面で持ち値を下げようと買い増す方をよく見ます。考え方自体は間違っていません。ただETHの場合、いまはETFという比較的のんびりした資金が3週間かけて出続けている。日々の値動きではなく月単位の資金の向きが変わっているかもしれない、という可能性は頭の片隅に置いておきたい。もっとも、それが一時的なポジション調整なのか構造的な評価の変化なのかは、正直わかりません。

識者の見方:強気・弱気の両論

強気側の論拠はこうです。ETHは2,360〜2,440ドルに、日足の上昇チャネル下限と需要ゾーンが重なる支持帯を持っている。先週の下ヒゲは、そこで買いが入っている証拠だと読めます。2,440ドルを取り戻し2,500〜2,560ドルを抜ければ、2,670〜2,740ドルまで戻る余地がある。加えて、Hoodiのテストが通ればメインネットの日程が見えてくる。日付が決まった瞬間に評価が変わる、という見方には一定の説得力があります。シュワブなど大手証券が入り口を広げていることも、1〜2年単位ではETHに効いてくる話でしょう。

弱気側は、支持帯が割れたときの落ち方を警戒します。日足で2,360ドルを明確に下回ると2,320ドル近辺の安値、さらに2,200〜2,270ドルの需要帯が視野に入る。1か月の清算ヒートマップでは2,150〜2,200ドルに厚いロングの塊があり、そこまで落ちれば強制売りが連鎖しかねません。加えてETFの流出が3週続き、ETHドミナンスは10.69%と1か月前の11.39%から切り下がっている。10月21日にソラナのAlpenglowが控えるぶん、資金の奪い合いも起きやすい(ソラナの解説記事)。

ちなみに今日10月19日は、1987年のブラックマンデーから39年にあたります。金曜にVIXが2割跳ねたぶん話題にはなりやすいのですが、「金曜にVIXが20%以上上がった過去32例のうち25例は翌月曜に下がっている」という逆の統計もある。日付のアノマリーに意味を見出しすぎないほうが賢明でしょう。

今後の注目イベント・指標

  • 10月19日(月)……米10月NAHB住宅市場指数
  • 10月20日(火)……米9月住宅着工・建設許可件数/GM・ネットフリックス決算
  • 10月21日(水)……日本9月貿易統計/IBM・メタ・テスラ・TI決算/ソラナのAlpenglow稼働予定
  • 10月22日(木)……米新規失業保険申請/米9月景気先行指数/P&G・ニューモント決算
  • 10月23日(金)……日本9月全国CPI(総合・コアとも前年比2.1%が予想、前月は1.9%/1.7%)/米10月PMI速報/ミシガン大消費者信頼感確報
  • 10月26日(月)……Glamsterdam、Hoodiテストネットで起動(17時42分UTC)
  • 10月27〜28日……FOMC。誘導目標は3.75〜4.00%で、9月に0.25%引き上げたばかり。CMEの織り込みでは今回の据え置きが約66%、12月の0.25%利上げが約63%
  • 10月29〜30日……日銀金融政策決定会合。今回は見送り観測が優勢ですが、23日のCPI次第で12月が意識されます
  • 11月3日(火)……米中間選挙
  • 11月11日/11月30日……MSCIの除外対象最終リスト公表/適用

今週は金曜23日に日米の材料が重なります。全国CPIが予想どおり2.1%へ加速すれば日銀の12月利上げ観測が強まり、同じ日に米PMIが上振れればドルが買われる。円建てで暗号資産を持っている方にとっては、価格そのものより為替で評価額が動く日になるかもしれません(先週の週間まとめ)。

まとめ

今朝の相場を一言でまとめるなら、「BTCは動かず、ETHだけが静かに売られている」。下げ幅そのものは週末らしく小さいのですが、その下では、ETFという比較的のんびりした資金が3週間かけてETHから出ていく流れが続いていました。残高規模を考えれば、BTCよりずっと速いペースです。

とはいえ、これでイーサリアムが終わったという話にするつもりはありません。26日には最終テストが控えていますし、処理能力を3倍以上に広げる更新が長い目で何も生まないと考えるのは無理がある。ただ、その効果が価格に出るまでの時間は思っていたより長いかもしれない。そのくらいの温度感がちょうどいい気がします。

こういう局面で大事なのは、売買のタイミングよりも、資産全体のなかで暗号資産が何%になっているかを確かめることだと思っています。値段が下がったぶん比率も下がっているはずで、元に戻すのか、下がったままにしておくのか。その判断は相場観ではなく、どれだけの値動きに耐えられるかで決めるものです。今週は23日、来週はFOMC。慌てて動くより、カレンダーを見ながら構えておきたい一週間です。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本を割り込む可能性があります。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

主な出典:crypto.news(ETFフロー)/CoinMarketCap(Glamsterdam/Hoodi)/Forbes(FOMC織り込み・9月CPI)/みんかぶ(10月16日の米国株概況)/JinaCoin(MSCI新ルールとメタプラネット)/JinaCoin(3メガバンクのステーブルコイン実証)/外為どっとコム(今週の予定)/価格・市場データはCoinMarketCap(2026年10月18日21時56分UTC時点)

この記事を書いた人
CFP®認定者/ファイナンシャル・プランナー

あきFP/CFP®認定者・ファイナンシャルプランナー。製薬会社のMRを経て金融の仕事へ。暗号資産の税金と資産設計を中心に、相談の現場で実際に聞かれることを、初心者にも分かる言葉で整理してお届けしています。著書に『暗号資産の持ち方 守りの教科書』『暗号資産の税金 守りの教科書』ほか(著書一覧)。

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